①よくある質問 「良くなりますか?」

2022.03.16

鍼灸師兼仲間のセラピストをよく観察している矢澤です。

今回はよくある質問に対して、いつも答えているより少し長めにお答えしていきます。

Q まだ良くなりますか?

A はい、良くなります。

発症から数年経っている方、介護度が高い方など、まだ良くなりますか?という質問を頂くことがあります。それに対しては、良くなりますとお答えしております。私たちは6か月以上経過された方でも良くなっている方を何人も診させて頂きました。

6か月の壁

入院してから、病院の先生に、6か月以降は良くなりません。(6か月までは良くなりますという意味で)といわれる脳梗塞、脳出血(以後、脳卒中)患者さんは多くいらっしゃいます。実際に、回復の過程を観察しても6か月をピークに回復がプラトーに達するという事がデータ的にもわかっています。また、脳卒中患者さんの発症からの入院期間は最大180日間と決められています。保険で手厚くリハビリができる時間に期間が設けられています。退院後のリハビリは入院中に比べると満足できるものではありません。それ以降は良くならないという、ある意味刷り込みをされているのです。

良くなる理由

①入院期間が短い

最大180日間ある入院期間ですが、現在の平均入院期間は80日程になっています。

医療の進歩、症状の改善、早期在宅推進、医療費問題、本人の希望など色々と理由がありますが、

脳卒中リハビリのゴールデンタイムに十分なリハビリを行えていない可能性もあります。

②やり残しがある

病院でのリハビリは家に帰ることを目標としています。全身の半身麻痺であれば、足のリハビリから始めていき、立ち座り、歩行等に時間を割いていきます。その為、手のリハビリを満足に行ってこなかった、と不満を言われる方もいらっしゃいます。これは前述したとおり病院リハの役割があるので仕方ありません。また、セラピストによってもリハビリのやり方は千差万別です。入力してこなかった方法でリハビリを行うことで、新しい動作を作り出すことが可能です。私たちは、既存能力を最大限に引き出すお手伝いをします。

③脳の可塑性

脳卒中リハビリでは可塑性の意味を、新しい回路の出現と呼んでいます。

脳卒中により、脳が損傷を起こすと、神経の通り道が遮断されたり、誤作動がおきるので、運動麻痺、感覚麻痺、シビレなどが起きます。脳はそれに伴い、新しい回路を作り、動きを補おうとします。何回も何回も繰り返して動かすことによりこの回路を使えるようにしていきます。

④癖がついている

リハビリを中断して、日常生活に戻ると、生活の中で自己流の動きや癖がついてしまいます。セラピストはリハビリや動作を作る時に、正しい姿勢でできているか?正しい動きになっているか?を確認しています。動作に悪い癖がついてしまうと、目的遂行はできるのですが、更に進んだ動作や難しいことをしようとした際にその癖が弊害になってしまいます。そういった癖を正すことで体は次のステップを目指すことができます。

終わりに

私の大好きな長嶋茂雄さんは2004年に脳梗塞になり右半身麻痺となってしまいました。70歳近かったと記憶しています。おそらく右手は現在でも動かないと思います。そんな状態、ご年齢でも賢明なリハビリを行い、2013年の国民栄誉賞授与式では片手でバッターボックスに立ってスイングを行いました。とても感動したのを覚えており、脳卒中リハの必要性を強く感じた時でもありました。

発症からどれだけ月日がたっても良くなることは可能です。

そして、リハビリに一番必要なものはご本人のやる気と取り組む姿勢になります。

むしろこれさえあればどんな症状でも良くなっていくでしょう。

これからも様々な質問にお答えしていきます。

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