頻尿について ~脳梗塞との関係~

2023.09.25
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加齢により、体の状態が少しづつ変化を起こします。その中でも頻尿は多くの人が悩む不定愁訴の一つです。

また、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害になってしまうと、頻尿になってしまうケースが多くあります。今回は頻尿について記載しています。なぜ脳血管障害で頻尿になるかも簡単に説明していますので最後までお読みください。

尿の出るしくみ

尿は血液をもととして腎臓で作られています。 腎臓に流れ込んだ血液は、糸球体、尿細管、腎盂といった場所をとおり、いるものといらないものに分別され(ろ過)、尿が出来上がります。1日に腎臓がろ過する血液の量は150リットルになります。腎盂でできた尿は、尿管を通って膀胱に貯められ、尿道から排出されます。1日にろ過された分の1%が尿として排泄されるので約1.5lが1日の尿量になります。

排尿反射

尿が出る仕組みです。

成人の膀胱容量は約500mlです。腎臓で生成された尿は膀胱に蓄尿されていきます。ある一定の尿量までは、膀胱内圧に変化が起きないので尿意を感じる事はありません。この時、自律神経に支配されている膀胱は弛緩し、内外尿道括約筋は収縮しているので蓄尿の状態を作っています。そして、尿量が400mlを越えてくると膀胱内圧が急に上昇します。すると膀胱の伸展受容器が刺激されて、脳幹の排尿中枢から大脳皮質に、「尿がたまりました」という指令が伝わります。そして、大脳から排尿指令が下り、大脳は徐々に蓄尿機能を解除していきます。急に解除されてしまうとあたり一面大変なことになってしまいます。そこで強力なストッパーとなるのが外尿道括約筋です。末梢神経の陰部神経支配なので尿排出を自分の意思で我慢することができます。排出する時になるとそれぞれの神経が協調して働き、排尿を行います。

頻尿

排尿の回数は、日中は3~7回、夜間尿は0~1回が正常とされています。これ以上であると頻尿があると判断されます。頻尿になる原因は大きく5つに分けられます。

① 膀胱への刺激が強くなり尿意が出やすくなる。

② 膀胱を支配している神経の障害。

③ 排尿がうまくいかず、残尿が多くなる。

④ 水分の過剰摂取による尿回数の増加。

⑤ 精神的不安や緊張

脳梗塞、脳出血による頻尿

脳梗塞、脳出出血などの中枢性神経疾患で頻尿になる事があります。病気により排尿反射が亢進してしまい、膀胱に十分な量の尿をためる事ができなくなります。膀胱にわずかの尿が貯まっただけで尿意が生じてしまいます。(尿意切迫感)

また、血圧の高い人は夜間に腎臓の血流が増加するため夜間尿量が増加し、排尿回数が増えてしまいます。

運動性切迫性尿失禁と知覚性切迫性尿失禁

頻尿が我慢できないと失禁を起こしてしまいます。典型的な運動性切迫性尿失禁は脳卒中後の患者さんにみられます。脳の排尿中枢の障害により膀胱の蓄尿機能障害が起き,尿貯留が少量でも排尿反射が起こり,膀胱が収縮してしまうため失禁となる状態のことをいいます。このように膀胱が勝手に収縮してしまうことを無抑制収縮とよびます。知覚性切迫性尿失禁は、膀胱炎、前立腺肥大症、膀胱結石などになり、強い尿意を生じた時に抑制がきかず失禁してしまいます。

頻尿の治療

治療には膀胱を弛緩させるAchレセプター遮断薬(抗コリン薬)やβレセプター刺激薬を使用します。

薬物療法が基本となりますが、切迫性尿失禁予防のアナログな運動も有用な事があります。骨盤底筋を鍛える事で、少々の我慢ができるようになるため、「ちょろっと出てしまう」というような状態を予防することができます。

また、鍼治療においては、血流改善や、東洋医学的な体質改善により、日中、夜間の尿回数を減らすことができます。実際に、頻尿が原因で通院されている脳梗塞患者さんにも有効な効果が出ています。尿回数を減らすことはそのままQOLの改善につながります。悩んでいる方はぜひ相談してみて下さい。

男性で気を付けたい

前立腺肥大症

高齢男性の頻尿で、最初に疑わなければいけないのが前立腺肥大です。前立腺は男性にのみある組織で、加齢と共に肥大していきます。80歳になると90%の方に見られますが、実際に治療を行うのは1/4程度と言われています。前立腺肥大の原因はよくわかっていませんが、男性ホルモンの働きが関与しているようです。その他に遺伝的要因、肥満、高血圧、高血糖、脂質異常などがあげられます。

前立腺肥大は頻尿、残尿感、でにくさなどが主な症状ですが、放置すると尿路感染などの合併症を伴う事があります。因みに、前立腺肥大と前立腺がんは発症部分が異なるため、別の病気です。前立腺肥大が大きくなったからといって癌にはなりません。ただ、前立腺肥大は加齢により間違いなく起こるため、前立腺がんの人は前立腺肥大を100%ともなっています。

女性で気を付けたい

不安定膀胱

不安定膀胱は、明らかな神経障害が認められないにもかかわらず、膀胱(排尿筋)の不随的な収縮を生じる状態の総称です。尿失禁、頻尿の原因の一つとされています。

膀胱内に尿がたまると膀胱が無意識に収縮し、尿が漏れてしまいます。トイレに行きたくなったらもう間に合わない事(尿意切迫感)が多く、回数も増えるため頻尿を伴います。治療は、薬物療法の他に我慢すること、習慣を変える事が含まれています。また、排尿に重要な骨盤底筋の筋力低下がありますので、体操や筋力トレーニングを行うことで、尿漏れを我慢できるようになってきます。

骨盤底筋群

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この記事を書いた人

矢澤 大輔 鍼灸師

修士号(医科学)取得

業界歴15年。入社以来主に鍼灸接骨院に勤務し、様々な痛みと向き合ってきました。リハビリラボでは開設以来鍼施術を担当しています。痛み、痙縮、痺れ、麻痺などいろいろな悩みに対して、鍼と手技でアプローチしていきます。体だけでなく、心の支えにもなれるよう関わらせていただきます。

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