Ⅸ-3 脳梗塞シリーズ脳梗塞後遺症 認知症 ⑨-1認知症になる病気 ⑨-2脳血管性認知症⑨-3物忘れと認知症⑨-4認知症MCI⑨-5認知機能と身体機能の関係⑨-6中核症状と・行動心理症状⑨-7認知症とせん妄

2021.06.17

脳梗塞シリーズ脳梗塞後遺症⑨-1認知症 認知症になる病気

脳血管性認知症というのがある。脳血管障害の後遺症として認知症があげられます。

ブレイン系リハは脳梗塞リハにおいてもすこぶる重要なところです。

認知症ケア専門士なんて資格を取ったこともありましたね~。もうずいぶん昔の話ですが(笑)

認知症リハの基礎知識に関してはのっぴきならない、もろもろの理由からちょっと長くなりますがお付き合いのほどよろしくお願いします。(*- -)(*_ _)ペコリ

まずは分類から行きましょう。

認知症を引き起こす病気と一口に言ってもなかなかにたくさんあります。認知症 = アツルハイマー型認知症だと思っておられる方も多いのではないでしょうか?

答えは否です。

ちょっと紹介しましょう。まずは4大認知症です。

  • アルツハイマー型認知症
  • 脳血管性認知症  ⇒これが、脳血管障害を起こすとなるやつですね
  • 前頭側頭型認知症 ⇒ むかしはピック病って言ってたんですけどね~。
  • レビー小体型認知症

大体これらになります。しかし、認知症症状をきたす病気はこれだけではありません。認知症になる病気の有名どころだけほんの一部を紹介しますね。

・クロイトフェルツ・ヤコブ病

・アルコール性認知症

・トリータブルディメンチア

 「うつ病」「てんかん」「正常圧水頭症」「慢性硬膜下血腫」「甲状腺機能低下症 」「ビタミン欠乏症」 •「 慢性閉塞性肺疾患」 

・進行性核上性麻痺

・大脳皮質基底核(だいのうひしつきていかく)症候群

・神経原線維変化型(しんけいげんせんいへんかがた)老年期認知症

・嗜銀顆粒性(しぎんかりゅうせい)認知症

 ⇒嗜銀顆粒性認知症は認知症治療界のレジェンド長谷川和夫先生がなっちゃった認知症ですね。それで一躍有名になりましたね。

あっそうそう、パーキンソン病でも認知症症状を呈する場合があります。他にもビスワンガー、ハンチントン、ベーチェットなどなど・・・・・たーくさんある。

アルツハイマーも認知症症状を呈する病気の一つって訳です。 

(*- -)(*_ _)ペコリ

脳梗塞シリーズ脳梗塞後遺症⑨-2認知症 脳血管性認知症

では、脳血管認知症の特徴をご紹介していきましょう。

脳血管性認知症とは、脳の血管障害でおきる脳梗塞や脳出血によって起こる認知症です。

脳血管性認知症は認知症全体の約20%を占め、男性の方が多く発症しています。

大きな脳梗塞や脳出血を起こした時には急激に認知症が発症しますが、小さな脳血管障害を頻回に繰り返して徐々に認知症が進む人もいます。脳梗塞のうち、認知症との関わりが深いのはラクナ梗塞です。ラクナ梗塞は症状が軽度な場合が多く、気づかないまま脳の各所に起きていることがありますので、徐々に脳の認知機能を司る部位が障害され、症状が出てきます。

「注意障害」気が散りやすくなる

「記憶障害」少し前の出来事が思い出せない

「遂行機能障害」計画を立てたり、段取りを考えたりすることが困難になる

「半側(はんそく)空間無視」片側の空間を認識できない

等々

しかし、症状の現れ方は特徴的で、突然症状が出現したり、落ち着いていると思うと急に悪化することを繰り返したり、変動したりすることがしばしばみられることです。また、ある分野のことはしっかりできるのに、他のことでは何もできないなど、まだら認知と呼ばれる特徴があります。

脳梗塞シリーズ脳梗塞後遺症⑨-3認知症 物忘れと認知症

では、あらためて認知症とはなんでしょう。

さっきしようと思ったことも忘れちゃって?

昨日食べた晩ごはん何だったけかな?

あれ?戸締りちゃんとしたかな?

みなさん、こんな経験が一度や二度三度とあるのではないでしょうか。私もあります。ではそんな人たちは皆さん認知症なのでしょうか?と言う訳で今日は認知症とたんなる物忘れとの違いについてお話したいと思います。

  • 大きな特徴として物忘れの範囲が一部なのか全体なのか?が重要です。

物忘れ 体験の一部の物忘れ

・昨夜晩御飯を食べたことは覚えているが何を食べたのかは思い出せない

・財布を家のどこかにしまったのだが、どこにしまったのかわからない。

・今日一日いろんなスーパーや百貨店に買い物に行ったのは覚えているがスーパーや百貨店の名前が思い出せない。

認知症 体験全体を忘れる

・ゴハンを昨夜食べたかどうかを忘れる。

・財布をしまったこと自体を忘れてしまう。

・買い物に行ったことを覚えていない。

  • 物忘れの内容が一般的な知識なのか過去の体験によるものかで違います。

物忘れ

アイドルの名前やVHSビデオ、タマゴッチのような固有名詞。

認知症

息子や娘の名前。奥さんや旦那さんの名前。

余談ですが、家族の名前を忘れていく順番として女性は一番最初に旦那さんの名前を忘れます。男性は最後まで奥さんの名前を憶えている可能性が高いというデーターが出ています。男子である私といたしましては、なんだかなぁ~。でございます。(´;ω;`)

他にも

  • 物忘れの自覚があるか無いか。
  • 「日常生活に支障がある」か「ない」か
    料理を焦がすとか。戸締りができないとか。
  • 「学習能力がある」か「ない」か

料理が下手になる。掃除や洗濯といった何十年もしてきたことができなくなる。

などが挙げられます。

物忘れといっても、「あ~。そやった、そやった。」と思い出せればただの物忘れです。

長年してきた掃除の仕方が分からない。ハサミや食器用洗剤が何かわからず、何度も口に入れて食べてしまう。等々。病気で忘れるとはそういうことです。

脳梗塞シリーズ脳梗塞後遺症⑨-4認知症MCI

軽度認知障害は認知症の一歩手前の状態で、MCI(Mild Cognitive Impairment)とも呼ばれます。認知症における物忘れのような記憶障害が出るものの症状はまだ軽く、正常な状態と認知症の中間と言えます。


そのため、アルツハイマー病によるMCIとは、アルツハイマー型認知症になる一歩手前の段階と言えます。そしてこれまでの研究の結果、MCIの段階でもアルツハイマー型認知症と同様にアルツハイマー病の原因である脳内アミロイドベータの蓄積が認められることです。そのため、アルツハイマー型認知症とアルツハイマー病によるMCIの共通点は、脳内アミロイドベータが認められることになります。現在の医学界では、放置することでいずれはアルツハイマー型認知症を発症すると考えられているため、アルツハイマー型認知症と併せて知っておきたい障害です。


アルツハイマー型認知症とアルツハイマー病によるMCIの症状の違いについては後に触れますが、いずれも「認知障害」はあるものの、重要な点は、その認知障害によって「日常生活において周囲に影響を及ぼすほどの支障をきたしている程度かそうでないか」になります。
アルツハイマー病によるMCIの臨床的な定義は以下の通りです。

MCI の定義です。

  • 記憶障害の訴えが本人または家族から認められている
  • 客観的に1つ以上の認知機能(記憶や見当識など)の障害が認められる
  • 日常生活動作は正常
  • 認知症ではない

MCIであれば治療方法があります。ぜひ早期発見、早期治療を行っていただければと思います。

脳梗塞シリーズ脳梗塞後遺症⑨-5認知症 認知機能と身体機能の関係

脳梗塞シリーズでどうしてこんなにも認知機能についてのお話をしっかり目にさせていただいているかというと。

筋力低下や歩行能力の低下など身体機能低下がみられると、アルツハイマーや認知症の発症リスクになるという報告がある一方で、認知機能低下が身体機能低下のリスクとなったとの報告があります。

言わずもがな、脳梗塞は筋力の低下や歩行能力が低下しやすい病気です。

身体機能と脳機能との関係性をMRI、PET、NIRSなどの機器を用いた検討が行われ、身体機能低下と脳萎縮や白質病変との関係性や、歩行時の脳活性において運動に関連する部位だけでなく前頭葉などの部位が関連することが報告されてきました。

これらのことから身体機能と認知機能は相互に、そして密な関係性を有していると考えられ、両者が低下する場合には認知症の発症や生活機能障害の発生リスクが高く、注意すべきハイリスクだと認識されつつある。

このことからも身体機能リハとブレインアプローチは切り離せないということになります。

ではどんなトレーニング方法があるのさ?というのが気になるところです。それはまた機会がございましたら。今日はここまでにしておきます。

脳梗塞シリーズ脳梗塞後遺症⑨-6認知症中核症状と・行動心理症状

認知症の症状についてお話したいと思います。

認知症は「中核症状」と「周辺症状」「行動心理症状」というのがあります。

認知症で主に問題視されるのが行動心理症状ですね。

中核症状

記憶障害、見当識障害、理解・判断力の低下、実行機能障害、失語、失行・失認などの認知機能の障害を中核症状と言います。

行動心理症状(BPSD;Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)(周辺症状とも言います)

 中核症状が元となって現れる精神機能や行動の症状を行動心理症状(BPSD)といいます。

暴言、暴力、興奮、易怒、不眠、昼夜逆転、幻覚、妄想、せん妄、徘徊、もの取られ妄想、弄便、失禁、帰宅願望、多弁、多動、異食、依存、過食、介護拒否(抵抗)、不潔行為(何年もお風呂に入らない等)仮性作業(何かわからないが何らかしかの作業を一生懸命している。例 一生懸命一日中消火栓の入っている扉を開けたり閉めたりしている。空中に何か書いている。等)思い込み、不安、抑うつ、焦燥等々。

異食のイラスト

このBPSDが家族負担を大きくさせることになります。このBPSDが出現しないように事前の予防・改善することを最大の目的として認知症リハビリテーションがあると言っても過言ではありません。

脳梗塞シリーズ脳梗塞後遺症⑨-7認知症 認知症とせん妄

認知症にとっても症状が似ていてドキッとする病気があります。それが、「せん妄」です。

せん妄と認知症の特筆すべき違いは、「せん妄」は治る。という点につきます。

やる気に燃える人のイラスト(男性)

なので、脳血管性認知症を呈した場合のリハビリの治療効果。なんて題名で公の場で発表したあかつきには、せん妄だったんじゃねーのか?とすぐに突っ込まれてしまうところです。なので、問題点をご家族様から聞いてその症状が出た時期を聞いて、何か月以上続いているのかとしつこいぐらい聞き取りをしまくらないといけない。それでも、やっぱりせん妄だったんじゃねーのー。と疑念の邪眼を向けられるのが研究発表という場なのである。こわい。怖いから嫌い。(´;ω;`)

【せん妄】

せん妄とは、突発的に時間や場所が分からなくなったり、注意力や思考力が低下したりといった症状の出る状態のことを言います。病気や薬、手術の影響や環境の変化(引っ越し等)などが原因となって発症することが多いです。せん妄は突然症状が出ることが一般的です。1日のうちで症状の変化に差があり、適切な処置を行うことで、短期間のうちに症状を緩和することができます。

「過活動型」:幻覚 興奮状態等 「低活動型」:無気力状態等

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