こんにちは理学療法士の岡田です。今日からは脳梗塞の後遺症についてお話していきたいと思います。
脳梗塞の後遺症は多岐に渡り百人百様です。
その中でも代表的なものを順を追って紹介していきたいと思います。
①運動障害
脳の運動を司る部位が損傷されると、日常生活で手足を動かすことが困難になる場合があります。脳梗塞の後遺症で最も多いのが右半身又は左半身だけにマヒが残存し動かない状態になる運動障害です。運動神経が脳幹というところで左右に交差しているため、脳の障害の反対側に症状がでます。
痙性麻痺と弛緩性麻痺があり、一般に麻痺は下肢よりも上肢に強いことが多いです。ダメージを受けた部位によっては下肢に強い場合もあります。
手足の動きのコントロールが利かなくなることで、日常生活が阻害されます。脳の障害部位や障害範囲によって麻痺の程度もさまざまです。
脳血管にダメージを受けた直後は手足がだらんとして全く動かせない状態になります。状態が悪い人はこのままだらんとしたままの方もおられます。そこから回復過程に入り筋緊張が強くなったりしてきます。すぐさまリハビリをしないとここで拘縮になってしまいます。そうすると全身拘束されたようになります。下肢は伸筋優位になり尖足になりがちです。するともう歩きづらい。ってことになります。上肢は屈筋優位になりやすく、この時期にリハビリで何とかしておかないと肘が曲がり手首が下を向いて手がこぶしを握って開かなくなる。
そうならないように療法士たちはあの手この手、必死のパッチで腕を振るうのです。
②感覚麻痺
次は脳梗塞後遺症の感覚麻痺についてです。
痺れや痛みを感じたり感覚が鈍くなったりします。感覚を司る神経は、運動神経と密接な関係があり、感覚麻痺も片麻痺と同様に左右どちらかに現れやすい特徴があります。
また手足のしびれも後遺症として感覚麻痺に相当します。痺れの感じ方も多様でピリピリとかジンジンと表現される方もおられますし、痛みとして表現される方もいます。
物に触っても感覚がなかったり、または鈍くしか感じられない。麻痺が起きた側では触られたときの感覚が冷たい、温かいといった感覚がわかりにくくなるなど感覚が鈍感になったりすることがあります。そのため火傷に注意が必要となります。逆に過敏になり痺れを感じたり、痛みを生じたりする場合もあります。
脳出血発症後半年くらい経ってからしびれが強くなるケースもあります。
感覚障害の不快感から不眠や食欲不振を引き起こす場合もあります。こういった痺れや痛みに対しては通常の痛み止め薬ではききにくいとされています。
③構音障害・失語症
構音障害
いわゆる呂律の回りにくさで、比較的回復しやすい場合と症状が長期にわたり残りやすい場合がある。
口や舌の筋肉がマヒしたために発声や発音が上手くできなくなったもの。
いわゆる「ろれつ」が回らないような話し方になりますが、話の内容や言葉の理解に問題はありません。口や下の筋肉を動かす訓練や発声練習などで、順調に回復することもあります。
舌の短縮を防止するための地獄の特訓が待っています。(ファイト!)
失語症
脳の言語を司る部分が損傷すると、言葉や文字の理解ができなくなる場合があり、喋れない、文字が書けないなど、意思の疎通が難しくなることがあります。これは大脳の言語中枢という場所で障害を受けると起こるものです。障害を受ける場所によって運動性失語と感覚性失語の2つのパターンに分かれます。運動性失語とは思った通りに話せなくなります。感覚性失語の場合は会話が成立しないことが多い。失語症は言語的コミュニケーション能力が著しく低下します。
失語症の場合、体の麻痺と比較すると回復に時間がかかることが多いです。
構音障害・失語症でお困りの方は是非お近くの言語聴覚士さんにご相談ください。きっとステキな助言がいただけると思います。(*- -)(*_ _)ペコリ
脳梗塞シリーズ29 脳梗塞後遺症④視野障害
こんにちは理学療法士の岡田です。今日は視野障害のお話です。
視野が狭くなったり、物が二重に見える「複視」という障害、片目の視野が見にくくなる「半盲」という障害もある。発症後長期間にわたって症状が残る場合も。
脳幹の眼球運動を司る部分が障害を受けると目に映るものが二重に見える後遺症(複視)が現れる場合があります。複視は脳梗塞の発症時に強く現れることがありますが、後遺症が改善するケースも多いと言われています。
また、後頭葉など視覚を司る部分に脳梗塞の障害を受けると後遺症(半盲)が発症する場合もあります。半盲は左目で見ても、右目で見ても、あるいは両目で見ても視野の左右どちらかが見えなくなります。後遺症として残りやすい障害です。視野の4分の1が欠けるなど部分的に見えなくなる(視野欠損)が起こる場合もあります。
脳梗塞シリーズ30脳梗塞後遺症⑤嚥下障害
2021.05.17
嚥下障害は口やのどの筋肉がマヒしてうまく飲み込みができなくなる状態をいいます。
食べ物を飲み込みにくくなる症状で、大脳の片側に病変が限られている場合は回復が見込めるが、出血の起こった部位によっては回復が難しい可能性もあります。
食べ物が入ってくると、通常なら口や舌、のどの筋肉が働き、喉頭蓋が閉じて気管をふさぐため、食べ物は食道へとスムーズに運ばれます。しかし、これらの筋肉に麻痺がある場合は喉頭蓋が閉じず、食べ物が気管に入り込むことがあります。これを誤嚥(ごえん)といいます。またむせることなく本人の気が付かないうちに飲食物が気管へと流れ込むものを不顕性誤嚥といいます。
嚥下障害があると、栄養不良になりやすいだけでなく、誤嚥性(ごえんせい)肺炎のリスクが高くなります。
誤嚥性肺炎とは、飲食物や唾液、胃から逆流した食べ物が気管から肺へと入り込み、その際に細菌も一緒に流れ込んで増殖する病気です。再発を繰り返し、死亡する場合もあります。意外かもしれませんが死の病なのです。ちなみにですが、肺炎は死亡原因の第5位です。
嚥下障害がある場合、とろみをつけた飲み込みやすい食事などで嚥下訓練を行い、徐々にふつうの食事に戻していきます。
脳梗塞シリーズ31 脳梗塞後遺症⑥排尿障害
2021.05.21
こんにちは理学療法士の岡田です。今日は排尿障害です。とっても医師やケアマネージャーからもオーダーの多いところですね。介護保険下の理学療法士はごはん・お風呂・トイレ動作の構築が必須です。その三つの日常生活動作との戦いと言っても過言ではないでしょう。歩行はトイレ動作やお風呂動作の移動に含まれるのでトイレ動作を作る。ということは必然的に歩行を含めた移動能力の構築も入るということです。トイレ動作を患者さんお一人でできるようにするリハビリのための知識となります。とっても大事なところです。
脳梗塞なってから「トイレが近くなった」「おしっこが漏れてしまう」なんてことを経験されておられる方も患者様の中にはおられるのではないでしょうか。
そこで今日は排尿障害について書いていきたいと思います。
排尿のメカニズムはとーーーーっても難しい。大昔、学生時分に先生にいくら教えてもらってもなかなか理解できなかったのを思い出します。(笑)
至極簡単に説明しますね。
膀胱尿が溜まるとその情報は脊髄を通って脳へ行きます。
膀胱パンパン⇒ 脊髄 ⇒ 脳 ⇒「おしっこがしたい!!」
膀胱パンパン情報が大親分である脳に伝わり「おしっこがしたい!!」と私たちは思う訳です。しかし大親分である脳は「ここで出してはいけないよ。トイレまで我慢しましょうね」と子分である延髄の橋に伝えます。橋にある排尿中枢が「野郎どもまだ出しちゃだめだ!」と第二の子分である仙髄に命令します。すると第二の排尿中枢の仙髄が「橋の親分今はおしっこ禁止ですかい。ラジャーでげず」と排尿反射を抑制しおしっこが漏れないように我慢するのです。
さーいよいよ股間をもじもじしながらトイレまでやってきました。
脳(親分) 「尿を出していいよ」
⇒
橋(第一の子分)「野郎どもお親分さんからおしっこしてよし。とのご命令だ」
⇒
脊髄の仙髄(第二の子分)「がってんしょうちの助でい!尿道を緩めて、膀胱を収縮させまさぁ。」
ってことになって尿は膀胱から尿道を通ってじょぼじょぼっと排出されるのです。
排尿のメカニズムを簡単に書いてみましたが分かっていただけたでしょうか?
(余計分かり辛いわ!って方もござりましょうが、ご了承ください。)
排尿障害はこの一連の流れがどこかで途切れちゃったりして、おしっこが漏れたり、近くなったりするんですね。
排尿について造詣が深まったところで本題に入ります。
脳卒中になった方の約半数に排尿障害,とくに 過活動膀胱がみられます。前 頭葉病変で過活動膀胱を呈することが多いことから、前頭葉は排尿反射に抑制的に作用しるんじゃないかな。ってことになっています。
では、過活動性膀胱って何?って話になります。過活動膀胱は40歳以上の日本人では800万人以上がこの症状を経験していると意外にメジャーな症状なんですね。
過活動膀胱になると自分の意思に反して膀胱が勝手に縮んだり、過敏になったりして、膀胱内に尿がそれほどたまっていないうちにトイレに行きたくなったり、がまんできない尿意がでる状態となります。
そして、排尿障害でよく出てくるワードとして「神経因性膀胱」があります。
神経因性膀胱は、脳・脊髄の中枢神経、あるいは脊髄から膀胱に至るまでの末梢神経の様々な病気により、膀胱や尿道の働きが障害され、排尿障害をきたす病気の総称です。つまり、尿を溜めたり(蓄尿)出したり(排尿)する信号がうまく伝える事が出来なくなった状態ですね。ゆえに、神経因性膀胱の方は、この膀胱の機能が低下してしまってうまく尿を貯められなかったり、おしっこをしようと思っても排尿できなかったりします。
脳梗塞シリーズ32 脳梗塞後遺症⑦ うつ症状・感情障害
⑦うつ症状や感情障害などの精神症状
脳血管障害により気持ちが沈みがちになり、意欲が低下して、うつ状態になるケースはよくあります。これは、脳卒中で脳がダメージを受けたことが原因の場合もありますが、後遺症に対する心理的負担などが原因になっていることもあります。
また、脳の前頭部分に障害を受けると、感情のコントロールが難しくなる感情障害が起きることもあります。
以前は温厚な性格だったのに、発病後は不機嫌で怒りやすくなったり、急に理由もなく泣き出したりすることなどもあり感情が不安定になる人もいます。
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