運動障害、感覚障害、認知症に肩手症候群まで様々な後遺症や合併症をご紹介してきました。
そんな症状のことはわかっているのだ。ネットで調べて熟知しているのだ。どうやったら治せるのかが知りたいのだ。という声が聞こえてきそうです。
ケアマネジャーさんの勉強会や老人大学等で地域住民の方々にお話したときも
「リハビリをしていただきこんなにも改善されました!!」
的なものをパワーポイントやスライドを用いて動画や写真でお見せするのですが皆さまが一様にお聞きになられるのが
「どうやってよくなったんですか?」
というご質問です。いつもこの質問を受けると私は困惑してしまうのです。
なぜならば。
脳血管障害の後遺症は無数にありその組み合わせは数え切れません。つまり、患者様お一人お一人オーダーメイドでプログラムは決まりますのでまさに百人百様のリハビリメニューとなります。また、障害の程度の問題だけでなく、患者様の生活様式や性格、その日の気分。障害は改善したいけれど辛いリハビリはしたくない。等々でやはりリハビリメニューは変化します。
たとえ話で説明してみましょう。例えば車を走らせるのに大事なネジが一本あったとしましょう。車は人の体、ネジが理学療法を構成している知識、手段、手法の一つだとします。車はネジが無くては走りません。ですが、ネジだけあっても車は当然走らないのです。
お判りいただけたでしょうか?
ご理解をいただくためにもう一つ例を挙げてみたいと思います。
「リハビリ」はワインやお料理に例えられることが多いです。料理は誰でも知っています。お母さんが作ってくれる料理。自分でインスタントラーメンを作っても料理です。つまり料理は誰でもできるし、誰もが知っているのです。しかし、その一方で一流のシェフ。町の名店。なんてものがあってプロの料理人がお料理を提供しています。
人生をかけた社会復帰の為の「リハビリ」を自己流でカップラーメンのように作るのか。町のシェフ(リハビリ専門職)に頼むのかは患者様の選択になります。
そしてこの「リハビリ」を構成している知識、手段、手法は料理で例えるならば野菜やお肉と言った素材に過ぎません。例えば歩行練習の一例を挙げたとしてもそれは「大根」の栄養素であるビタミンPを知ったことぐらいのものです。おでんには決してなりません。それではおでんの作り方を教えてくれればいいじゃないか。ってことになりますが、先ほど説明しました通り、人は機械ではありませんので百人百様の治療法が必要となるわけです。
ゆえに、「どうやったら良くなる」が答えにくいのです。
つまりネジの種類、手段・手法の一つだけ聞いても車は決して走ることはない。ビタミンPだけ知っていても料理はできないのです。
療法士の使うテクニックや手段・手法にはすべて根拠(エビデンス)が存在します。数多あるエビデンスを取捨選択し組み合わせてその日の患者様のプログラムが完成します。
「比類なき脳梗塞後遺症撃退体操」のような夢のお手軽メニュー的なものは一切存在しません。脳血管障害の後遺症も百人百様。その方の職業や趣味、やりたいことも百人百様。患者さんのその日の気分も日替わりメニュー。それゆえプログラムも患者様に合わせてどんどん取捨選択していき変化させていく。(むろん、手段は違いますが目的を達成するためのリハプログラムの変更です。)
ゆえに、「どうやったら」は答えるのが難しい。
とはいえ、そのプログラム要素であるテクニックやエビデンスにはどのようなものがあるのだ、とお思いの方もおられることでしょう。
そこで次回からはリハビリテーションプログラムを構成している要素(エビデンスやテクニック)をご紹介していきたいと思います。リハビリテーションプログラム要素のほんのさわりだけですがお伝えしていきたいと思います。(*- -)(*_ _)ペコリ
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