脳梗塞が起きる部位と症状や特徴を部位ごとに解説

2024.09.06
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脳梗塞は、脳の血管が詰まることにより、脳組織に十分な酸素や栄養が届かなくなる病気です。

この状態が長く続くと、脳組織が障害を受け、それが様々な身体的症状を引き起こす原因となります。

厚生労働省の統計によると、令和2年には約120万人の方が脳梗塞を発症しており

大多数の方に出現する症状として特徴的なのは、身体の一部に麻痺を生じることです。

しかし、脳梗塞が起きる部位によって出現する症状は人によって様々です。

この記事では脳梗塞が起きる部位によって起きる症状についてその特徴をわかりやすく解説します。

当事者の方だけでなく、ご家族の方や職場の方も含めて、症状を理解することで双方の手助けになれば幸いです。

脳梗塞の種類

脳梗塞にはいくつかの種類と部位があります。

種類とはどのような原因で脳梗塞が起きているか。

部位とはどの場所で脳梗塞が起きているのかを表しています。

ここでは脳梗塞の種類について解説をしていきます。

脳梗塞の種類は3つ

脳梗塞の種類は3つあります。

  1. ⒈ アテローム血栓性脳梗塞
  2. ⒉ 心原性脳塞栓症
  3. ⒊ ラクナ梗塞

それぞれ簡単に解説していきます。

アテローム血栓性脳梗塞

血管にコレステロールが貯まって血管が細くなることで血栓が形成され、脳の太い血管を詰まらせて起きる脳梗塞です。

心原性脳塞栓症

心臓や他の場所で形成された血栓が脳に運ばれ、血管に詰まることで起きる脳梗塞です。

アテローム血栓性脳梗塞の血栓は動脈硬化によって形成されるのに対し

心原性脳塞栓症の血栓は心房細動などの心筋症によって形成されるのが特徴です。

ラクナ梗塞

穿通枝(せんつうし)と呼ばれる細かい血管が動脈硬化によって詰まることで起きる脳梗塞です。

他の脳梗塞と異なり、症状が軽いことが多く知らない間に多数の場所に起きている場合もあります。

脳梗塞が起きる部位

脳は大きく分けると6つの領域から構成されており、それぞれ役割が異なります。

6つの領域とは以下のものになります。

  1. ⒈前頭葉
  2. ⒉頭頂葉
  3. ⒊側頭葉
  4. ⒋後頭葉
  5. ⒌小脳
  6. ⒍脳幹

それぞれ簡単に解説していきます。

前頭葉

前頭葉は人間の情緒や意欲に関係する部分が多いことと、運動を司る領域が存在する場所になります。

障害されると無気力、無関心になってしまったり、半身が麻痺して身体が動かなくなってしまいます。

人によっては攻撃的な性格に変わってしまったり、普段考えられないような異常な行動をとることもあります。

また、言語を司る領域も一部存在しており、その部分を障害されると、言葉は理解できても、言いたい言葉がうまく喋れなくなってしまいます。(ブローカ失語)

頭頂葉

頭頂葉は特殊な場所で部位によっては左右で担当している機能が異なります。

左右に共通する事は、感覚を司っている領域が頭頂葉の前方にあります。

そこを障害されると痺れが強く出たり、物に触れている感覚、温度感覚、痛みの感覚がわからなくなってしまいます。

右頭頂葉

右の頭頂葉には自分自身とその周りに対する空間認識が障害されます。

左半身をぶつけてしまったり、左側のものを見落としてしまったりします。(半側空間無視)

その他には自分の状態がわからなくなってしまう病態失認などもあります。

病態失認では自分の麻痺した半身を否認したり、無関心になることがあります。

「自分の手はしっかり動く」、「この手は自分のではない」等の発言が見られることもあります。

左頭頂葉

左の頭頂葉には言語を司る領域が存在しており、障害されることで文字を理解したり、書いたりすることができなくなったりします(失読、失書)。

こういった会話だけでなく、読み書きの部分の障害についても失語症と言われます。

側頭葉

側頭葉は記憶に関する情報を多く取り扱う領域で、障害されると脳梗塞になった後の記憶が無かったり(前向性健忘)

逆に、脳梗塞以前の記憶が無くなってしまう症状もあります。(逆行性健忘)

前者の場合だと、新しい物事を覚えることが難しくなり、日時や約束を守ることができないことが多くなります。

また、言語の理解を司っている部分が左側頭葉には存在しているため、ここが障害されると言われた事や書いてある事が理解できなくなってしまいます。(ウェルニッケ失語)

後頭葉

後頭葉は視覚に関する情報を多く取り扱う領域で、障害されることで目の前にある物を認識できなくなってしまったり、視野の半分が欠損して見えなくなってしまいます。

視覚情報をうまく入手することができなくなってしまうので、物とや人との距離感を見誤ることもあります。

小脳

小脳はバランス機能や運動の調整を司っている部分になります。

小脳が障害されることで、狙った場所へ身体を動かしにくくなったり(小脳失調)、千鳥足で酔っ払いのようにフラフラと歩く(酩酊歩行)などの症状が現れます。

脳幹

最後に脳幹は生きるために必要な機能が多く備わっている部分であり、障害されることで意識障害や呼吸困難、食べ物が飲み込みにくくなる嚥下障害などが起きます。

その他にも、手足を動かす神経が一極集中する場所になるため、片方だけの麻痺ではなく、両手足の麻痺になることもあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

性格が変わってしまうことや、麻痺した半身を否認してしまう、新しいことが覚えにくい等の症状が出現することに驚きですよね。

あらかじめ出現する症状を理解しておくことで、自分で対処できたり、当事者の方への対応が変化してくる人もいるでしょう。

この記事を読んで少しでも、当事者の方やご家族様、職場の方々の手助けになれば幸いです。

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この記事を書いた人

松浦 一将 理学療法士

JBITA公認 成人片麻痺基礎講習前講習1、2修了

大学卒業後、回復期リハビリ病院へ入職。主に脳梗塞・脳出血の患者様のリハビリを担当。同病院で訪問リハビリも経験させて頂き、より患者様の「生活」に近い場所でリハビリに携わってきました。2022年ハート脳梗塞リハビリ・ラボへ入職。「麻痺をよくしたい」という方はもちろん、前職の経験も活かし、目標に向けた最適な自主トレや運動方法のご提案、情報提供も行っています。 皆様の何気ない「笑顔」を大切に、目標を達成して共に成長できるよう全力でサポートさせて頂きます。