Ⅵ 脳梗塞シリーズ.脳梗塞における東洋医学 鍼(針)治療・鍼灸の効果

2021.03.27

東洋医学における脳梗塞 鍼(針)治療・鍼灸の効果

こんにちは理学療法士の岡田です。実はわたくし鍼灸師でもあるのです。というわけで鍼灸のお話も時々おり交ぜていければと思っております。まずは鍼灸治療と脳梗塞についてです。おつき合いのほどよろしくお願いします。(*- -)(*_ _)ペコリ

・東洋医学における脳血管障害

脳血管障害は東洋医学では「中風」と呼ばれます。脳卒中については、約二千年前の中国で「黄帝内経」という古典医学書の中にも記載があります。「黄帝内経」の中には中風に対する鍼灸治療法が記されています。

鍼治療のイラスト(女性)

脳血管障害は脳卒中と言われることもしばしばあります。東洋医学的にこの卒中の持つ意味をご紹介したいと思います。

東洋医学で「卒」は「急激」あるいは「にわかに」ということを現し「中」は「何かに当たること」を意味します。

次に「中風」の意味をご紹介します。

中(あた)るものは「風」すなわち「邪風」です。つまり「卒中」の本来の意味は「風邪に中(あた)ること」であり略して「中風」となるわけです。 風邪かぜが転じて脳血管障害?となるのはごもっともですが、そこはほれ。中国4千年の歴史の中でなんやかんやあったと言うことです。(*- -)(*_ _)ペコリ

冗談です。簡単に言うとですね。古代、中世では疾病というのはそのほとんどが感染症や外傷が原因と考えられていたからなんですね。なので古代中国では卒中も「風」によって運ばれてきた感染症の類の病気とされたわけです。

何はともあれ

中風 = 卒中 = 脳血管障害

なわけです。 

せっかく出てきたのだから「黄帝内経」のお話をしましょう。

なんか、字面だけでもスゴそうですよね。天帝、皇帝、帝国。帝の字が付くだけでなんだか言葉の威力がUP!します。私だけでしょうか(笑)

「黄帝内経 (こうていだいけい)は、「素問(そもん」と「霊枢(れいすう)」というありがた~い2つの書物をセットにしたものです。それと「神農本草経」、「傷寒雑病論」というこれまたありがた~い医学書を加えて中国医学における三大古典といわれているしろものです。

鍼灸の学校に入るとまず最初に習うやつです。鍼灸師さんはみんな知っている書物というわけです。なぜなら、テストに出るからです。(*- -)(*_ _)ペコリ

鍼灸治療の位置づけ・鍼灸治療の適応症

お医者さんのイラスト(全身)

1.WHO(世界保健機関)が定めた鍼灸の適応症

1979年6月、北京で行われた「鍼灸に関するWHO地域間セミナー」において、鍼治療が有効と主張された疾患群の暫定リストが作成されました。1979年WHO鍼灸治療の適応疾患を発表この年WHOは鍼灸治療の適応疾患43疾患を発表しました。これは臨床経験にもとづくものであり、必ず しも研究上の裏付けを伴うものではありませんが、鍼灸治療の幅広さが理解される資料となっています。

神経系:神経痛・神経麻痺・筋肉痛・痙攣・脳卒中後遺症・自律神 経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒス テリー等

運動器系:関節炎・リウマチ・頚肩腕症候群・頸肩こり・五十肩・腱鞘炎 ・腰痛・外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)・ 各種スポーツ障害等

循環器系:心臓神経症・動脈硬化症・高血圧低血圧症・動悸・息切れ

呼吸器系:気管支炎・喘息・風邪および予防等

消化器系:胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)・ 胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔疾・ 口内 炎等

内分秘代謝系:バセドウ氏病・糖尿病・痛風・脚気・貧血等

泌尿器系:腎炎・膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・前立腺肥大・ 陰萎等

婦人科系:更年期障害・乳腺炎・白帯下・生理痛・月経不順・冷え性・のぼせ・つわり・血の道・不妊症等

耳鼻咽喉科系:中耳炎・耳鳴・難聴・メニエル氏病・鼻出血・鼻炎・蓄膿 症・咽喉頭炎・扁桃炎・声枯れ等

眼科系:眼精疲労・仮性近視・結膜炎・疲れ目・かすみ目・ものもらい等 小児科 系 小児神経症(夜泣き、かんむし、夜驚、消化不良、偏食、食欲不振、不眠)・小児喘息・アレルギー性湿疹・耳下腺炎・ 夜尿症・虚弱体質の改善等

皮膚科系:蕁麻疹・しもやけ・ヘルペス・おでき等 アレルギー 気管支喘息・アレルギー性鼻炎・眼炎等

2.米国・国立衛生研究所または国立保健研究所(NIH)による鍼灸治療効果

1997年、米国・国立衛生研究所または国立保健研究所(NIH)は、「鍼治療に関する合意のためのパネル会議(Consensus Panel)」を開催し、鍼の有効性や安全性、研究方法などが合意された。

「鍼治療が有望である」3疾 

患成人の術後および化学療法による嘔き気・嘔吐、歯科の術後痛、妊娠悪阻(つわり)

「補助療法として有用、または包括的患者管理計画に含める可能性がある」11疾患 補完代替医療(CAM:complementary and alternative medicine)

薬物中毒・脳卒中後のリハビリテーション・頭痛・月経痛・テニス肘・線維性筋痛症・筋筋膜痛・変形性関節症・腰痛・手根管症候群・喘息。

Q:WHOが鍼灸適応であげていてNIHでは入っていない疾患はどれか?

これも国家試験やテストによく出るやつです。覚えておきましょう(笑)

醒脳開竅法について

醒脳開竅法は脳卒中の急性期に発生する意識障害と後遺症に対する特殊鍼治療法です。現代中国では最も有名な脳卒中の鍼灸治療法であり、中国鍼灸界の脳卒中治療の根本になっている治療法です。

鍼治療のイラスト

この治療法は伝統中医理論を基に、現代医学理論・臨床実践を経て確立されたものであり、これにより脳卒中前兆・後遺症・合併症に対する系統的な治法、処方、操作方法が確立しました。

醒脳開竅法は、1972年に天津中医学院第一付属医院(現:天津中医薬大学第一付属医院)院長の石学敏教授(現在は名誉院長)を中心に開発され、主に脳卒中後遺症の治療に応用されています

石学敏教授が十何年もかけて実験研究と臨床を繰り返して確定されたものであり、この治療法は脳卒中に対して、著しい治療効果があることが分かりました。約2300人の患者さんに対して有効率97%という効果を出している治療法です。しかも、その治療効果は明らかに伝統的な鍼治療法と薬物療法より優れることがわかったのです。

この治療法は手足体幹に対して適切な刺激を入れることで、血管反射、神経反射を介して身体と脳を覚醒させて動きの改善を起こします。神経障害、高次脳機能障害、感情障害などほぼすべての症状に効果があることが特徴となっています。