さて、「脳梗塞シリーズⅡ.」では最新治療について述べてきました。しかしそれでもご不幸にも後遺症が残ってしまった方々にとっての治療法と言えば当施設の専門分野である脳卒中リハビリです。現在急性期リハビリテーションの実績も高く、ロボットリハビリテーションなど最先端の技術も期待が高い。そこで今日は最新のリハビリ治療についてお話していきたいと思います。よろしくお願いします。
最新リハビリテーション①急性期リハビリテーション
急性期リハの重要性
病期は,急性期, 回復期,生活期(維持期)に分けられ,明確な定義はないですが,急性期は発症からおおむね 2 週間~1ヶ月程度,回復期は発症1ヶ月から6ヶ月まで,生活期はそれ以降を指すことが多いです。
なんとなく皆さんにイメージして頂き易いようにイラストをつけてみましたがあくまでもイメージイラストです。そこんところよろしくお願いします。
(*- -)(*_ _)ペコリ
かつては、脳梗塞発症後すぐに体を動かすとさらに症状が悪化すると言われてきました。しかし、現在の治療ガイドラインでは、発症直後からのリハビリが推奨されています。これにより、症状を軽くすることができ、誤嚥性肺炎などの合併症も予防することができます。また脳梗塞による死亡の危険性を下げることがデータから明らかになっています。
早期のリハ介入は重要であり、実際にわずか 1~2 週間の急性期リハ治療が,その後の ADL 自立度の向上や在院日数の短縮化,施設入所率の低下,社会復帰率の向上,死亡率の低下に貢献することがガイドラインに明記されています。
日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会:脳卒中 治療ガイドライン 2015[追補 2017 対応].2017; pp 273―322, 協和企画 東京.
最新リハビリテーション②ニューロリハビリテーション
まず最初にご紹介したいのはニューロリハビリテーションですね。ちょっと難しいかもしれませんがよろしくお願いします。
脳の可塑性などの神経科学・脳科学を元にしたリハビリテーション医療を総称して「ニューロリハビリテーション」といいます。
脳の可塑性の法則は,カナダの心理学者ドナルド・ヘッブ(Donald O. Hebb, 1904-1985)が提唱した“ヘッブの法則”であり、ある一定の刺激が来た場合にのみシナプスの可塑性ができる(協同性)、特定のシナプスにのみ可塑性がみられ関係のないものに可塑性は生じない(入力特異性)および、弱い刺激でも他の刺激の助けをかりて可塑性を生じる(連合性)の3つの特性で脳の可塑性を説明するものです。
3つの特性
- 協働性
- 入力特異性
- 連合性
つまり、同じ部分に繰り返し刺激が加えられるとシナプスに発火が起こる。するとそのシナプスの伝達効率が増強されます。また逆に、発火が長期間起こらないと、そのシナプスの伝達効率は減退するというものです。
ザックリいうと「繰り返し行う動作は強化されますがやんないと減退しますよ」ということです。
ヘッブの法則
- 使用頻度依存性脳可塑性
- 誤りなき学習
- 課題指向型訓練
ヘッブの法則は以上の3点に要約される。
・・・・・・・む、難しい。・・・・ですよね。
簡単に言うとですね。
正しい動きを患者さん自身が意志をもって何回も何回も練習しましょう。そしたら新しい神経の通り道ができて動くようになるんですよ。って話です。
脳血管障害リハの基本的な考え方の元になっている法則のひとつです。それゆえに患者様お一人ではリハビリテーション治療はできないという根拠となっているわけです。タネも仕掛けもあるから良くなるんですね(笑)こんなことができない。出来るようになりたい。と思うことがございましたらお近くのリハビリ専門職にもっと相談して頂ければと思います。タネも仕掛けも熟知している人たちですから、親身になって力を貸してくれるはずです。(*- -)(*_ _)ペコリ
最新リハビリテーション③反復経頭蓋磁気刺激
今日は反復経頭蓋磁気刺激(はんぷくけいずがいじきしげき)(rTMS:repetitive transcranial magnetic stimulation)を紹介したいと思います。
とちょっと胸躍る装置ですよね。なんかやってくれそう感がハンパない。ここに座っただけでも麻痺側がちょっと動きそうだ。
反復経頭蓋磁気刺激はリハビリ前に行い脳の可逆性を高めることに有効な治療法です。頭蓋骨をパッカーンと空けなくても外側から大脳を刺激することのできる画期的な機械なのです。
反復経頭蓋磁気刺激は脳の可塑性を増大させるとして期待されています。しかし、脳の可塑性を引き起こすことができるとはいってもその効果は一時的なものなのでリハビリ治療との併用が必要となります。
どんな機械かってのが気になるところです。とっても簡単にはしょりまくってご説明しますね。
この機械はコイルが内蔵された器具。写真の外人のお姉さんの頭の辺にある妙ちくりんな白いメガネみたいなやつですね。こいつに電流を流すとパルス磁場が生まれ、なんやかんやあって特定の神経細胞が刺激されて活性化します。
(なんやかんやの所をお知りになりたい方はしっかり勉強して頂いて造詣を深めて下さい(*- -)(*_ _)ペコリ)
磁場とか巨大ロボが合体しそうでなんだかめちゃんこ効きそうな感じじゃないですか。まぁそれはそれは凄い装置なわけですよ。
そしてこの反復経頭蓋磁気刺激とリハビリテーションを組み合わせた治療法で慢性期の手指の麻痺の改善ができるかもしれないと、今注目度100%の治療法なのです。
最新リハビリテーション④機能的電気刺激(FES:functional electrical stimulation)
次はFESです。流行りですね~。最新機器です。
脳卒中ガイドライン(2015年)では、グレードBで推奨されている治療法です。
機能的電気刺激は電気刺激を用いて筋もしくは末梢神経を刺激し、麻痺筋を収縮させることで、失われた機能を再建する先端医療です。
下肢:フットドロップシステム NESS L300
上肢:ハンドリハビリテーションシステム NESS H200 ワイヤレス
これはサイボーグ的でとてもカッコイイ。フットドロップシステムNENN L300ですよ。ほら、名前だけでもすでにドキドキしますね。リハビリオタクの私だけですかね。(笑)
(ちょっと調べてみて下さい。カッコいいですよ)
わたくし事ですが、この下肢のフットドロップシステムを以前リハビリに取り入れてやっていたことがあるのです。
下垂足患者さんに適応があるということで使っていました。訓練をして実用的になれば装具の代わりに付けて歩けたらステキじゃないですか。と思って、まずはリハ室で訓練機器として使用していました。
メリット・デメリットはそれぞれありますが、この装置の最大の利点は何と言っても装具をはめて歩くより未来の装置みたいでカッコイイってところ。それゆえ患者さんのウケがすこぶるいい。なんかすごい事やっている感がハンパない。
患者さんのモチベーションアップにも素晴らしい仕事をしてくれる装置でした。
やる気スイッチは大事です。さすがは最先端医療。効果絶大でした。
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