脳梗塞の後遺症でシビレが出現する原因
脳梗塞後遺症のシビレを説明する前に、一般的なシビレ症状についてお伝えする必要があります。シビレの原因には末梢神経系のものと中枢神経系のものが存在します。末梢神経系のシビレは、体全体に巡らされた神経が何らかの原因で圧迫されたり、傷ついたりしておきます。腱鞘炎による手のシビレ、糖尿病のシビレ、正座をした際の足のシビレなどが当てはまります。一方で、中枢神経系のシビレは、脊髄や脳が損傷することで発現します。脳梗塞によるシビレは後者にあたります。
大脳の感覚にある感覚を司る場所は、体性感覚野といい触覚、痛覚、温覚などを処理する中枢です。(図を参照)脳梗塞によって感覚野が損傷されると、感覚異常をきたしてしまいます。その一つがシビレです。
シビレ 大脳体性感覚野
シビレ改善にマッサージは効果があるのか?
マッサージは、体表のツボや筋肉に対して、刺激を与える技法です。血流の改善や、筋緊張を和らげることで、こりや痛み、不定愁訴の軽減を行う事ができます。では、マッサージはシビレに対して効果はあるのでしょうか?前述した、末梢神経系が原因のシビレに対しては、筋肉の緊張や血流を改善させることで効果を期待できることがあります。一方で、脳梗塞によるシビレは中枢神経系のシビレにあたります。脳や視床の神経回路が直接損傷されているため、マッサージによる根本改善は難しいといえます。
しかし、科学的根拠はありませんが、現場レベルでは、「シビレが楽になる」「シビレが弱くなった」「シビレの位置が変わった」などの声を聞くことは少なくありません。リラックス効果から、シビレに対する執着が軽減し、結果として生活の質を向上させることができます。
脳梗塞に有効なツボ4選
脳梗塞後遺症における痺れを完全に消失させる方法は西洋医学、東洋医学、供に確率されていません。しかし、治療を行うなかでシビレの減少を経験することがあります。そこで、シビレを軽減させるのに有効なツボを紹介します。シビレの出現は、手と足に集中することが多くなります。自分でも比較的押しやすいという事を考慮して紹介します。
手三里
肘を曲げた時、親指側にできるしわの先端が曲池というツボになります。手三里は曲池から指三本分下に向かったところにあります。押さえると手の甲の辺まで響く感じがあります。シビレの感覚は、体内を流れる神経と関係しています。手三里は、指を伸ばす時(特に第1指から第3指)に関係する橈骨神経上にあります。従来の手三里より少し下(赤いポイント)を使用すると強い響き感を得る事ができます。
指間穴
指間穴は八邪穴とも言われる脳梗塞定番のツボです。指の間にあり、いわゆる水かきの場所にあります。専門的に言うと中手骨体の間です。おさえると、ジワリと響く感覚が指先まで届きます。手指は、細かい動きをするために細かい神経が沢山あります。指末端のシビレが強い場合に、このツボを押すことで症状を和らげることができる可能性があります。
承山
承山はふくらはぎのツボで、膝裏からかかとまでの間の中間にあります。足関節を下に向ける(底屈)下腿三頭筋の上にあります。麻痺によって足関節の足尖(つま先が下を向いてしまう)や内反が起きている方は、下腿三頭筋が痙縮していることがあります。脳梗塞により、ふくらはぎから足裏がシビレることがあります。その時は承山を中心として、アキレス腱まで(青線)を刺激し、足の裏も押してあげると血流の改善が見込めます。
太衝
太衝は足の第一趾と第二趾の骨の間にあります。東洋医学の「血」の巡りをよくさせる有名なツボです。脳梗塞によって足がシビレ方は、足が冷たい、足の血色が悪いなどの状態になっている場合があります。血の流れを良くすることで、こういった状態の改善を目指し、シビレの軽減を行います。また、太衝を強く押すと激痛が走ります。一時的にシビレ症状を麻痺させる効果もあります。
シビレに効果的なマッサージ方法
セルフケアでマッサージをする際に、どれくらいの強さで、どれくらいの時間をやれば良いのか。効果的にマッサージを行うための注意点をご説明します。
マッサージの強さ
通常の筋肉をマッサージする際の基準は、「痛い気持ちいい」と感じる位です。ツボを押すと「ソレソレ」と感じる場所があります。その場合押す位置は合っているので、あとは強さを痛い気持ちいいに調整してみてください。一方、脳梗塞によってシビレを感じている方は、麻痺の影響で、痛い気持ち良さを感じない場合があります。押されているまたは、ただ痛いだけの感覚になります。その場合は、痛くなる手前で止めてください。うまくいくと、シビレの強さが少し弱まるポイントがあります。その強さを維持するようにしてください。
マッサージを行う時間
マッサージの時間は長ければいいというわけではありません。長時間押しすぎると、刺激を与え過ぎた影響で筋肉が疲労して痛みやだるさを感じることがあります。これをドーゼオーバーといいます。同じ部位を行う場合は、その周囲の筋肉を含めて、5分程度でOKです。感覚を開けて、1日3回ほど行うのが良いでしょう。
マッサージを行う上での注意点
①グイグイ押さない 押し方はジワッと圧をかけて、そのポイントで揺らすことです。グイグイグイと心臓マッサージのようなリズムで押す押し方はおすすめしません。
②同じ場所を続けて押さない 気持ちの良い場所があると、同じ場所を一点集中で押しがちになります。しかし、これは先述したようなドーゼオーバーになる可能があるので、その周囲の筋肉もしっかり押すようにしてください。
③シビレが増えたら中断する 神経上の筋肉を押すことで一時的にシビレが増える事があります。その場合は、いったん中断させて、元に戻ったら再開してください。
当施設でのリハビリを紹介
全身調整法
ハートメディカルグループが独自に考案した体全身に対する手技療法です。東洋医学の考えをベースとしており、ほとんどの症状に対応しています。体全体の経穴に少し強めの圧刺激を入れていくことで、気血の流れを改善し、体の回復能力を高めていきます。シビレている部位のみでなく、体全体に刺激を入れるため、全身の血流改善を促し症状改善を行っていきます。
当グループ内の接骨院でも基本となる手技療法で、多くの痛みや不調を改善してきた実績があります。
リハビリ
当施設でのリハビリは、日本発で世界が注目している「川平法」を実施しています。自費リハビリで川平法を実施している施設は少なく、特に東海三県で唯一の「川平法」のリハビリテーションを提供できる実施施設として公式に認められています。また、イギリスで開発され世界中のリハビリステーションで実施されている「ボバースコンセプト」も取り入れています。「川平法」と「ボバースコンセプト」のハイブリットなリハビリも特徴となっています。シビレに対しては、これらの考えをもとにして、多角的なアプローチが可能となっています。
鍼治療
当施設では、脳梗塞の後遺症に対して鍼治療を実施しています。リハビリは受けたことはあるが、鍼を受けたことないという方は沢山いらっしゃいます。そういった鍼が初めての方でも安心していただけるように、最大限配慮を行っていますのでご安心ください。
一般的な鍼治療と全く違うのが、「醒脳開竅法」セイノウカイキョウホウという、治療法を扱っている事です。中国で創始発展した、脳梗塞に特化した治療法で、日本で扱っている施設はほとんどありません。その技法の創業者に直接従事した代表と、そこから学んだスタッフが、ラボで実践しています。シビレに対してもよい効果を経験しています。
※大好評につきご予約がお取りできない日もございます。
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この記事を書いた人
矢澤 大輔 鍼灸師
修士号(医科学)取得
業界歴15年。入社以来主に鍼灸接骨院に勤務し、様々な痛みと向き合ってきました。リハビリラボでは開設以来鍼施術を担当しています。痛み、痙縮、痺れ、麻痺などいろいろな悩みに対して、鍼と手技でアプローチしていきます。体だけでなく、心の支えにもなれるよう関わらせていただきます。