Ⅴ.脳梗塞シリーズ 患者さんが知らない最新モビリティーの世界 

2021.03.20

最新モビリティー①パーソナルモビリティーWHILL

脳梗塞後遺症があっても移動手段を持っておくということはリハビリ的にもとても大事です。ロボットというのではないですが次に紹介したいロボの前知識としてパーソナルモビリティーWHILLを紹介したいと思います。

数回に分けて最新鋭のモビリティーを紹介したいと思います。

2014年9月に初号機「WHILL Model A」を、2017年4月に「WHILL Model C」が発表されました。

国の認可が下りる前からウィルの存在を知っていた私は、認可が下りるや否や早急にウィルを取り寄せるべく、業者さんにまだか、まだかとせっついたものです。入荷と共にモニターを買って出て幾度となく業者さんに勉強会を開いていただきました。

初めてウィルの実物を見た時の感動は言いようもないものでした。例えるならば、好きなアイドルに出会ったかのような感覚だったのですから。(マニアでしょ(笑))

今までの車いすとは段違いの機能。そしてなによりスタイリッシュさが目を引きました。今は当たり前のように街中でもちらほらウィルを見かけるようになりましたが、介護保険適応前はまだ、誰も知らない存在でした。

間違いなくこれからの車いすのカタチ。町中に溢れるパーソナルモビリティ。ウィルを見た時の私にはそんな未来像がありありと浮かぶのでした。

ウィルにほれ込んだ私は、当時勤めていた病院のお偉いさんになんとかウィルの代理店は出来ないものかね。と聞いていたほどでした。当時私がほれ込んでいた道具は他に何点かあったのですがそれはまたいずれ。

それほど大好きだったウィルは私の予感通り空前の大ヒット。そのうち介護保険適応になり何人かの患者さまにも介護保険適応が決まると同時にレンタルして頂いた。やっぱりカッコよさは大事。

そしてウィルの最大の特徴はカッコよさだけではないのです。私がほれ込むにはそれだけの理由があるのです。

まず、ウィルが画期的だったのは前輪の構造です。これには驚かされた。いくつもの小さなタイヤが合体して一つの前輪を作っている。そのことによって軸を一点に置いたまま360度ターンができる。この凄さは伝わりにくいと思いますが、エレベーターで前から入って後ろ向きに出なくていい。ちゃんと出口を向いて安全に下りることができる。また、電車に乗った際も同様である。従来の車いすならば方向転換するのに半径何メートルものスペースが必要なのである。これが、その場で回転できるのだから便利この上ない。

次にこの車いすの凄いところは前輪の大きさに注目して頂きたい。従来の車いすの前輪と比較すると倍以上の大きさになっている。このことにより段差解消を楽なものにしている。従来の車いすでは実用的には3㎝の段差までしか解消できない。3㎝だと何が困るのか。車道から歩道に上がる際、一見スロープみたいに見えますが、あれ3センチ以上あるんです。つまり、歩道に乗れない。車道を移動するしかない。また、家の前に砂利が引いてあったり、少しでも段差があれば途端に家から出ることができなくなる。そういう不具合をウィルはすべて解消してくれる。驚異の7㎝段差の解消をいとも簡単にしてのけたのです。凄い。7㎝って想像できないかもしれませんがそれだけ解消できればいけないところは無くなるぐらい凄いのです。

(では、階段は登れるの?という質問が出てきそうですが、階段は無理です。しかし、階段を解消できる車いすはもうそろそろ世にでてくるでしょう。また紹介します。)

この他にもスマートキーがついていたり、スマホと連動していて車いすだけラジコンの様に呼ぶこともできる。当時は夢の車いすに見えたのでした。

そんなウィルも2020年9月21日から「WHILL(ウィル)」シリーズの新モデル「WHILL Model C2」の予約販売が開始しました。

なんといってもこのModel C2は、か、価格が以前のモデルの半額!!!スゴイ。前のモデルが100万円近くしていたのですが今回のモデルは価格が473,000円(非課税)。や、安い。

デメリットもあるがこの価格ならいいんじゃないでしょうか。わたし的にはレンタルできる方はまずはレンタルで使っていただいた方がいいと思います。メンテナンスもしてくれるし。古くなったら新しいモデルに変えてもらえるし。保険が使えない状態になってから買ってもいいんじゃないでしょうか。

保険が使えなくなる状態って????と思われる方もございましょうが、そのお話はまたいずれ。

ウィルが好きすぎてお伝えしたいことがまだまだあるのです。電動車いすのようなものに乗ると歩けなくなるから乗りたくない。といわれる患者さんが多くおられますが実はパーソナルモビリティは歩けるようになるための重要なツールなのです。え!どうして?電動で歩かないのだから歩けなくなるんじゃないの?と思われますよね。本当はそんなお話もしたいのですが今日はこれぐらいにしておきます。次に紹介するロボの説明の前段階ですから。

(*- -)(*_ _)ペコリ。

最新モビリティー②ロボティックモビリティPiiMo(ピーモ)

WHILLのご紹介をさせていただきました。それもこれも今回ご紹介する追従型ロボティックモビリティPiiMo(ピーモ)を紹介するためです。

考える車いす。ナイトライダーみたいですね。(たとえが古くてすみません)

これはスゴイです。

パナソニックとWHILL社が共同開発したロボット型電動車いすが2020年11月に発売されたボティックモビリティPiiMo(ピーモ)です。

ピーモはベースにウィルのシステムが使われているからです。ウィル好きの私としてはウィルがあったからこそピーモが生まれたと言う訳です。全てはウィルから始まったのです。だからわたしはウィルが好き。

(私見です。(*- -)(*_ _)ペコリ)

ピーモの特徴

  • 自動停止機能 

ピーモの特徴と言えばまず最初に障害物を検知すると減速または停止する「自動停止機能」があるということです。車でも採用されている機能ですね。何かにぶつかりそうになると勝手に減速したり止まったりしてくれます。

  • 自動追従機能

何台ものピーモが連なってそうこうする機能ですね。先頭車両に後続車が勝手についていく機能です。イメージ的にはカルガモの親子が並んで歩いている感じです。かわいいですね。

それの何が便利なの?と思われる方もござりましょう、知らざあ言って聞かせやしょう(歌舞伎でお馴染み弁天小僧菊之助の名ゼリフですね。(笑))

前の一人がちゃんと運転してくれれば後の人は手足が動かなくても勝手に車いすが目的地まで連れて行ってくれるということです。また、前のモビリティーを介助者が操作すれば何人もの人を一気に移動させることができる。介護負担の軽減になると言う訳ですね。(何度も送迎しなくていい。スタッフ一人で複数人もの患者さんを移動できる。)

車両連携技術

モビリティ同士がWi-Fi接続で無線通信ができる。つまりどういうことかというと、後続車に乗っている人が「ちょっと待ってーな」とか「ちょっと止まって」とかの意思疎通をすることができるということ。

モビリティー自身が考えて減速したり停止したり、前を走るモビリティーに自動でついていったりと勝手にやってくれるところがウィルとの徹底的な違い。ウィルはどこまで行っても自分で操作しなければならない。そういう点でピーモはロボでウィルはロボではないのです。

脳梗塞シリーズ 最新モビリティー③「Scewo Bro」

後遺症があっても移動を快適にする方法。階段が登れる車いす。それが「Scewo Bro」です。

パーソナルモビリティーWHILLを紹介させていただいたときに「段を登れる車いす」について少し触れたと思います。

その時に「もう少しでできます。」と私が言っていたのを覚えておられるでしょうか。

困ったなぁ。

と言う訳で今日は階段を登れる次世代型電動車いす”Scewo”を紹介したと思います。

スイス連邦工科大学の学生チームが在学中に出たアイデアをもとに作られたのが「Scewo Bro」です。

WHILLの時に5㎝の段差、7㎝の段差解消がどれほど偉大なのかを説かせていただいた。

それでも現在の日本ではウィルは最新鋭のパーソナルモビリティー。ところがです。今日ご紹介するモビリティーは車いすの難題、天敵、鬼門、嫌なやつ。それが階段。階段が登れるというのだ。それだけでも凄いのにその他も驚きの機能が目白押しのマシン。舌を巻くばかりです。

しかし、残念なことにまだ、日本での販売は私の耳には入ってきていない。

Scewoのことを初めて知ったのは2018年頃だったから早三年前ということになる。スイスから日本までどれだけかかっていることやら。大航海時代か!ってはなしです。(笑)

「Scewo」には、2つの大きな車輪とキャタピラが搭載されている。セグウェイのバランスシステムが備わっており、地面は車輪で移動し専用ジョイスティックか、体の重心移動でバランスをとる。(このセグウェイシステムあることでな、なんと!バランス能力さえあれば両手が使えない人でも運転できるのだ!素晴らしい!)階段ではキャタピラを用いて昇降をおこなってくれる。凄すぎる。

スタイリッシュな見た目がカッコイイ!!


フラットな走行に適する“Driving Mode”、階段を昇降する“Stair Mode”、静止状態をキープする“Safe Mode”のほか、“Elevated Mode”では目の高さ程度まで椅子が上がり、会話がしやすくなったり、高いところに手が届きやすくなる。モードの切り替えはボタン1つでできるという。台所だって車いす用に建て替えなくても良くなる。素晴らしい。

まさしく未来だな。未来。

「Scewo Bro」早く日本に来ないかな~。待ち遠しい。寝たきり0を目指すためにも早く日本で広めねば。

最新モビリティー④「オリヒメ」 脳梗塞後遺症があっても復職する方法 

ではでは、モビリティについてお話してきました。

パーソナルモビリティも自動になる時代ですね。もう少しでヘイ!シリの様にヘイ!ピモ!と話しかけると答えてくれるようになるかもしれません。技術的にはできそうですけどね。

これから増えるであろう独居障害者のためにも考えて行動でき、お話ししてくれる、いざとなったら救急車まで呼んでくれて救急隊員さんに状況説明してくれるようなパーソナルモビリティロボを早急に作らねば。

オリィ研究所所長の吉藤オリィさんにだれぞオファーを出してはいただけないだろうか。オリィさんなら作ってくれそうな気がする。よろしくお願いします(*- -)(*_ _)ペコリ

と言う訳で広義の意味でリハビリテーション関連ロボとしてとしてロボットつながり、車いすつながりでオリィ研究所を紹介したいと思います。

オリィ研究所と言えば、吉藤健太朗さんの「たとえ寝たきりでも、会いたい人に会え、社会に参加できる未来をつくる」という理念のもと設立された会社です。

全く同感です。それで感銘を受けた私は、昔から吉藤さんの追っかけの様にFacebookをチェックしておりました。

オリィさんと言えば有名なのが「こたつから出なくていい車いす」ですね。これを初めて見た時は衝撃が走りましたよ。(笑)

それから、前方を見ながら視線入力できる車いす。バイクみたいにハンドルをもって運転する車いす。とオリィさんにはいつも驚かされてきた。

助手さんを一人募集したかと思えば、それからあれよあれよという間に大会社に成長。舌を巻くばかりです。

そして今は分身ロボットOriHime(オリヒメ)で自分の分身を使って就労できる仕組みを大企業と提携して行っている。オリヒメを使って障害者自身が移動しなくても職場に勤務できる画期的なロボである。

社会復帰と何ぞや。外出支援とは何ぞや。とオリヒメはリハビリ専門職に語り掛けてきます。オリヒメはリハビリテーションのカタチを変えるかもしれない、凄い発明だと個人的には思っています。(*- -)(*_ _)ペコリ

脳梗塞シリーズでどうしてオリヒメ?と思われた方もおられるでしょうが、障害を負っても仕事につける喜び、移動に制約がなくなることで、できることが劇的に増える。そういう意味では、いっけんリハビリとは関係なさそうなロボット技術も実は広義の意味でのリハビリテーションなのです。

リハビリテーション練習を実施して将来的にできるようになるかもしれない動作を作るリハビリ練習と今の生活を豊かにするリハビリ練習は両輪でないといけないのです。片方だけではちぐはぐになってしまう。

リハビリテーションは動かなくなった手足を動かすことだけを目的としたものではなく、どうやって1日も早く社会に戻るかを支援する技術です。そういう意味でオリヒメの持つ存在意義は大きいと考えます。

ロボット技術には今後も期待です。(*- -)(*_ _)ペコリ。

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