Ⅶ.脳梗塞シリーズ 東洋医学における脳に関係する五臓

2021.04.03

東洋医学では脳の機能は、五臓の心(しん)・肝(かん)・腎(じん)の総合的な作用により行われていると考えられています。

ちなみに「脳」は奇恒の腑ですね。これを読んでくれているかもしれない鍼灸の学生さんに質問です。はい。奇恒の腑をお答えください。テストに出るやつです。カチカチカチチーン。

脳のイラスト

奇恒の腑は、脳、骨、髄、脈、胆、女子胞(じょしほう、子宮のこと)ですね。これが分からなかった国家試験前の学生さん及び最終学年の学生さんはもう少し頑張りましょう。(笑)

脳の情緒活動や自律神経系:「疏泄(そせつ)をつかさどる」 ⇒ 

脳の人間らしい高次精神活動:「神志(しんし)をつかさどる」 ⇒ 

脳の発達や機能維持:「髄を生じ、脳に通じる」 ⇒ 

東洋医学では、この「肝」「心」「腎」のバランスを取ることで治療を行っていきます。

また「脳」に対しては「醒脳開竅(せいのうかいきょう)法」という治療法を用います。分かりやすく言えば、脳に対して気血の流れを改善することで、脳の機能回復を促進させる治療法です。

それではこの、東洋医学の考え方と西洋医学とを照らし合わせてみたいと思います。

西洋医学的に考えます。心臓と腎臓のいずれか一方にトラブルが起こると、他の方にも影響してトラブルが起こることがあります。具体的にいいますと、急に心臓の働きが落ちた場合、その影響で腎臓の働きも低下することがありますし、逆に、急に腎臓の機能が低下した場合、二次的に心臓の働きも弱くなるといった場合です。

心臓の働きが弱まり、体に十分な血液が行き渡らなくなる心不全の患者さんに腎機能の低下も併せて起こると、生命への危機に陥るリスクが高まることが知られています。また、慢性腎臓病の患者さんは脳卒中や心臓病を起こすリスクが高まることもわかっています。

米Feil Family Brain and Mind Research InstituteのNeal S. Parikh氏らは、後ろ向きコホート研究を行い、肝硬変患者では脳卒中リスクが上昇しており、特に脳出血のリスクが大きいことを明らかにしました。

血流改善と脳血管障害の関係はもう言わずもがなですね。今回はスキップします。

東洋医学で何百年も前から言い伝えられてきたことが、現代医学によって徐々に解明されてきているのです。

脳に関係する五臓「肝」 

脳梗塞に関係する経脈のお話です。

脳梗塞に関係する3つのキーワード腎・肝・心が出てきました。では東洋医学的にそれぞれがどういう働きをしているのでしょうか。を紹介していきたいと思います。

東洋医学的に言うところの「腎」「肝」「心」の説明です。

とその前に。五臓六腑のお話をしましょう。

「かー。夏のビールの一口目は最高!五臓六腑にしみわたるぜ~」

そう、その五臓六腑です。

五臓六腑は五臓は、「肝・心・脾・肺・腎」の五つの臓器をいい、六腑は、「胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦」の六つの臓器をいいます。それぞれの器官は単体では働かず互いに作用しながら役割を果たしているのです。西洋医学で言うところの肝蔵=肝、腎臓=腎ではありません。よく似ていますが、若干ニュアンスが違う。

おいおい、それより三焦ってなんぞや。とかは見なかったことにして下さい。話がややこしくなるので(笑)

おっとその前に五臓六腑を話しするのであれば五行説のお話をせねば。とか何とか言っていると、東洋医学概論の教科書が出来上がってしまうのでここいら辺りで止めておきます。(*- -)(*_ _)ペコリ

脳梗塞に関係する経絡「肝」

何度も言うようですが「肝」=「肝蔵」ではありません。そこのところを加味した上でお読み頂ければと思います。

身体活動や精神活動がスムーズに行えるようにする働きがあります。また、血の貯蔵と血流量の調節をします。

肝と言えば・・りんぼ・・・の肝。プンプンお怒りモードの方を見ると「肝気」マシマシだな、どうしよう。と東洋医学系の人からするとなるわけです。(*- -)(*_ _)ペコリ

<肝のはたらき>

  • 血液の蔵血機能や脈管内の血量を調節する。
  • 筋肉、腱、筋膜、靭帯、爪、目の機能を調節する。
  • 情緒の安定などの自律神経に関与する。

<症状>

精神活動のコントロールをしているため過剰なストレスを受けると働きが乱れ、イライラ、落ち込み・情緒不安など精神面に影響が出たり、自律神経が乱れて胃腸症状や血行不良、手足の冷えにもつながります。

貯蔵している血液が少なくなると筋肉が栄養できなくなり、しびれ、足がつる、爪がもろくなり剥がれやすくなる、等の症状が現れることがあります。また、目の症状も肝の問題として捕らえられます。

脳に関係する五臓「心」

心:「君主の官」「生の本」

五臓六腑を統括し、すべての生命活動や各々の働きを支えています。 

<心のはたらき>

・精神活動の根源・意識水準を保ち安定した精神状態を維持

・血液を全身に行き渡らせる働き・血流のコントロールや心拍に関与

・汗をつかさどる

覚醒・睡眠のリズムを調整

心はすべての精神活動を安定させる根源ですので、心の働きが乱れると不安・不眠・情緒不安・焦燥感など精神面での症状が現れるのと同時に、動悸が起こることもあります。


血液を循環させる働きが低下すると食事をしっかりとっていても血行不良による手足の冷えにつながります。

また、大量の汗をかいた後に心臓がドキドキしたり、緊張などにより冷や汗をかいたりするのも心が汗と関係していることを表しています。

<症状>

  • わけもなく不安になることが多い
  • 胸に圧迫感がある
  • カラダがだるく、気力がない
  • いやな夢をよくみる
  • 動悸、息切れがする
  • ほおが赤っぽい
  • 異常に汗をかいてしまう
  • のぼせることがよくある
  • 物忘れをしやすい
  • 手足が冷えやすい

脳に関係する五臓 「腎」

腎 :「作強の官」

(官のお話はまたいずれ。大事なところなので書いているだけです。)

精神や肉体の活動する力を蔵し、根気がいる細かい作業をやり通す力になっています。また、体内にある水量も調節や呼吸(特に腹式呼吸)にも関与しています。骨・骨髓・唾・耳など人体の組織器官は腎と関連しています。

<腎のはたらき>

・先天の精。
・生長・発育・生殖をつかさどる。
・骨や髄をつかさどり脳を栄養する。
・尿道・生殖器・肛門をつかさどる。
・水分代謝。
・納気をつかさどる。

あはは、難しいですね、このあたりで挫折しそうになっている人はファイトです!

<症状>

  • ちょっとしたことで驚きやすい
  • いくら寝ても眠くなる
  • 物忘れが多い
  • 足腰がだるく力が入りにくい
  • 耳の聞こえが悪くなっている
  • 抜け毛が多い。または円形脱毛症
  • 毛髮に潤いがない
  • 肌の色が浅黒い
  • 尿の切れが悪く残尿感がある

長くなったので次の東洋医学の時間では「肝」のお話をしますね。