腕が重い!麻痺した腕を上げるために必要な筋肉とリハビリで改善した方の紹介

2023.01.21

病気で麻痺を生じてしまい、腕を持ち上げることが大変で悩んでいませんか?

本記事では、なぜ腕が上がりにくいのか、腕を持ち上げるために必要な筋肉と、実際に上がるようになった利用者様の実例を紹介します。
ハート脳梗塞リハビリラボは脳血管疾患の方専門のリハビリを行っており、多くの実績をあげています。
本記事を読むことで、「腕を持ち上げる」ということを理解し、動かすための手助けになります。5分で読めますので本文をどうぞ。

なぜ腕が使いにくいかご存知ですか?

脳卒中(脳梗塞、脳出血)を発症し片麻痺が生じると、多くの方が腕の使いにくさを実感されます。
実は、足の麻痺よりも腕の麻痺の方が残りやすいと言われています。
腕が使いにくくなる原因としては以下の症状が挙げられます。

運動麻痺脳→腕への神経が届きにくくなっている
感覚障害腕の位置が分かりにくいので動かせない
筋肉の緊張が亢進働かなくていい筋肉が過剰に働いてしまう
可動域の制限発症から年月が経っており動かせる範囲が狭くなってしまう
痛み筋肉のアンバランスや感覚障害、不動など様々な要因で痛みが出てしまう
失行上記3つの症状はないが、指示された動きが行えない(高次脳機能障害)

腕はどんな時に使いにくいですか?

「腕が使いにくい」と言っても人それぞれ、どのような時に使いにくいかは異なるでしょう。

例えば、

  • 洗顔や頭を洗うときに腕が上がりにくい
  • 腕を前に伸ばせない
  • ものを持ち上げることができない
  • 背中が痒くてもかけない

など、様々な動作で実感されると思います。
ただ、多くの動作で共通している動きは、「腕を持ち上げる」ことになります。

腕がどの程度動かせるか知っておきましょう

では、ここで一度腕を動かしてみましょう。

ステップ 1

  • 腕を上下に動かしてみましょう

ステップ 2

  • 手を腰に回してみましょう
  • 肘を伸ばしたまま腕を前に持ち上げましょう(前ならえのポーズ)

ステップ 3

  • 肘を伸ばしたまま頭上まで手を上げましょう(バンザイのポーズ)
  • 肘を伸ばしたまま腕を横に開きましょう(タイタニックのポーズ)

いかがでしょうか。
この3つステップの運動がどこまでできるかを把握しておくことがとても重要です。
一度試してみましょう。

腕を持ち上げるとは?

そもそも腕を持ち上げるという動きはどのような動きなのでしょうか。
実は、腕を持ち上げるという動きの中には、いくつかの動きが同時的に、多発的に生じることで成り立ちます。

代表的な動きは以下の3つです。

  • 二の腕の骨(=上腕骨)を持ち上げる動き
  • 肩関節を安定させる動き
  • 肩甲骨を安定させる動き

この3つの動きがとても重要になってきます。

そこで、それぞれの動きをするために必要な筋肉を紹介します。

上腕骨を持ち上げる動きに必要な筋肉

三角筋

三角筋は腕を持ち上げるために一番力強く働く筋肉です。
そのため、腕を持ち上げる運動を意識的にする場合は、この赤丸の部分を意識するといいでしょう。

烏口腕筋

烏口腕筋は三角筋を補助してくれる筋肉です。

肩関節を安定させる動きに必要な筋肉

棘上筋

棘下筋

小円筋

肩甲下筋

この4つの筋肉は「ローテーターカフ(回旋筋腱板)」と呼ばれ、不安定な肩関節を保持するとても重要な筋肉です。4つがバランス良く働くことで腕を動かしやすくなります。

肩甲骨を安定させる動きに必要な筋肉

前鋸筋

僧帽筋下部線維

菱形筋群

以上の筋肉の「位置」を知っておきましょう。
なおかつ、トレーニングをする際はそこに意識を向けて行うことでより効果を発揮しやすくなります。

どのように鍛えると腕は上がりやすくなる?

では、上で紹介した筋肉をどのように動かしていくと上がりやすくなるのかを紹介します。
多くの方は

  • 三角筋の強化
  • 肩関節と肩甲骨を安定させる筋のバランス調整
  • 広背筋を伸ばす

ここから始めていくことが大切です。
筋肉は強くすることはもちろんですが、邪魔をしやすい筋肉が邪魔をしないようにすることも同じくらい重要なのです。
またここの自主トレ動画をYoutubeで発信していきますので乞うご期待!

腕が上がるようになった実例

最後に、利用者様の実例の紹介をします。

年齢70代女性
性別女性
来院時期退院1ヶ月後に来院(発症4~5ヶ月後)
目標入浴時に麻痺した手で頭を洗う(頭上まで腕を上げる)

来院当初は、肩が痛くて腕を持ち上げることができず悩んでおられました。
肩周囲の痛みによる不動で肩周囲の筋の弱化や柔軟性の低下が著しくみられました。
また、同時に姿勢の歪み(猫背姿勢)が目立っており、正常な肩関節の動きを行うことが難しい状態でした。
鍼治療では、肩関節の動きを阻害する筋肉を緩めることに重きを置き、リハビリでは腕を持ち上げるために必要な筋肉を100回以上反復して動かしました。
同時に姿勢の歪みも矯正する体幹トレーニングを行っていきました。

最終的には自ら洗髪することができるようになり、卒業されました。

YouTubeでも紹介していますので、ぜひご覧ください。

大好評につきご予約がお取りできない日もございます。
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この記事を書いた人

杉山 一輝理学療法士

JBITA公認 成人片麻痺基礎講習会修了/川平法 入門編講習会修了

大学卒業後 リハビリ専門病院に入職。主に脳梗塞・脳出血の患者様のリハビリを担当。経験年数で評価されやすい業種だからこそ、新人時代から技術の質と学ぶ密度にこだわってきました。院内で積極的に勉強会を開き先輩・後輩関係なく、学んだ技術・知識を伝達しました。2021年 ハート脳梗塞リハビリ・ラボに入職。「リハビリ難民」の方々、特に「麻痺を良くしたい」「今のリハビリでは物足りない」と思っている方々に満足いただけるサービスを提供できるように全力を尽くします。