パーキンソン病で使う鍼灸のツボ7穴

2023.06.17

今日もご覧いただきありがとうございます。当施設のリハビリは、脳梗塞、脳出血以外の症状でも対応しています。

その中でも比較的多いのがパーキンソン病の方です。パーキンソン病に対しても、鍼灸と運動療法を合わせたリハビリを提供しています。今回はパーキンソン病でよく使う鍼灸のツボをお伝えします。場所も記してありますので、セルフマッサージ等で利用してみてください。

パーキンソン病とは

全国で15万人の患者さんがいる、脳の病気です。ドーパミンという脳の神経伝達物質が減ってしまう事が原因で発症します。

ドーパミンをつくるドーパミン神経細胞は中脳の黒質にあります。これが何らかの原因でこわれてしまい、作られるドーパミンの量が減ってしまうことで様々な症状が現れます。

ドーパミンは意欲や快楽といった報酬系の感情に関係しているほか、運動の調節にも関与します。よってドーパミンの生成が少なくなると、体が動きにくくなったり体が震えたりしてしまいます。

パーキンソン病の鍼治療

パーキンソンの主な症状は以下の4つです。

  • ①安静時振戦 (ふるえる)
  • ②筋の固縮 (筋肉が固まる)
  • ③無動・寡動 (動作が鈍くなる。反応が悪くなる)
  • ④姿勢反射障害 (バランスが悪くなる)

また、パーキンソン病に伴う随伴症状として

  • ・便秘
  • ・頻尿
  • ・痛み
  • ・姿勢不良
  • ・シビレ
  • ・睡眠障害

などが挙げられます。鍼灸治療はこれらの症状に対してアプローチを行っていくため、全身的な調整が必要となります。

ツボの紹介

上星

顔の正中線上で、頭髪際から2センチ上方にあります。目や鼻の症状に効果があります。

ここでは割愛させて頂きますが、ある流派の考えの中では脳幹という治療点にあたります。脳幹は中脳、橋、延髄を合わせた部分を言います。中脳はパーキンソン病と密接に関係しています。

太陽

目のツボで有名です。臨床的には頭がすっきりする、目がすっきりするといったことを実感される方を多く経験します。パーキンソン病は意識低下、表情が乏しいなどの症状があります。そういった部分を刺激できます。

頚部背部1行線

1行線とは、頚部から腰部まで24個ある椎骨の棘突起(背骨の尖った部分)の際のラインをいいます。左右合わせて2つの線があります。背部の痛みや内臓疾患にも使用します。パーキンソン病の方は徐々に前傾がつよくなり、姿勢が悪くなる傾向にあります。

特に頚部から背部にかけて、曲がりが強いため、この部分の筋肉が固まってしまいます。予防、進行防止にも効果があります。

天枢

おへそから指三本分横にあります。便秘などお通じをよくする効果があります。指で押したり摩ったりするのでもよく、やっている最中からお腹がゴロゴロとなりだすこともあります。その他胃腸疾患にも有効です。

血海

膝のお皿から指三本分上の位置にあります。血の巡りをよくするツボです。ここでいう血とは西洋医学でいう血液とは違い、東洋医学でいう血(けつ)です。パーキンソン症状の原因の一つを全身の血の流れの停滞ととらえ、このツボを使用します。

足三里

膝のお皿から指四本分下に位置しています。様々な不定愁訴に使用する超有名なツボです。胃腸疾患だけでなく、足の症状にも使用します。姿勢が悪くなり小股歩きが定着している場合、特に固まっていることが多いです。

太衝

足の第一趾と第二趾の骨の間にあります。強く押すと激痛が走ります。東洋医学の「血」の巡りをよくさせます。末端冷え性だが、顔は温かい。のぼせやすい症状など効果を発揮します。

おわりに

今回は、パーキンソン病で使用する鍼灸のツボを7つ紹介しました。

太陽、上星、頚背部一行線、天枢、血海、足三里、太衝。

場所も示してありますので、自分で押せるところは押してみてください。押した際に周りに鈍痛感覚(ひびく感覚)が出る程度の強さで行うことがコツです。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

矢澤 大輔 鍼灸師

修士号(医科学)取得

業界歴15年。入社以来主に鍼灸接骨院に勤務し、様々な痛みと向き合ってきました。リハビリラボでは開設以来鍼施術を担当しています。痛み、痙縮、痺れ、麻痺などいろいろな悩みに対して、鍼と手技でアプローチしていきます。体だけでなく、心の支えにもなれるよう関わらせていただきます。