ぶん回し歩行の原因がこれを読めばわかります

2022.10.12
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皆さんこんにちは。理学療法士の杉山です。

先日、ラボに新しい杖を開発された会社様が杖の紹介に来られました。そちらの方に

「どうして、この杖を開発しようと思ったんですか」

とお伺いしたところ、

「こんなに長いこと、杖の種類や形が変わらないことに疑問を思ったからです」

とお返事をいただきました。

この開発理由はとても感銘を受けました。

身の回りの「当たり前」に思っていることに新しい可能性が秘めているんだなと、改めて感じました。変化を恐れず楽しむ気持ちを持ちながら、新しいことへのチャレンジ、新しい器具の導入等どんどん取り組んでいきます。

なお、それらの情報はInstagramやtwitterなどのS N Sでも発信していますので、チェックしてくださいね!

さて、話は変わって、本日は

ぶん回し歩行

についてお話ししようと思います。

ぶん回し歩行を知る①:ぶん回し歩行とは?

主に、脳卒中の後遺症の運動麻痺や痙縮によって起こる歩き方の一つです。

後遺症により足が動かしにくくなると歩く際につま先が地面に引っかかりやすくなったり、足が重たく感じたりすることがあります。

それらをカバーするために動かしにくい足を外側からグルッとコンパスのように降り出して歩く歩き方を、「ぶん回し歩行」と一般的に呼んでいます。

実は、脳卒中を患った方々の歩きの悩みの中でも一番多いのではないかというくらいみなさまが悩まれています。

そのため、当施設にも改善を希望される方々が大勢来られます。

「かっこよく歩きたい」

「効率良く歩きたい」

「引っかかりそうになる時があって不安」

など、目標を持たれている方々が大勢いらっしゃいます。

では、そもそもどうしてぶん回し歩行が生じるかご存じですか?

ぶん回し歩行が生じてしまう原因を知ってもらうためには

まずは、正常な歩き方からお話しさせていただきます。

ぶん回し歩行を知る②:正常歩行とは?

正常歩行をお話しするとき、私たち療法士は歩きの周期を8つに分類して考えます。

ランチョ・ロス・アミーゴ方式

しかし、専門的な内容となってしまうので、ここでは、簡単にお話しさせていただきます。

まず、私たちが立ち止まっている状態から歩くことを想定してお話しします。

①片方の足に体重を乗せて、反対の足を前に出すために腿を持ち上げます

②持ち上げた足の膝が伸びます

③膝が伸びたまま踵から地面に足がつきます

④体重移動が踵から足の裏の外側を通ってつま先(親指)まで到達します

⑤足が後ろに残っていくことで踵が上がりつま先で地面を踏ん張ります

⑥つま先で地面を蹴り上げ足を持ち上げます

⑦持ち上がった足が下に落ちないように維持しながら前に出します

⑧膝が伸びて踵から地面につきます

これを繰り返します

簡単にはなりますが、このように左右の足が順番に動いていきます。

いろんな動きが複雑に絡み合って「歩く」という動きが構成されているんです。

ぶん回し歩行を知る③:ぶん回し歩行はいつ起きる?

では、ぶん回し歩行は先ほどの①〜⑧の中でどこで生じる現象か、お分かりでしょうか?

答えは、⑦です。

⑦の持ち上げた足を前に出すとき、に足がまっすぐ前に出るのではなく、外から回るように前に出てきます。

そのため、当事者の方々はなんとか足をまっすぐ出すために内腿にグッと力を入れて歩こうとしてみたり、外に出ないようにヨッと足を上に持ち上げてみたりする方もいらっしゃいます。

では、どうしてぶん回し歩行が生じてしまうのでしょうか?

やっと、本題に入りますよ!

ぶん回し歩行を知る④:ぶん回し歩行の原因は?

ぶん回し歩行が生じる原因は大きく分けて3つあります。

①ぶん回す足の持ち上げ方

②支えている側の足や体幹の使い方:タイミング番号

③ぶん回す足が支えになっている時の支え方

この3つを深掘っていきます。

原因①:ぶん回す足の持ち上げ方

では、1つ目から解説していきます。

まず、主たる原因になりやすいのは、足の持ち上げ方にあります。

・つま先がうまく上がってくれない

・足首が捻れてしまう(内反してしまう)

・足自体が重たい

など、運動麻痺や痙縮により動かしたいように動かない

つまりは、足をスッと前に出したくても出せない

という現象が生じます。

しかし、そんな中でも歩いて前に進む必要がありますので、なんとか足を前に出そうとすると足が外からグルッと回って出るのです。

結論:

運動麻痺により、足首が上がらないこと・足自体が重たく感じてしまうこと

痙縮により、足が捻れてしまうこと

これらが原因となります。

原因②:支えている側の足や体幹の使い方

続いて、2つ目の原因は

なんと、ぶん回す側の足ではなく、支えている側の問題になります。

先ほどの、足の持ち上げ方とも連動している内容です。

上記のように足が持ち上げにくい状態だと、どのようになるのかと言いますと

体を傾けて足を振り子のように出すのです。

多くの場合は支えている足側に体を倒すか、後ろに倒して、

なんとか足を前に出そうとします。

結論:

体を側方や後方に倒すことで、ぶん回し歩行が助長されます。

原因③:ぶん回す足が支えになっている時の支え方

最後は、足をぶん回す前に、実は問題があるという内容です。

ぶん回す側の足の多くは運動麻痺などの後遺症があります。

そうなると、支えるための筋力も弱くなっていることが多いです。

すると、支える時にお尻が横や後ろに流れてしまい、体がくの字になります。

体がくの字になることで、ぶん回し歩行を助長する運動連鎖が生じるのです。

結論:

ぶん回す側の足の支えが弱くお尻が流れてしまうことでぶん回し歩行につながってしまいます。

ぶん回し歩行を知る⑤:まとめ

では、本日のまとめになります。

ぶん回し歩行の原因は

・ぶん回す足の持ち上げ方

・支えている側の足や体幹の使い方

・ぶん回す足の支えになっている時の支え方

の3つが影響しています。

この大きく分けて3つの原因が、単独で影響していることもあれば、全て絡み合って影響していることもあります。

これらの原因をより細かく追求し解決していくことでぶん回し歩行は軽減し、効率良くかっこよく歩きやすい方法が身に付きます。

またいずれ、ぶん回し歩行を改善していくための方法についても解説しますので、乞うご期待ください。

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