脳梗塞後の「ミスが増えた」は注意障害かも?原因・種類と日常生活の対策ガイド

2026.02.10

今回は、高次脳機能障害の一つである「注意障害」の詳細とリハビリ方法について書いていきます。

この記事を読むと、4つの注意障害のタイプと、今日から家庭でできる4つの環境調整がわかります。

脳梗塞発症後に、「ミスすることが多くなった」、「集中できない」、「同時進行で物事が進められない」と心配になることがあります。

その症状は、高次脳機能障害の「注意障害」によるものかもしれません。

本人にとっては今までに出来た行動がうまく出来ないため、自信喪失や不安を強く抱いてしまいがちです。

自立した日常生活や社会生活を送るために、注意障害の症状や対処法、家族や会社などの周囲の人が気を付けるポイントを知ることが大切です。

⒈ 注意障害とは?

注意障害の定義

脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)や事故で脳が損傷され、高度な認知機能が低下した状態を高次脳機能障害と呼びます。

その一つが「注意障害」です。

「見えない障害」としての特徴

外見からは分かりにくいため、周囲の理解を得にくく、就労・学業・家事など日常生活の質(QOL)を大きく左右します。

注意障害になると単に集中できないだけでなく、周りからの声掛けに対して意識を向けられないなど「注意散漫」以外の症状もあるので、注意が必要です。

障害部位と症状の多様性

前頭葉・頭頂葉・脳幹など損傷部位により症状は多岐にわたります。

同じ「注意障害」でも複数のタイプが重複して現れるケースが少なくありません。

⒉あなたはどのタイプ?4つの症状例

注意障害は具体的に次の4つの分類に分けられます。

ご自身やご家族がどのタイプに当てはまるかチェックしてみてください。

①選択制注意障害

必要な情報を状況に応じて選ぶ能力が低下してしまう注意障害です。

周囲の物音や他人の作業が気になり集中できない。買い物で目的の商品を探すことができない。などが当てはまります。

様々な刺激に対して必要な刺激をピックアップすることが苦手になります。

②持続性注意障害

何かを行う際に集中を維持しにくくなってしまう注意障害です。

仕事ですぐ疲れる、途中で投げ出してしまう。単純ミスが増える。などが当てはまります。

気が散ってしまい、必要以上に刺激を受け取ってしまうことで、疲れやミスにつながります。

③転換性(転導性)注意障害

注意の切り替えが苦手になってしまう注意障害です。

作業中に電話が鳴っていても気づかない。課題を途中で変更すると混乱してしまう。などが当てはまります。

集中しすぎてしまったり、途中で内容を変更されると変更前の情報と混在してしまい、うまく動作ができません。

④分配性(配分性)注意障害

複数のタスクを同時に行えなくなる注意障害です。

電話をしながらメモが取れない。運転中に周囲に気を配れない、ナビを見ることができない。などが当てはまります。

注意の割合を分配することが苦手で、運転が難しいのはその最たる例です。

⒊今日からできる!4つの生活対策

集中しやすい環境づくり

必要な情報を正確に選択できるようにするためにも、視覚・聴覚刺激を極力減らした環境を作ることが大切です。

作業を行う時は個室を利用する。

音楽やテレビを消す。

など、刺激を減らした状態で作業をすることが大切です。

タスク管理の工夫

注意障害ではタスクを同時にいくつもこなすことが難しいため、タスク管理をうまく行うことが大切です。

タスクは一つずつ処理する。

チェックリスト、メモ帳、アラーム等を活用する。

タスク完了のダブルチェックを家族や職場で実施をする。

など、タスク管理を行いやすくしたり、失敗回避の方法を一緒に考えることが大切です。

休憩と疲労マネジメント

長時間集中することが難しく、疲れてしまうと再度集中することが困難です。

注意力が途切れる前に20〜30分ごとに小休止を挟む。

昼寝やリラクゼーションで脳疲労をリセットする。

など、その人が集中できる限度時間に合わせて設定していくことが大切です。

コミュニケーション

内容が複雑になったり、異なることを言われると混乱してしまうことが多くなってしまいます。

短く端的に伝える、ジェスチャーや視覚的に分かりやすい資料を利用する。

家族や職場での声掛けを統一して混乱を防ぐ。

など、コミュニケーションが円滑にできる方法を模索していくことが大切です。

⒋注意障害との向き合い方:自己認識と周囲のサポート

自己認識

注意障害では自分の状況が理解できていない場合が多いです。

自己認識をすることで、対策と改善策を考えていくことができます。

検査結果や日誌で自身の注意力低下を「見える化」する。

自覚が乏しい場合は専門家がフィードバックをする。

など、まずは現在の状況を把握していくことから始めましょう。

家族・職場の協力

注意障害は周りのサポートが必須の症状です。

失敗を責めず「どうすれば防げるか」を一緒に考える

リハビリ計画へ一緒に参加し、回復を後押しする

など、一緒に協力してサポートすることが大切です。

片方が決めた方法で対策するのは逆効果になってしまう可能性があるため、しっかりと話し合って対策をしましょう。

感情・精神的ケア

注意障害は感情に比例して変動します。そのため、ストレスをなるべく軽減し、良い気分を作り出すことが大切です。

定期的にリフレッシュをして疲労や不安がたまらないようにする

ストレスチェックや定期的なカウンセリングを活用する

など、ネガティブな感情から遠ざけることが必要です。

「見えない障害」への理解啓発

社会に出た際に一目でわかりにくいのが注意障害です。

特に職場復帰の際には、一見健常者と変わらないように見えても注意障害をお持ちの場合があります。

名札・カードで配慮を求める

など、誰でも見てわかるように周知をしていくことが大切です。

⒌リハビリの種類

リハビリの方法はいくつか存在します。

大切なのは、次に紹介する4つの介入方法を組み合わせながら、目標に向けてリハビリをしていくことです。

非特異的介入

注意が続く時間を延ばすための反復練習を行います。

一定の時間内でできるよう何度も繰り返していきます。

一般的には時間内でトランプを順番に並べる。データ入力の作業をする。

などが選択されます。

慣れてきたら、もう少し時間がかかる課題を行いつつ、集中できる時間を延ばしていきます。

特異的介入

ある特定の分野で注意が続かない人に、その分野の注意力が増すようなトレーニングをします。

状況に応じて答えを選択する。時間になったら前と同じ動きをする。

などがリハビリで選択されます。

段階的介入

注意力が持続する時間から訓練を進め、段階的に注意が持続できるようにしていく方法です。

一見、非特異的介入と似ているかもしれませんが、対応するスタッフを一定の人から異なる人に変えてみる。

刺激が少ない個室から、刺激が増えた多人数部屋で課題を行うなども段階的介入になります。

環境介入

外部の環境を整えて、注意が向くように調整をします。

テレビの音を消したり、スマホが目に入らないようにする。

他人がいない個室で訓練をする。など、極力刺激を減らして集中しやすい環境を作る方法です。

⒍まとめ

注意障害は適切なリハビリで改善が期待できる可塑性の高い障害です。

注意障害の型を理解し、様々な方法を組み合わせてリハビリをすることが大切です。

職場復帰を視野に入れている方は、実際の業務に近い状況を作って訓練してみるのも良いですね。

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この記事を書いた人

松浦 一将 理学療法士

JBITA公認 成人片麻痺基礎講習前講習1、2修了

大学卒業後、回復期リハビリ病院へ入職。主に脳梗塞・脳出血の患者様のリハビリを担当。同病院で訪問リハビリも経験させて頂き、より患者様の「生活」に近い場所でリハビリに携わってきました。2022年ハート脳梗塞リハビリ・ラボへ入職。「麻痺をよくしたい」という方はもちろん、前職の経験も活かし、目標に向けた最適な自主トレや運動方法のご提案、情報提供も行っています。 皆様の何気ない「笑顔」を大切に、目標を達成して共に成長できるよう全力でサポートさせて頂きます。