脳の機能局在と頭皮鍼について。簡単な頭のマッサージもお伝えします!

2022.10.28

こんにちは。鍼灸師の矢澤です。頭皮鍼について説明していきます。

頭皮鍼とは何ですか?という質問をされることがあります。

頭のツボ(例)
鍼を打つ

頭にマッサージをする、鍼をするという方法は昔から行われています。ちなみに頭に鍼をすることを頭皮鍼といいます。東洋医学的に、頭には50以上のツボが存在しています。それら一つ一つに経絡の流れがあり、症状に対応しています。なお、「頭は精明の府なり」「五臓六腑の精気はすべて頭に上っていく」と言われており、重要な治療点の一つと考えられています。よって、現代でも頭のツボを使って治療することはよくあります。

頭皮鍼の対応する症状は多岐にわたっており、脳梗塞や脳出血などの中枢神経障害、痛みやしびれ、内科疾患、精神疾患などにも使用されています。

一方で、現在行われている頭皮鍼は、東洋医学的な考えも入れながら、西洋医学の観点を盛り込んで刺す部位を決めています。それは脳の機能局在が明らかになってきたことで治療点に変化が起きてきているのです。

大脳の機能局在

では、頭皮鍼の説明の前に、大脳の形と機能をおさらいしておきましょう。

大脳の位置
大脳の分化

中心溝と外側溝によって前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉の4つに分化しています。それぞれの部位によって機能が違っており、それを機能局在といいます。

前頭葉

脳の司令塔となる部分です。思考、自発性、感情、性格、理性などの中心となっています。子供は前頭葉が未発達なので、我慢することができません。運動野があり、手足を動かす命令はここで出されて脳の中を通り、脊髄を経由して手足へ送られます。手指の運動野は広く、体幹に近いところは狭くなっています。ちなみに、手のリハビリに時間がかかるのはそれが原因です。発語に関する運動言語野(ブローカー野)もあります。

側頭葉

目の後ろ、こめかみから耳の後ろぐらいまでの範囲にあります。聴覚野と感覚性言語野(ウェルニッケ野)があります。ここが侵されると、言葉を理解することができなくなります。側頭葉の内側には、記憶、本能、情動に関わる部分があります。記憶に関わる部分を海馬といいます。一方で、海馬はアルコールに弱いため、泥酔して記憶が無くなるのは、海馬の機能が低下するためです。

頭頂葉

中心溝に沿って内外側に帯状に広がる大脳皮質の領域で、一次体性感覚野があります。感覚の情報処理を行う場所です。更に、運動を行う前の情報処理も行っています。

後頭葉

物をみる部分で視覚野があります。目からの情報を網膜が電気信号に変換し、視神経を通って後頭葉に伝えられます。

現在の頭皮鍼は、大脳の機能局在のマップを参考にしながら進化していきました。

比較的新しい治療法です。

頭皮鍼の歴史

頭に鍼を打つ手法はいくつか存在しますが、以下の3つが有名なものとなります。それぞれ開発者の頭文字をとって手法の名前になっています。

①焦氏頭皮鍼

1960年代に、中国医師の焦順発によって作られました。それまでの頭のツボを使用したものと違ったのは、脳の機能局在を参考にしたところでした。古典的な脳のロードマップを参考に刺激区を定位しました。詳しい位置は教科書に譲りますが、頭に13の刺激区を定め、各症状に対して刺激を入れていきます。

脳梗塞、脳出血のような中枢神経麻痺に対しての治療に応用ができるようになったのは画期的でした。

②朱氏頭皮鍼

1970年代になると中国医師の朱明清が焦氏頭皮鍼を改良し、より効果を追求し臨床応用できるような形にしました。経験医学で実績を積み上げ、より反応の出やすい点を刺激部位としました。補瀉の手技が加わること。鍼を刺しながら動作を行う運動鍼を実施しているところが特徴です。私が学生をしていた頃は教科書で、頭皮鍼といえば朱氏頭皮鍼でした。

③山元式新頭鍼療法(YNSA)

日本人医師の山元敏勝先生が、臨床経験を積み上げて独自に考案した頭皮鍼療法です。YNSAは、海外で評価が高く、世界各国で沢山に医師によって実践されています。つまり、日本には逆輸入のような形で普及し、鍼灸師を中心に広まりつつあります。特徴は、経絡や経穴を使わず、頭部にある9つの基本点と、独自の反射区(全身疾患に対応)と診断方法です。現在日本において積極的にセミナーがあり、研究が盛んな頭皮鍼はYNSAしかありません。ですから、必然として頭皮鍼を学ぶ人はYNSAになっていきます。自費リハ分野で鍼を実施している施設でYNSAを取り入れているところは多いと思います。https://ynsa-gakkai.com/

頭皮鍼の有用性

頭皮鍼の適応症状は多岐にわたります。脳梗塞、脳出血、などの中枢神経障害による痛みやしびれだけでなく、末梢性の痛み、しびれ全般にも使用できます。また、精神症状や自律神経症状、めまいや耳鳴り、内科系の症状も改善できる可能性があります。

・大脳の活性化
・脳血流の増加
・鍼を頭に刺したまま動作や運動ができる(運動鍼)
・安全(頭蓋骨があるのでそれ以上は刺さらない)

簡単!誰でも出来て気持ちが良いヘッドマッサージのやり方おしえます。

頭皮鍼は鍼灸師しかできませんが、頭のマッサージはだれでも行えることができます。

頭には沢山のツボがありまります。表在神経もあるので非常に敏感な部位となっています。高いリラックス効果を得ることができます。

ちなみにこちらの商品は昔はやっていた、ヘッドマッサージの道具になります。やられた人はわかりますが、ゾクゾクゾワゾワと、サブいぼが出る感覚を味わえますよ。ちなみにサブいぼとは関東では鳥肌ともいいます。

では、やり方をお伝えしていきます。

①マッサージを受ける方は仰向けで寝てもらいます。

②両手の指の腹で頭を鷲掴みにします。その際親指は頭の正中線を触るようにします。

③2~4秒ほど押します。

④手首を回内(バレーボールのトスの形)させて頭に密着させます。

⑤2~4秒ほど押します。

②の手の位置
③の手の位置

②~⑤を繰り返します。何回か押していると、別の位置に自然と指が行くようになり、だんだんうまくなっていきます。

相手が気持ちいいと言っていれば正解です(^^♪

ぜひ身近な人にやってみてください。頭皮鍼についてでした。最後はおまけでした。

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