高齢と筋力と体力

2022.04.09

こんにちは!鍼灸師の矢澤です。

4月から新メンバーを迎えて賑やかワイワイになりました。楽しいですね。

今日は高齢者の体力とそれにまつわるキーワードの勉強です。

高齢になると、運動機能は低下していきます。そのなかでも筋力は指標としてわかりやすく、様々な退行性の病変と相関付けられています。超高齢化社会の中で、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる「健康寿命」を伸ばすことが大きな課題となっています。

一方で、似たような意味合いで使用される「体力」ですが、これは持久力と筋力の総和ととらえています。その体力を効率的に増やす魔法のウォーキング方法は以前のブログで上げさせてもらいましたね。

/2021/08/30/about-walking-1/
/2021/09/27/about-walking-stroke/

テレビをつければ健康番組を見ない日はないというくらいです。更に、通販番組では健康商品が日進月歩で商品のラインナップ変えて宣伝されています。用語を理解しておくことは健康に気を付ける意味でも重要になってきます。

ちなみに、利用者さんでもある現役のテレビマンの方から聞いた話ですが、健康番組の放映が多いのは、テレビ視聴が多い中高年をターゲットにしているからだと聞きました。また、旅やロケ番組が多いのも、予算をかけずに番組が作れるかららしいです。

高齢と筋力:サルコペニア

サルコペニアとは

筋肉量が減少することで、筋力の低下や身体機能の低下が起きている状態です。

加齢による退行性状態である一次性サルコペニアと、不動による廃用性や病気による筋力低下を二次性サルコペニアと呼びます。

症状は、筋力低下によって今までできたことができなくなってしまう事です。

例えば、階段を上る際に手すりがないと上れない。ペットボトルを開けられない。一人で起き上がれないなど。転倒骨折による寝たきりなどの危険性も増えてしまいます。

これらは、運動や食事によって予防や改善が可能です。

高齢と筋力:フレイル

フレイルとは「か弱い」とか「脆弱」といったような意味があります。

加齢により心身が衰えた状態です。健康な状態と介護が必要な状態の中間地点の状態になります。

フレイルを判断する指標はいくつかありますが、以下の5項目のうち3つ以上があてははまるとフレイル、1~2つがプレフレイルと定義されています。

①体重減少(意図せず一年間に4.5㎏または全体重の5%の減少がある)

②疲れやすい(何をするのも面倒だと感じる日が週に3~4日以上ある)

③歩行速度の低下

④握力の低下

➄身体活動量の低下

前項目で説明したサルコペニアは、フレイルの中の一つととらえることができます。

フレイルは筋力の低下だけでなく、認知機能の低下や抑うつなど、心の面での機能低下も影響があります。

原因は、身体、心と認知、社会性の3つになります。これらが合わさると更に症状が悪化します。体力低下で外に出ることができなくなると、家に引きこもるようになります。すると認知機能の低下、社会性の低下を引き起こし、それが引きこもりを助長させます。こういった負のスパイラルに陥ってしまいます。

高齢と筋力:ロコモティブシンドローム

ロコモという言葉で省略されることが多いですが、

加齢による筋力低下や、関節の痛みや疾患で運動器の機能が低下して、歩く立つなどの動作機能が低下した状態です。

筋力低下による動作困難を表す単語がサルコペニアですが、ロコモは筋力低下だけでなく、関節や病気なども含めた運動器の機能低下の事をさします。どちらもフレイルに大きな影響を与える状態です。

この言葉は日本整形外科学会が提唱した概念で、平均寿命ではなく、健康寿命を延ばしていこうと意識したあたりから生まれました。

必要なのは体力

冒頭でお伝えしたように、体力とは筋力と持久力を合わせたものです。

図を見て頂きたい。体力レベルと医療費の関係を図にしたものです。

体力と医療費

見事に相関しています。体力が落ちれば医療費が増える。そして、体力が20代の30%以下に低下すると介護状態となり、一人でお風呂に入れない、トイレに行けなくなります。こうなってしまうと、健康寿命から外れ、言葉は悪くなりますが、平均寿命まで「生かされる」状態です。そして、医療費をどんどん消費する状態になってしまいます。

サルコペニア、フレイル、ロコモティブシンドローム。こういった言葉が広まっていく背景には、健康寿命を延ばし、医療費を削減しようという国の流れが影響しています。高齢と筋力と体力でした。

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