手を動かす前準備:脳卒中編

2022.06.22

皆様こんにちは。理学療法士の松浦です。
最近は日中の気温と湿度も上がってきており、汗ばむことも出てきました。
こまめに水分を補給して脱水にならない様に注意してくださいね。

さて、前回のイメージトレーニングに続き今回は「脳卒中の手を動かす前準備」についてです。
脳卒中になって手が固まってしまった。
力を入れようにもどこに力を入れたらいいかわからない。
そんな状態もあり、「どうせ動かないしな…」と、諦めてしまっていませんか?

もしかしたらあなたの手は「動かない」のではなく、動くための「前準備」ができていないのかもしれません。
今日はそんな方へのお家でできる手の前準備について解説して行きます。

手を認識させる

まず、神経や筋肉を働かせるためには自分の手がちゃんとあることを脳が認識していなければ、脳からの信号はうまく出ません。
ご飯を食べる時に動かない方の腕は机に置かずにだらんとしていませんか?
人は体を動かさないとどんどん筋肉は弱ってしまいます。
骨や筋肉は体を支えることで機能を維持していますが、何も動かさない状態では機能はどんどん衰えていってしまいます。

当然、筋肉を動かすためには脳からの刺激が必要ですが、動かさない期間が長くなれば、脳からの刺激も受け取りにくくなります。
刺激を受け取りにくくなった手足は動かし方がわからなくなって行ってしまい、そのまま固まってしまうことが多いのです。
固まってしまった手を動かそうとするのはとても至難の技です。
療法士さんとリハビリ中にできても、いざ一人でやろうとすると難しいことが多いのではないでしょうか。

そんな時はまずは自分の手を脳に認識させることから始めましょう。これが、「前準備」になります。

具体的にはどの様なことをすれば良いのでしょうか。
ここでは、視覚と触覚を使って自分の手足を脳に認識させる方法をお伝えします。

手と視覚

視覚というと人間の五感の中の一つです。

人間の情報収集能力の割合は視覚は80%強を占めると言われており、ほぼ視覚に頼っていると言われています。
そのため、自分の手を目で見ることが手を認識させるのにとても大切なのです。

と、言ってもずっと見ているわけではありません。生活の中で視界に入る様にするだけです。

手の場合はだらんと下ろしているのではなく、机の上などに置いて自分の視界に入るようにしてみましょう。
直接置くと痛みが出てしまうような方はタオルや枕を腕の下に置いて見ると楽だと思います。
ご飯を食べる際でも動かなくても良いので机の上に置いて置けると良いですね。

触覚

視覚の次は触覚です。

触っている感覚を手から脳に刺激を入れることで、徐々に刺激を感じ取りやすくなり固まった手も緩めやすくなります。
動く方の手でいいので、動きにくい方の手を揉みほぐしたり、さすったりしてください。
これも自分の目で見える範囲でやれると尚良しです。

自分ではできない人は他の人にやってもらっても大丈夫です。
タオルで肌を擦ったりするのも手に刺激が入り、とても良いとされています。
また、生活の中で刺激を入れるのであれば、手洗いの際に動きにくい方の手を洗ってあげてください。

水の冷たい感じや、石鹸の泡立つ感じ、タオルで拭く感じなど多くの刺激を受け取ることができます。
自分では出来ない場合はお風呂で体を洗う際にしっかりと洗ってもらうと良いかと思います。

この際に、どこを触っているかを目で見て確認しながら、感覚を研ぎ澄ましてみてください。
手のひらはこんな感触なんだな。痺れているけどぼんやりとわかるな。肘ってここにあるんだな。
などが分かってきたら自主トレの準備はOKです。

余裕があれば

もし、余裕があれば自主トレで使う筋肉の場所や関節を触って、確かめてから自主トレをやってみてください。
筋肉の場所が分かって自主トレでその部位がしっかりと動いていればあなたの感覚の精度が上達してきているかもしれません。

筋トレで動かしてほしい筋肉や関節は療法士の方に聞いて教えてもらうと良いですね。

最後に

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
今回紹介したのはあくまで方法の1例なので必ず皆様に当てはまるかどうかは分かりません。

是非、お家や病院のベッドでの自主トレに役立てて頂けると嬉しいです。
それではまた次回お会いしましょう。

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