
脳梗塞は、発症後の経過が良好であっても再発リスクが常に伴う疾患です。
国内の疫学研究では、※①脳梗塞は発症後1年で約10%、10年で約半数が再発すると報告されています。再発時は初回よりも重い後遺症が残ることが多く、日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)を大きく低下させます。
実際に脳梗塞、脳出血になってしまった方は、どんな事に気を付けて生活していけばいいのでしょうか?本記事では、現実的かつ継続可能な再発防止策を理解できるよう、医学的根拠と臨床現場の視点を交えて解説します。
※①Hata J, et al. Ten year recurrence after first ever stroke in a Japanese community: the Hisayama study.
J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2005;76(3):368–372.
脳梗塞はなぜ再発しやすいのか
脳梗塞が再発しやすい理由の一つは、初回発症の背景にある原因が長期間にわたって持続する点にあります。
脳梗塞には、心臓由来の血栓が原因となるタイプ、動脈硬化が進行して起こるタイプ、脳内の細い血管が詰まるタイプなどがあります。
臨床的に重要なのは、再発の多くが初回と同じタイプで起こりやすいという事実です。これは、動脈硬化や血流異常といった循環系の異常が改善されないまま残り続ける事のリスクを表しています。病気に慣れてしまうと、食生活や運動習慣が以前のように戻ってしまうパターンもあります。このような場合、血圧変動が大きくなったり、体重が増加したりすることも再発リスクを高めます。
「症状が落ち着いた=安全」という認識は、再発防止の観点では非常に危険です。
脳梗塞 再発防止の基本的な考え方

再発防止は一時的な対策ではなく、生活全体を見直す長期的な取り組みです。
基本的な考え方は以下の3点に集約されます。
- 血栓を作りにくい身体環境を維持する
- 再発に関わる危険因子を安定して管理する
- 無理なく継続できる生活習慣を整える
これらは独立した要素ではなく、相互に影響し合います。
たとえば運動量の低下は血圧上昇や体重増加を招きます。乱れた食生活も動脈硬化を進行させ、結果として再発リスクを高める事になります。
脳梗塞 再発防止の3つの柱
① 血栓を作らない生活管理
血栓形成を防ぐためには、日常生活の中で血液循環を安定させることが重要です。
特に注意すべきなのが脱水です。水分不足になると血液が濃縮され、血栓ができやすくなります。高齢者では喉の渇きを感じにくくなるため、意識的な水分摂取が必要です。
また、入浴やトイレ動作に伴う急激な血圧変動も再発の引き金となることがあります。長湯や高温浴、寒暖差の大きい環境は避け、身体への負担を最小限に抑える工夫が求められます。冬場のお風呂は、脱衣所、室内を温めて、浴槽内とお湯の温度差を縮めておくことが賢明です。
② 再発の危険因子を管理する

脳梗塞再発に深く関与する危険因子には、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙があります。これらは脳梗塞のタイプに関係なく管理が必要で、特に高血圧は再発リスクと強い関連があります。
臨床では、外来受診時の血圧だけでなく、家庭血圧の把握が再発防止に大きく寄与します。日常の血圧変動を把握することは、生活習慣改善の指標にもなります。
③ 生活習慣の改善を継続する
食事
塩分摂取量は1日6g未満を目標とし、野菜や魚を中心とした食事を心がけます。本などで記載されている「少々」は親指と人差し指で摘まんだ量で、0.3g~0.6g程度です。
また、朝食を抜く習慣は血圧変動を大きくし、再発リスクを高める可能性があるため注意が必要です。
運動
運動は血圧・血糖・脂質の改善に加え、精神面の安定にも寄与します。
歩行が困難な場合でも、座位や臥位での運動を継続することで循環機能を保つことができます。
体重管理
内臓脂肪の増加は動脈硬化を進行させてしまいます。内臓脂肪は皮下脂肪に比べて落としやすい脂肪です。持続的な有酸素運動が、内臓脂肪燃焼に効果的です。急激な減量ではなく維持可能な体重管理が重要です。

リハビリの視点から見た再発防止の重要性
リハビリは単なる機能回復の手段ではありません。活動量の確保、血流改善、生活リズムの安定といった点で、再発防止に直接関与します。普段から体を動かしておくことで、身体の些細な変化に気づくこともでき、早期対応にもつながります。
臨床現場では、転倒への恐怖や自信低下により活動量が減少し、その結果として再発に至るケースを多く経験します。
安全性を確保しながら「動き続ける環境」を作ることが、再発防止の鍵となります。これは本当に重要な事です。
定期的なチェックと早期対応
自覚症状がなくても、再発リスクは常に存在します。血圧測定、血液検査、年1回程度の画像検査は、再発予防の基盤です。
また、日常生活での疲労感、歩行の変化、言葉の出にくさなど、小さな変化を見逃さないこと重要です。腕が上がりにくいなど、些細な動作から、脳梗塞の早期発見につながることがあります
最後に 再発防止は「続けられること」が最も重要

脳 梗塞になってしまうと、だれもが「再発してしまうのではないか?」と不安に駆られてしまいます。
脳梗塞の再発防止は、特別な努力よりも日常生活の積み重ねが大きな力を持ちます。ご本人だけで抱え込まず、家族や医療・リハビリ専門職と協力しながら、無理なく続けられる形を作ることが大切です。
再発を防ぐことは、未来の生活を守ることにつながります。
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この記事を書いた人

矢澤 大輔 鍼灸師
修士号(医科学)取得
業界歴15年。入社以来主に鍼灸接骨院に勤務し、様々な痛みと向き合ってきました。リハビリラボでは開設以来鍼施術を担当しています。痛み、痙縮、痺れ、麻痺などいろいろな悩みに対して、鍼と手技でアプローチしていきます。体だけでなく、心の支えにもなれるよう関わらせていただきます。