脳卒中と腸腰筋

2021.12.28

こんにちは。鍼灸師の矢澤です。

みなさん腸腰筋という筋肉群をご存じでしょうか。一般の方では、整骨院や整体院で、「骨盤矯正」「姿勢改善」「インナーマッスル強化」を経験したことがある方は聞いたことがあるかもしれません。「腸腰筋が悪いですね」という言葉で全て解決してしまうくらい、痛みや不良姿勢の「もと」とされている筋肉群です。それだけ、重要な筋肉として認識されています。この筋は腰椎、腸骨の内側から骨盤の中を走行し、大腿骨に付着しています。

この腸腰筋について紹介し、脳卒中歩行にどのように影響があるか紹介します。

腸腰筋とは

腸腰筋は腸骨筋と大腰筋を合わせて腸腰筋と呼びます。冒頭から筋肉群と書いているのはそのためです。(多くの方に欠如がみられる小腰筋については言及しないようしています)もともと別々の筋肉ですが、最終的に筋線維が交互して同じ場所に停止するので腸腰筋として扱われます。

特徴としては、

股関節屈曲を行う最も重要な筋肉

腿上げをする際に使用します。歩く際の一歩目を踏み出す際にも大きく関与します。

この腸腰筋ですが、黒人の断面積は日本人の2~3倍多いという報告があります。スプリントや長距離などの陸上競技だけでなく、あらゆるスポーツで黒人の方の活躍がみられていることを考慮すると、日本人との運動能力の差に関係がありそうですね。実際に、走行時のスライドの延長と腸腰筋機能との相関関係が注目されています。

骨盤、腰椎の位置に関係する

大腿骨を固定すると、

①腸骨筋は骨盤を前方へ引っ張ります。

これは骨盤を前傾させる姿勢です。でっちりタイプで、ヒップが大きく見えてしまう方は、腸骨筋が硬くなり骨盤が前傾している可能性があります。

②大腰筋は腰椎を前方に引っ張り前弯を維持させます。

腰椎は解剖学的に程よい前弯が必要となります。しかし、大腰筋の緊張が高まったり、硬くなりすぎると、前弯が強くなり、反り腰の状態になってしまいます。

これらを踏まえると、腸腰筋の緊張が強くなりすぎると、骨盤前傾で反り腰の状態になります。

逆に腸腰筋が弱くなると骨盤後傾でストレートバック+猫背の状態になります。

姿勢と非常に関係が深い筋群だという事がわかりますね。

腸腰筋の硬さを調べる

上腕二頭筋など(力こぶを作る筋肉)は表面にあるため、筋肉の盛り上がり、硬さ等を触診や視診で簡単に確認することができます。一方でインナーマッスルである腸腰筋は体表からは見えないので、触ることが難しいため体を動かすことで筋の硬さを確認します。

トーマステストがよく知られたテストです。ベッドに仰向けで寝てもらい、股関節膝関節を屈曲させて腸腰筋の拘縮を判断します。その際に腰椎の前弯も確認すると大腰筋の拘縮も確認することができます。詳しいやり方は動画検索等して頂くのが一番よいかと思います。

脳卒中と腸腰筋

脳卒中になることで、腸腰筋だけが悪くなるということはありません。

腸腰筋の大切な働きの一つに歩行があります。歩行立脚期後期から遊脚期に働いています。後ろ足が地面を蹴って足を振り出して腿を上げるまで腸腰筋は働きます。半身マヒで膝から下の下半身が全く動かない方でも腸腰筋は働いているという方は多くいらっしゃいます。こういう方の特徴は、装具があれば杖を使用するなりして歩行することが可能であるという事です。腸腰筋が働けば足を振り出すことができます。腸腰筋が動くか動かないかはその後のQOLに大きくかかわってきます。私たちはそれを判断し、その人にできうる歩行を作り上げていきます。

終わりに

説明したように腸腰筋は、姿勢、歩行、痛みなどに非常に重要な筋肉群だという事が理解出来ました。この腸腰筋で本が一冊できてしまうほど、奥が深い筋肉になります。柔軟性を保ち機能を維持することが、脳卒中患者さん問わず、健常者の方でも非常に重要となります。

今回も最後までご覧になっていただきありがとうございます。2021年のハート脳梗塞リハビリラボのブログは最後となります。オープンからもうすぐ1年となりますが、多くの方に利用して頂いています。本当に我々はいろいろな人に支えられてここまでこれたのだと実感しています。ありがとうございます。その関係で、動画やブログをアップするペースが大幅に遅れてしまいました汗。いいわけですが汗。そういった反省も踏まえて2022年は、しっかりと時間管理を行い、投稿もこまめに行っていこうと思います。2021年ありがとうございました。