脳卒中の顔トラブルを解説

2023.02.24

脳卒中後遺症で、顔の痛み、顔の痺れ、顔の麻痺がおこる方は多くいらっしゃいます。

これらは、脳卒中によって三叉神経と顔面神経が悪くなることが関係しています。

この記事を読めば、脳卒中後の顔のトラブルの原因を知ることができます。数分お付き合いください。

三叉神経とは

三叉神経とは、12個ある脳神経のうち第5脳神経で、運動神経と知覚神経が混ざった神経です。脳神経の中で一番太い神経です。知覚は主に顔面の感覚にかかわり、痛い、熱い、冷たい、触れるなどの情報を、三叉神経を通じて脳に運んでいます。

三叉神経の走行は、脳幹の橋から始まり、頭蓋骨内を前方に進みます。頭蓋骨の中で三叉神経節をつくり、3つの神経に分かれます。

三叉神経分布
  • ① 眼神経

眼の奥の頭蓋骨内から出てきた眼神経は、おでこや目の周りの感覚にかかわります。

  • ② 上顎神経

頭蓋骨内から頬骨を貫いて、ほほのあたりに分布します。目から下、口より上のあたりの感覚にかかわります。

  • ③ 下顎神経

頭蓋骨内から下あごの骨を貫いて、下あごに分布し、感覚にかかわります。また、噛む運動にも関係してきます。

※それぞれの分布は図を参考にしてください。

三叉神経痛とは

上記で示した、三叉神経の分布領域に対して、針を刺したような痛みが出現します。三叉神経の痛みは数秒から数十秒で収まります。しかし、痛みが強烈なため、日に何回も続くことで、生活の質を大きく低下させることになります。5分以上続く顔面の痛みは、また、別の要因があると考えてよさそうです。

痛みの特徴

・針を刺されたような痛み。

・電気が走るような痛み。

・口を開けたり顔を洗ったりすると痛みが誘発される。

・痛みの持続時間は数秒から数十秒。

・中年以降の女性に多い傾向がある。

また、三叉神経痛は①②③それぞれ単体の痛み。①②、②③のように隣り合わせた痛みが出現します。①③のように離れた神経が同時に痛むことはありません。

三叉神経痛の原因

三叉神経痛の主な原因は、何らかの原因によって頭蓋骨内で三叉神経が圧迫されることによります。多くの場合は上小脳動脈と言われる、小脳に血液を送っている太い血管になります。この動脈が、老化や動脈硬化によって、三叉神経を圧迫するようになります。その他、腫瘍や静脈、癒着、でも起こります。

脳卒中と三叉神経痛による顔トラブル

脳卒中によって脳血管が損傷され、脳神経の働きに異常が起きることがあります。

三叉神経領域を障害された場合、顔の痛みよりも、顔のシビレとして認識されることが多いです。

シビレの感覚を痛みとして表現される方もいらっしゃいます。

また、橋の周辺の血流が悪くなると、一時的に片側の口周辺にシビレが出現することがあります。この場合、脳卒中の前触れの可能性もありますので注意が必要です。

顔面神経とは

顔面神経は7番目の脳神経になります。顔の動きにかかわる運動神経、味を感じる感覚神経、涙腺などの分泌に関係する副交感神経の3つがある混合神経です。顔面神経は脳幹の橋に顔面神経核をつくります。顔の運動にかかわる神経は、頭蓋骨内を通って耳の後ろあたりから顔面に分布します。

顔面神経麻痺とは

顔の動きにかかわるのが顔面神経です。顔面神経麻痺になると、片側の表情が変化します。

・額にしわを寄せられない。

・目が閉じられない。

・まぶたが開かない。

・口笛ができない。

・食べ物がこぼれる。

などの症状が現れます。

顔面神経麻痺の原因は

中枢性のものと末梢性のものがあります。

ほとんどが末梢性によるもので、ベル麻痺とラムゼイハント症候群で7割以上を占めています。

ベル麻痺は単純ヘルペスウイルス、ラムゼイハント症候群は水痘、帯状疱疹ウイルスが原因となっています。顔面神経麻痺は自然治癒もありますが、基本は早期治療が必要です。発症3日以内の受診で原因に対するステロイド療法が効果的です。長期化すると症状が固定されてしまい、麻痺が残るケースがあります。

脳卒中と顔面神経麻痺の顔トラブル

脳卒中によって顔面神経麻痺になることはあります。特に口の周りに出現することが多く、食べ物をこぼしてしまうという方はいらっしゃいます。それには理由があり、顔の上部は脳の両側から神経が出ています。脳卒中によって片側の脳が損傷しても健康な方が顔の上部の機能を補ってくれます。よって、末梢性の顔面神経麻痺は、顔面の上部下部両方麻痺することがあるが、中枢性の顔面神経麻痺は顔面の下部のみが麻痺するのが特徴です。

三叉神経と顔面神経おさらい

顔面の感覚にかかわるのが三叉神経、顔面の運動にかかわるのが顔面神経です。

顔が痛いのは三叉神経が原因です。

顔が動かないのは顔面神経が原因です。少しややこしくて間違えてしまいそうですね。

脳卒中後遺症としてよく現れるのは、三叉神経障害による顔のシビレと顔面神経麻痺による口周辺の麻痺です。

当施設の治療法

当施設では中枢性の三叉神経痛(シビレ)、顔面神経麻痺に対して鍼治療を行っています。

顔、頭、首などに鍼をしていき、症状の改善を目指します。

顔のしびれが和らいだ、食べ物をこぼしにくくなったという例がございます。

発症してから年月が経っていても効果が出る事がありますので、お気軽に相談ください。

※大好評につきご予約がお取りできない日もございます。
ご予約はお早めに!

この記事を書いた人

矢澤 大輔 鍼灸師

修士号(医科学)取得

業界歴15年。入社以来主に鍼灸接骨院に勤務し、様々な痛みと向き合ってきました。リハビリラボでは開設以来鍼施術を担当しています。痛み、痙縮、痺れ、麻痺などいろいろな悩みに対して、鍼と手技でアプローチしていきます。体だけでなく、心の支えにもなれるよう関わらせていただきます。