気象痛は本当にある?

2022.09.27

皆様こんにちは。理学療法士の松浦です。
9月も終わりに向かっていますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
台風も多く一度に3つの台風が来たり、大型の台風が来たりと大変でしたね。

最近は朝・夜で涼しくなってきました。
季節の変わり目ということもあり、気温の変化により体調を崩される方が多いので、長時間出かける際などは1枚羽織れる上着を持っていくことをオススメします。
また、夜間は冷え込む場合もあるので、お腹を冷やさないように毛布などを1枚用意しておくと良いですね。

今回は気温や天気に関わる題材で
「気象痛」というものを解説していきます。

気象痛とは

気象要素(天気、温度、湿度、日照時間、降水量、雷、風など)から悪影響を受けるものを気象痛と言います。

天気が崩れる時に慢性の痛みが増強する「天気痛」はその代表であり、腰痛、頚部痛、外傷治癒後の疼痛(骨折痛、瘢痕痛)、片頭痛、三叉神経痛、帯状疱疹後神経痛など様々な疼痛疾患について文献がありますが、特に関節リウマチ、片頭痛、腰痛、繊維筋痛症に報告が多いとされています。

最近の研究結果

京都大学の関節リウマチを対象にした研究によると、関節の腫脹と圧痛の程度による疾患活動性スコアが気圧低下時に上昇する(評価日の3日前の気圧低下に最も相関のある)ことが明らかになっています。

また、名古屋大学の研究によると、日常体験する気圧や気温の変化が慢性疼痛に容易に影響を与える要素であると共に、様々な身体反応により気象痛が引き起こされることが明らかになっています。

なぜ気象痛が起きるのかというメカニズムと対処法を解説していきます。

気圧とは

みなさん「気圧」はご存知ですか?

天気予報や台風情報で
「高気圧に覆われて天気が良いでしょう」
「低気圧が接近して雨になるでしょう」
「気圧は◯hPa(ヘクトパスカル)です」
など聞くことがありますよね。

気圧は空気の圧力というものです。

なぜ気圧(空気の圧力)で
潰れないのか

人間だけでなく、さまざまな物体が全方向から気圧の影響を受けています。では、なぜ人間の体はつぶれないのでしょうか?

それは、受けている気圧と同じ力で体内から押し返して気圧を打ち消しているのです。
ポテトチップスなどの袋を山の上に持っていくことで気圧の影響がよくわかります。
高い山の上では気圧が下がり、外から押す力が弱くなります。

ポテトチップスの袋は地上で袋詰めされているため、中から押し返す力は変わりません。
そのため、気圧が下がるとポテトチップスの袋が膨れ上がるということです。

人間の体も知らないうちにポテトチップスの袋のように日々気圧の変化を受けています。
人間の体は血管や細胞、臓器など空洞が複雑に存在しているため、単純に膨らむ訳ではありませんが、その都度押し返す力をコントロールしなければいけません。

どこでコントロールしているのか

気圧は大気の状態によって変化します。そうすると体の中から押し返す力をコントロールしなければいけません。
人間はどこでそのコントロールをしているかというと「内耳(ないじ)」という耳の奥にある器官で行っています。
内耳は気圧の変化を受け取るセンサーのような役割をしていて、脳の中枢にある自律神経に気圧の変化を伝えます。

自律神経とは

自律神経は交感神経と副交感神経があり、バランスを取り合っています。
交感神経は身体が興奮している時に多く働き、副交感神経は身体がリラックスしている時に多く働くとされています。
多くは血管に作用しており、交感神経が働くと血管が収縮して血圧が高くなり、副交感神経が働くと血管が拡張して血圧が低くなります。

気圧の変化に当てはめてみる

今回の気圧を例に当てはめてみると、気圧が下がると外からの圧迫が少なくなり、血管はポテトチップスの袋のように膨張(拡張)します。

そこで交感神経が活発になり、血管を収縮させて膨張を止めようと調節をします。
気圧が上がってくると逆で副交感神経が働き、血管を拡張させて調節します。

現代の環境変化

私たちは本来仕事をしている時や動いている時は交感神経が働き、リラックスしている時は副交感神経が働きます。
しかし、現代の人は常に緊張やストレスを強いられる生活をしていることで、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかない人が増えています。
自律神経が乱れることで様々な体調の不良につながってきます。気象痛もその一つです。

ストレスの解消法は人によって大きく異なります。食べ物を食べることで発散する人もいれば、運動をすることで発散する人、温泉に入ってゆっくりと過ごすことで発散する人、ゲームで発散する人。
人それぞれ異なりますが、ストレスを発散できる時間を1週間の中に1日でも作れると気象痛などの自律神経症状も変わってくるかもしれませんね。

改善運動

そうとは言ってもストレスを発散できる時間がないという人もいますよね。
そのような方は耳周辺の血流改善をしてみましょう。
次のような運動をすることで耳周囲の血流が改善して内耳の働きを手助けしてくれます。気象痛が減るかもしれません。

運動ができない場合でも、ホットタオルなどで耳を温めるだけでも血流が改善するのでおすすめです。

最後に

今回は気象痛に関しての解説でした。今回は自律神経に対してですが、慢性疼痛の場合も気圧の変化により痛みが発生します。
そちらの方はまたの機会に解説していきますね。

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