痛みは誰もが経験したことがある感覚です。
脳梗塞、脳出血患者さんにも痛みで悩んでいる方は多くいらっしゃいます。脳細胞の変化によってさまざま症状が生まれます。
今回はそれとは違い、疼痛に関して説明する機会があったので、慢性疼痛について調べてみました。
慢性疼痛ガイドラインから一部抜粋してお伝えいたします。
慢性疼痛とは
痛みについては国際疼痛学会が定義づけしています。
「実際の組織損傷もしくは組織損傷か起こり得る状態に付随する、あるいはそれに似た、感覚かつ情動の不快な体験」
とされています。
原因がなくても痛みは起こることがある。感情として不快と受けとればそれも痛みである。など痛みの概念は昔に比べると広く受け止められるようになりました。 痛みが「痛い」という感覚だけでなく、心理的社会的な影響も受けたり、いろいろな多様性を持ち複雑になっている事が原因です。
慢性疼痛とは、「3か月以上持続する。また、通常の期間を超えて持続する痛み」とされています。
慢性疼痛の病態には疼痛感作が起きています。感作とは繰り返しの刺激により、その刺激に対して敏感になっている状態です。つまり痛みを感じやすくなっています。その原因は神経の可塑性が進んでいるからと考えられています。長く続く痛みは、社会的な問題、精神的な問題にも関連して、病態をより複雑にさせています。
慢性疼痛の種類
慢性疼痛には様々な種類がありますが、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、心理社会的疼痛などがあります。実際はこれらの要因が複雑に絡んで混合性疼痛になっている事が多くなります。
更に2種類の段階にわけることができ、
①急性痛を繰り返す慢性疼痛、急性痛が遷延化した慢性疼痛
②難治性慢性疼痛
になります。特に②までなってしまうと、中枢神経系の機能変化や心理社会的要因による修飾が起こり、治るのが困難になってきます。
慢性疼痛患者さんの特徴
①認知・感情的要因
抑うつ、不安、怒り、恐怖。これらの症状が痛みを起こしているのか、痛みがこれらの症状を起こしているのかはまだ分かっていない。
②身体的要因
睡眠障害、ADL低下「不動や廃用」。脳梗塞患者さんの肩手症候群の症状はこれに似ている
③社会的要因
社会活動の低下(休職・休学・失職)家族関係、経済的ストレス
④スピリチャルな要因
自己価値の低下、自己効力感の低下
⑤その他の要因
訴訟、医療機関への過度な期待、治療への依存(薬物)
慢性疼治療の目標
慢性疼痛患者の痛みをゼロにすることは困難である。と、疼痛学会でも明確に定義されています。もちろん痛みをなくすことは目標ではあるが第一目標ではありません。痛みの管理を行いながら、QOLやADLを向上させることが目的になってきます。。
痛みをいろいろな方法でコントロールして、うまく共存するという方法です。そのように生活を送ることで痛みを意識しない行動となり、生活の質が向上します。
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