脳卒中の実態(統計数値から)

2023.01.11

あけましておめでとうございます。鍼灸師の矢澤です。年末年始和ゆっくりできましたでしょうか?私は暴飲暴食で胃がやられています。本年も、このブログでは、見ていただいている方に少しでも役立つ脳卒中情報を更新していきたいと思っています。お付き合いよろしくお願い致します。

脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)について調べると、病態については詳しく記載されています。一方で、どれくらいの患者さんがいて、内訳はどんなものなのか、平均的にどれくらい良くなるのか?といった統計のことはあまり記載されていません。今回はそういった統計的な実態を調べましたので紹介します。

脳卒中発症の内訳

これからお伝えするデータは、日本脳卒中データバンクの報告書厚生労働省HPの内容をもとにしてまとめています。(※1)

現在、脳卒中患者さんは全国で約112万人いるとされています。

脳卒中による年間死者数は、令和2年で10万2956人に及びます。これは死因の中では第4位(7.5%)になります。

内訳は脳梗塞約6万人、脳出血約3万人、くも膜下出血約1万人です。

脳卒中を含めた脳血管障害の発症件数は年間約30万人といわれていますので、3人に1人は無くなっている計算になります。生きていることが、まずは運が良かったというのが数値から読める事実です。

ちなみに死因第1位が「がん」、第2位が「心疾患」、第3位が「老衰」になります。

脳卒中はどんな人がなりやすいのか?

脳卒中になりやすい方は以下の既往歴がある方です。

1位 高血圧

2位 高脂血症

3位 糖尿病

4位 心疾患

脳卒中を発症する内訳は?

脳梗塞78.6% 脳出血18.7% くも膜下出血2.7% になります。約8割の方が脳梗塞です。

脳卒中の男女比率は、男:女=6:4 男性に多い傾向にあります。

更に細かく分類すると、

脳梗塞、脳出血の男女比率は、男:女=6:4 男性に多い傾向にあります。

一方で、くも膜下出血の男女比率は、男:女=3:7 女性に多い傾向がありますが、原因はわかっていません。

脳卒中の好発年齢は?

脳卒中の発症の平均年齢は、

脳梗塞74.9歳 脳出血70.2歳 くも膜下出血65.9歳になります。出血になると発症年齢が若くなる傾向があります。

年齢別人数をみると70代、80代の発症者が圧倒的に多くなります。一方で、若年化もすすんでおり、

20~64歳代では約18%あり、年々増加傾向にあります。

次は脳卒中の発症年齢の平均値を男女で比較していきます。

脳梗塞    男性:女性=72.4歳:78.5歳

脳出血    男性:女性=67.5歳:73.3歳

くも膜下出血 男性:女性=59.2歳:69.2歳

男性の発症年齢が若い傾向にあります。

来院時の重症度はどれくらい?

脳卒中を発症して病院に運ばれた際に、どのくらい症状が出現しているのか、重症度を表したデータがあります。

NIHSS (National Institutes of Health Stroke Scale)は、急性期の脳卒中の重症度を測る尺度です。

※HOKUTO HP参照

それに従うと、42点を満点として点数が多いほど重症ということになります。

1~5 軽度

5~14 中程度

15~24 重度

25以上 最重度

脳梗塞は0~3までが約50% 0~9までの間に80%が入ります。残りの20%がそれ以上の重症度となります。

脳出血は0~11までが約50% 0~23までの間に80%が入ります。

脳出血になった方は、初期症状が重い傾向にあります。ただし、来院初期に症状が少なくても、時間経過で徐々に症状が悪化するケースもあります。

退院時にどれくらい良くなっているのか?

リハビリを終えて退院する際に、どれくらい良くなって退院したかというデータもあります。

mRS (modified Rankin Scale)は 神経機能の重症度を数値化したものです。

mRS

これを基準とすると、

ある程度自立した生活が見込める、0~3の状態になって退院される方は、

脳梗塞で約70%

脳卒中で約40%

くも膜下出血で58%

比較的予後が良いのが脳梗塞。重症化しやすいのが脳出血。また、死亡率が高いのがくも膜下出血という結果になります。

世界の脳卒中リスク

今度は世界に目を向けていきます。

25歳以上の成人が生涯を通じて脳卒中になるリスクを解析したデータがあります。

全世界では脳卒中患者さんの割合は急増しており、4人に1人は脳卒中になる可能性があると算出されています。

また、国別でみると中国が断トツ1位で2.5人に1人。

それ以下は、2位ラトビア2.7人に1人。3位ボスニアヘルツェゴビナ2.8人に1人。4位ブルガリア3人に1人です。

ちなみに日本は、4.3人に1人が脳卒中リスクがあるという結果になっています。(2016年時点)

所得と関連する脳卒中

脳卒中は、低、中所得層で発生が増大しており、特に若年齢化(65歳以下)が進んでいます。

死亡率でみても、高所得層の死亡率は減少しており、低中所得層は増大しています。

偏った食事に、生活環境、それに伴う長生きによって脳卒中の発症リスクが高まります。

脳卒中のリスクが高い中国

中国においては、脳卒中が死亡原因の第1位です。

中国の脳卒中患者数は2800万人を超えています。

日本と人口比で比較しても2倍以上の数値となります。

中国人の5人に1人が脳卒中で死亡しています。

この記事を書いた人

矢澤 大輔 鍼灸師

修士号(医科学)取得

業界歴15年。入社以来主に鍼灸接骨院に勤務し、様々な痛みと向き合ってきました。リハビリラボでは開設以来鍼施術を担当しています。痛み、痙縮、痺れ、麻痺などいろいろな悩みに対して、鍼と手技でアプローチしていきます。体だけでなく、心の支えにもなれるよう関わらせていただきます。

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