脳梗塞と変形性膝関節症

2022.02.21

加齢とともに増える膝の痛み。特に多い変形性膝関節症(膝OA)は、膝の軟骨が減ってしまい、関節のアライメント異常をきたし、これが痛みの原因とされています。日本人の2500万人が軽度OA以上いると推測され、何らかの症状をきたしている人が800万人と言われています。誰もがなる可能性がある膝OAについて簡単にご説明します。

膝の痛みはどこで感じるのか

「膝の軟骨が減ってしまって」

「潤滑油を膝に打ってきた」

「O脚がひどくなってきた」

膝が痛い人の会話内容でよく聞く言葉ですね。

一般的な方のイメージとしては

長年の生活により、膝の関節軟骨、半月板が削られていき、膝関節の隙間がせまくなって骨と骨が当たるようになってしまうので痛みが出る。と思っている方は多いと思いますが、これは合っているようで完全正解ではありません。関節軟骨や半月板には痛みを感じる受容器が少なく、ここが悪くなっても痛みを感じません。また、骨がぶつかるまで進行してしまった人でも痛みが無い方もいます。そこで重要なのは①どこで痛みを感じているのか。②今どんな状態で、どこまで進行しているのか。になります。正しい痛みの原因を知ることは、その後の治療にも大きく影響してきます。私たち治療家に最も必要なことになってきます。

OAの方で痛む場所の圧痛点(押さえた時に痛いと反応が出るところ)を調べると

1位 膝蓋下脂肪体…膝蓋骨下の両側の凹みの部分

2位 半腱様筋…脛骨粗面内側。膝蓋骨下の出っ張った骨の内側

3位 内側側副靭帯…膝関節の内側の靭帯

となっています。

痛みの原因その1 膝蓋下脂肪体

膝蓋下脂肪体は、膝の屈曲伸展の際に膝の中で形状を変えて動きをスムーズにする役目があります。わかりづらいですが、図に青い丸を付けた場所あたりに脂肪体があります。この脂肪体は血液が豊富なので、侵害受容器が多くあり、疼痛閾値が低い。つまり痛みを感じやすい場所です。関節包内に存在し、滑膜とくっついています。これが重要なのです。

・レントゲンでは異常なしと言われた膝の痛み

・膝蓋骨の奥に痛みがある

・運動している人の、原因不明の膝の激痛

などは、膝蓋骨下脂肪体の炎症を疑ってください。

膝OAの原因

変形性膝関節症(膝OA)は、加齢や筋力低下、使い過ぎ、肥満などの要因によって関節軟骨が柔軟性を失い、徐々にすり減っていった結果、骨と骨の隙間が狭くなり痛みが出現する症状です。

痛みの原因は滑膜炎です。炎症を起こさない限り痛みはでません。完全にO脚で足が曲がった人でもそこで固定されてしまえば痛みはでないのです。進行中で炎症のある方に痛みが出現します。

滑膜は膝の関節包内にある滑液を分泌する膜です。滑液はコラーゲンを含む液で、関節の動きを滑らかにする役目があります。滑膜が炎症を起こすと滑液が黄色く濁り溜まってしまいます。膝に水がたまっている状態です。

この痛みの原因となる滑膜炎ですが、滑膜全体におきるのではなく、膝蓋下脂肪体との付着部分に生じます。先述したように脂肪体と滑膜がくっついているところが重要なのはこれが理由です。

つまり、膝蓋下脂肪体が滑膜炎を生じさせ、さらに滑膜炎は膝蓋下脂肪体炎を生じさせる、負のスパイラルが生まれます。そして、膝蓋下脂肪炎が膝OAを発生、進行させるといわれています。

痛みの原因その2 半腱様筋

半腱様筋は坐骨結節から大腿の後ろを通り、膝下の出っ張ったところ(脛骨粗面)に着きます。

膝の痛みとしては脛骨粗面より内側に出ます。圧痛を調べると骨が痛いように思いますが、ここには筋肉が付着しています。膝OAが進行している時にここに痛みが出る方もいます。アライメントが崩れたり、骨棘ができたりすることで、半腱様筋に滑液包炎がうまれ痛みが生じます。また、大腿の後ろをメインに走行しているため、膝の前面だけの治療をしていてもあまり効果を発揮しません。

痛みの原因その3 内側側副靭帯

スポーツ外傷などで損傷しやすい内側側副靭帯も膝OAの進行により炎症がおきます。

O脚の進行、変形によって内側の骨や半月板が過度な剪断力を受け続けた結果、骨棘が発生しそれによって、半月板が内側に逸脱してしまいます。内側側副靭帯の滑液包が主張して炎症を起こし痛みの原因となります。

脳梗塞と膝の痛み

脳梗塞の方も膝の痛みを伴うケースはあります。

①歩行練習が可能になった初期段階

片麻痺状態で歩行を開始すると、最初の段階は体が忘れており、うまく足を運ぶことができません。特に立脚期初期において膝折れしてしまうケースがあり、その繰り返しにより、膝に痛みが出現することがあります。正しい足の運び方を習得することで痛みを軽減することができます。

②生活期

麻痺側の脚に比べ、非麻痺側にかかる負担(がんばっている度合い)は多くなるので、その分力を入れることになります。とっさに転びそうになった際に踏ん張るのも非麻痺側です。使い過ぎ(がんばりすぎ)によって痛みが出現、場合には膝OAのような症状がでることもあります。

治療に関しては健常者と同じ方法を行っていきます。ただ、歩行の乱れが起きているパターンが多いので、理学療法士などの専門家による歩行指導が、今後の生活にとっても重要になってきます。