脳梗塞は再発しやすいのか?してしまった場合のリスクも解説

2024.09.13
LINE友達追加はこちら

 統計によれば、日本では毎年約29万人が脳卒中(脳梗塞、一過性脳虚血発作、脳出血、クモ膜下出血)を発症しています。その約70%~80%が脳梗塞とされており、約21万人が発症している計算になります。近年、日本における脳梗塞の再発リスクが増加傾向にあります。脳梗塞発症者の約30%が再発により、深刻な後遺症を引き起こしています。再発は単なる「再び起こること」ではなく、生命や生活の質に重大な影響を及ぼす可能性があります。本記事では、脳梗塞の再発リスクと、その影響、再発を防ぐために気をつけるべきポイントについて解説します。

 脳梗塞は、脳内の血管が詰まり、酸素や栄養が十分に供給されない状態になることによって起こる病気です。一度脳梗塞を発症した人は、再び同じ部位か、他の部位で脳梗塞を起こすリスクが高くなります。再発率は発症から1年で10%、5年で35%、10年で50%と言われています。※大塚製薬HP 中でも、初回の発症後、6か月から1年の間に最もリスクが高いとされています。その後も生涯にわたり再発のリスクを抱えることになります。

 脳梗塞が再発すると、初回よりも重篤な身体的後遺症が残る可能性が高くなります。再発によってさらに多くの脳細胞が損傷を受けるため、運動機能の低下や麻痺、言語障害が悪化することがあります。特に高齢者の場合、再発による身体的な負担は大きく、介護が必要になるケースが増加します。再発予防が何よりも重要となります。

 再発の恐怖や実際に再発したことによるショックは、患者の精神的・心理的健康にも深刻な影響を与えます。脳梗塞により、ストレスへの適応力が徐々に低下していき、うつ病を発症するリスクが高まります。再発後はさらにうつ病や不安障害を発症するリスクが高まり、社会的な孤立感を感じる人も少なくありません。精神的なサポートが不足すると、リハビリへの意欲も低下し、さらに再発のリスクが高まるという悪循環に陥ることがあります。

 再発によって、患者の生活の質(QOL)は大きく低下します。再び入院やリハビリが必要となり、日常生活の自立が困難になることが多いです。また、家族への負担も増大し、経済的な負担も避けられません。生活の質の低下は、患者本人だけでなく、その家族にも大きな影響を及ぼします。

 循環器系の数値の悪化は脳梗塞の原因となります。特に高血圧と高脂血症には注意が必要です。高血圧は脳梗塞の最大のリスクファクターの一つであり、再発のリスクも高めます。血圧が高い状態が続くと、脳内の血管に負担がかかり、再び梗塞を引き起こす可能性が高くなります。高血圧の管理は、再発予防のための基本的な対策の一つです。また、高脂血症は血管の動脈硬化をはやめ、脳梗塞のリスクとなります。

 糖尿病は血管を傷つける原因となり、脳梗塞の再発リスクを増大させます。血糖値の管理が不十分な場合、動脈硬化が進行し、脳梗塞の再発リスクがさらに高まります。糖尿病患者は、特に血糖コントロールに注意することが重要です。

 喫煙や過度の飲酒は、血管を傷つけ、脳梗塞の再発リスクを大幅に高めます。タバコに含まれる有害物質が血管を硬化させる一方で、アルコールは血圧を上昇させるため、どちらも再発リスクに寄与します。これらの習慣を改善することが再発予防に不可欠です。

 不規則な食生活や運動不足、ストレスの多い生活は、脳梗塞の再発リスクを高める要因です。特に食事においては、塩分や脂肪分の多い食事が血圧やコレステロールを上昇させるため、注意が必要です。規則正しい生活習慣の維持が再発予防に重要です。

脳梗塞再発の原因は、脳梗塞発症の原因と同じです。よって、循環器系のコントロール、基礎疾患の管理、生活習慣の改善が必須となります。

 脳梗塞後のリハビリは、再発予防のために非常に重要です。リハビリを通じて、運動機能の回復だけでなく、再発リスクを減少させることができます。医師やリハビリ専門家と連携し、個々の状態に合ったリハビリプランを立てることが必要です。そういった管理をされていない軽度な場合は、有酸素運動等で、一日30分程度の運動を続けていく事が推奨されます。運動することで血圧の低下、動脈硬化の予防が期待できます。

再発予防のためには、日常生活の改善が不可欠です。バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙、節酒が再発リスクを大きく減少させます。具体的には、一日の塩分摂取量は6グラム以下に抑えることが、高血圧予防に推奨されています。飽和脂肪酸や、トランス脂肪酸の多い食事は、コレステロールを上昇させてしまうので控えます。また、ストレスを軽減し、睡眠を十分にとることも重要です。

定期的な健康チェックは、脳梗塞再発の早期発見と予防に役立ちます。血圧や血糖値、コレステロール値の管理を定期的に行い、異常があれば早めに対処することが必要です。また、病気により投薬を行っている方は、医師の指示なしに、中断したり、量を減らしたりしないようにしましょう。医師と相談しながら、最適な予防策を講じることが重要です。

 脳梗塞の再発は、身体的、精神的、そして生活の質に深刻な影響を与えます。しかし、リスクファクターを理解し、適切な予防策を講じることで、そのリスクを大きく減少させることができます。高血圧や糖尿病の管理、生活習慣の改善、そして定期的な医療チェックを怠らないようにすることが、脳梗塞の再発を防ぐ鍵となります。再発のリスクを減らし、健康な生活を維持するための努力を続けましょう。

※大好評につきご予約がお取りできない日もございます。
ご予約はお早めに!

この記事を書いた人

矢澤 大輔 鍼灸師

修士号(医科学)取得

業界歴15年。入社以来主に鍼灸接骨院に勤務し、様々な痛みと向き合ってきました。リハビリラボでは開設以来鍼施術を担当しています。痛み、痙縮、痺れ、麻痺などいろいろな悩みに対して、鍼と手技でアプローチしていきます。体だけでなく、心の支えにもなれるよう関わらせていただきます。