脳卒中片麻痺になることで多くの方が使用されている「装具」ですが、あなたはなぜ装具をつけているのでしょうか?
「装具を外す」という目標を掲げる方は多くいらっしゃる一方、つけている理由やどのような練習を行ったら良いかわからない方が多いのではないでしょうか。
今回は装具を外す際に知っておかなければいけない事をお伝えし、装具を外すために必要なリハビリ内要を絞れるように解説していきます。
装具は何のために使う?
使用している装具には必ず役割があります。
装具の役割とは身体機能の足りない部分を補うことで動作を行いやすくする役割が大きく分けて4つあります。
⒈膝折れを防ぐ
膝折れとは体重をかけた際に支えることができず、ガクッと膝が勢いよく曲がってしまうことを言います。
膝が勢いよく曲がってしまうと尻もちをつく危険が高くなります。
⒉反張膝を防ぐ
反張膝とは膝が曲がるのとは反対方向へ伸び切ってしまう状態を言います。
足をついた際に起きたり、体重を支えようとした際に起きたりと人によって起きる場面が異なります。
⒊内反尖足を防ぐ
内返しの動きで足首が捻挫をする時のように内側へ捻れてしまうことを言います。
これはよく聞く「緊張が上がっている」という言い換えもできます。
捻れたままだと地面に足をうまくつけることができないことが多いです。
⒋下垂足を防ぐ
これは足首が垂れ下がった状態が続いてしまう状態を言います。糖尿病や腓骨神経麻痺の方に多く見られる症状で、つま先が下がった状態ですので腿を大きく持ち上げてつま先が引っかからないように歩いたりします。
外す際に必要なこと
装具を外す際に必要なことは、「装具を使用している理由を知ること」です。
なぜ自分が装具を使用しているのかを知らなければ、治すべきところがわかりません。
上では4つ大きな原因として挙げましたが、まずは自分がどの理由に当てはまるのか考えてみましょう。
中には2つ3つ当てはまる方もいれば、1つ当てはまる方もいます。
自分ではわからない方は病院の先生や理学療法士さんに聞いてみてくださいね。
「外す」のではなく「軽く」する
真っ先にみなさまが思いつくのが装具を「外す」ということですが、いきなり全て外すことができる方は少なく思います。
装具にも段階があり、病院で入院したことのある方は様々な装具を見たのではないでしょうか。
装具には大きく分けて3種類あります。
以下の図にまとめておきます。
図の装具では右にいくにつれて軽めの装具になっています。
あなたが使用している装具はどの分類に当てはまるのでしょうか。
ワンランク軽くした装具などを使用して練習
自分の使用している装具がわかったら次に注目するのはそのワンランク軽い装具は何であるかです。
長下肢装具なら短下肢装具、短下肢装具なら足首装具やサポーター。といったように次に目指すべき指標がわかってきます。
装具で正常歩行は限界がある
大変勉強されている方から「正常歩行はこうで、装具を履くとまったく違う」とお話しされる方もいらっしゃいます。
しかし、装具を履くと正常歩行を行うことは難しくなります。
装具を履くことで安定する一方、どこかを固定して安定させている分、動きにくくなってしまう場所があります。
それは装具にもよりますが、どの装具にも言えるのは足首の関節や、足趾の関節になります。
足首が固定されることでグラグラしない安定感と引き換えに、つま先での蹴り出しや足首を使った重心移動が行えなくなってしまいます。
そうするとつま先の引っ掛かりが出てきたり、ぶん回しの歩行が出てきたりと別の方法で足を出そうとする代償歩行が出現します。
まとめ
今回お話しした事は
・装具の役割
・なぜ自分が装具をつけているのか確認
・「外す」のではなく「軽く」する
・装具で正常歩行には限界がある
です。
装具をつけている理由がわかれば、その部分を改善することで装具を外して歩行ができます。
本来装具を作成する際には装着する理由を説明しますが、装具を装着する理由を聞いていない方はこの機会に理学療法士の方に聞いてみてください。
リハビリ・ラボでは装具をつけている理由を動作を交えながらわかりやすくお伝えしております。
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この記事を書いた人
松浦 一将 理学療法士
JBITA公認 成人片麻痺基礎講習前講習1、2修了
大学卒業後、回復期リハビリ病院へ入職。主に脳梗塞・脳出血の患者様のリハビリを担当。同病院で訪問リハビリも経験させて頂き、より患者様の「生活」に近い場所でリハビリに携わってきました。2022年ハート脳梗塞リハビリ・ラボへ入職。「麻痺をよくしたい」という方はもちろん、前職の経験も活かし、目標に向けた最適な自主トレや運動方法のご提案、情報提供も行っています。 皆様の何気ない「笑顔」を大切に、目標を達成して共に成長できるよう全力でサポートさせて頂きます。