脳卒中における内反足尖

2021.12.16

こんにちは!鍼灸師の矢澤です。

脳梗塞、脳出血などの脳卒中後遺症の中で一番多いのが片麻痺です。

片麻痺とは、脳の障害部位によって、左右どちらか片方の運動器や感覚器に障害が残ってしまうものです。主な症状としては痙性麻痺、失語、失認、失行、感情失禁、感覚麻痺、シビレや痛みもあります。

内反足尖とは

歩行遊脚期において、足関節が内反(うち返し)と底屈の状態になってしまう事です。足底からの着地が難しくなり、足裏の外側からの接地になってしまうため、歩行障害や転倒の原因となります。また、麻痺の程度によって装具の形状や、装具の有無の判断材料となるので、患者さんにとっては大きな問題となります。

内反の原因

①痙性麻痺による内反足尖

脳にダメージを負ってしまうと、脳からのエラー信号が出続けます。その一つが痙性麻痺です。筋肉が持続的に異常収縮してしまい、過緊張状態となります。足関節を底屈、内反させる筋群の緊張状態が続くと内反足尖の状態となります。また、足関節を背屈させる筋群の筋出力の低下を伴っている場合も多く、歩行時には装具が必要となります。足を自分の意思で動かすことができるかどうかが予後に大きく影響を与え、動かせる場合、初期段階では装具が必要ですが、その後の変化によっては、装具を軽くしたり、外したりすることが可能です。

②弛緩性麻痺による内反足尖

痙性麻痺とは逆で、筋収縮を行う機能が消失してしまい、全く動かすことができない状態です。発症初期にみられます。

下肢全体の筋肉に力が入らないため、足関節のアライメント上、歩行遊脚期に足が内反足尖してしまいます。この場合は装具で足を固定する必要があります。

治療法

・鍼治療

リハビリラボが行う鍼治療の目的としては①麻痺の軽減②筋緊張の軽減③可動域の改善になります。

それぞれの目的に沿いながら、関連する経穴(ツボ)に鍼を打ちます。経穴は、東洋医学的な視点の考えですが、麻痺改善で狙っている筋肉や関節に相当する部位が多く、効果的な場所に位置しています。また、当施設が行う、醒脳開竅法といわれる脳卒中に特化した手技療法は、直接末梢神経に鍼を当てるような操作を行います。そうすることで、麻痺している神経の賦活化を促し、筋肉の動きを良くさせていきます。

・理学療法

リハビリラボの内反尖足の理学療法は、姿勢分析、歩行分析から始まります。

足尖の原因は、つま先を上げ下げする足の筋群だけではありません。まず姿勢を確認し、肩の位置、体幹のねじれ、骨盤の位置、膝の曲がり方などから足尖を助長させる姿勢になっていないか分析します。その後、歩行を実際に行ってもらい、遊脚期、立脚期での歩行の癖をみつけます。これらを複合的にみて、様々なアプローチをすることで機能的な改善を狙います。

その他

・ボツリヌス菌注射

通称ボトックスと言われるものです。簡単にいうと、筋肉の緊張を和らげてくれます。脳卒中の治療ガイドラインでグレードAで推奨されていました。(Aが一番エビデンスレベルが高く、B、Cと順番に下がっていくため、効果があると評価されている)

内反足尖改善のために、足を底屈させる筋に注射を打ちます。腓腹筋、ヒラメ筋、長趾屈筋、長母趾屈筋を狙うことが多いです。

一回の効きめが2~3か月といわれ、その後は効果が弱まってしまうので、何回か打つ必要があります。

こちらの治療はリハビリラボでは行っておりませんのでご興味のある方は医療機関に相談ください。

解剖学的おまけ 勉強用

それぞれの筋群の起始―停止 作用

腓腹筋 

    内側頭 大腿骨内側上顆→踵骨隆起

    外側頭 大腿骨外側上顆→踵骨隆起  足関節の底屈に作用

ヒラメ筋 

    腓骨頭、腓骨後面→踵骨隆起     足関節の底屈に作用

長趾屈筋 

    脛骨後面→第2~5趾末節骨底    足関節の底屈に作用

長母趾屈筋 

    腓骨体後面→母趾末節骨底      母趾の屈曲

すべて脛骨神経支配