股関節痛と原因

2022.09.14
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こんにちは!鍼灸師の矢澤です。

最近、股関節痛を訴える方が多くなっています。

長年治療にあたっていると、昔はあまり診なかったような痛みに続けて出会うことがあります。こういった場合はその時の社会情勢やライフスタイルが大きく関係しています。例えばコロナうつなんかもそうですね。今回の股関節の痛みも例外ではないようです。

通常、股関節の痛みは40~50代の女性に多いとされています。女性の骨盤はお産を想定している為、構造上男性に比べて股関節への負担が大きいことが考えられます。

一方で男性や若年層においても痛みを訴える人が増えています。これは、どうやら姿勢の悪さとも関係しています。歩行中、股関節には体重の3~4倍の負荷がかかっており、これを繰り返しています。姿勢の影響で骨盤が過度に前傾、または後傾していると、股関節への負担がさらに増え、痛みの原因となります。年齢問わず、姿勢に問題を抱えている方は多いので、股関節痛とも関連していそうです。

股関節痛を紐解くと目の股関節の構造の説明

大腿骨頭と寛骨臼蓋で股関節を形成します。

球関節で、肩関節と同じように可動性が高いのが特徴ですが、強力な筋や腱(腸骨大腿靭帯、恥骨大腿靭帯、坐骨大腿靭帯)によって制動されています。

股関節に炎症がおきたり、変形すると痛みがあるのは局所だけではありません。臀部、鼠径部、腸脛靭帯周辺といった場所に痛みを訴える場合があります。

股関節痛:主な股関節の病気

①変形性股関節症

加齢に伴う股関節の痛みのほとんどは変形性股関節症になります。関節軟骨の減少や骨の変形によって炎症を伴い痛みが出ます。最初は歩き始めなどの動作初期に大腿部の付け根に痛みが出現します。そして、動かしていると痛みが消えるという事が起きます。徐々に進行していくと、安静時痛や夜間痛が出現し、日常生活に支障をきたすようになります。脚長差も現れ、びっこを引くような歩き方になってきます。痛みの度合いやADLへ影響を考慮して、人工関節置換術の選択も視野に入れていきます。65歳以上の女性の5人に1人が股関節痛をもっている統計が出ています。

②突発性大腿骨頭壊死

成人にみられる原因不明の広範囲な虚血性壊死です。大腿骨頭の血流低下によって骨組織が死んだ状態になります。骨壊死により、骨頭変形がおきることで痛みが出現します。30~40代の男性に多いのが特徴です。ステロイド投与、アルコール中毒、多飲との関連が指摘されていますが、詳しくはわかっていません。

ペルテス病…大腿骨頭の全虚血性壊死で大腿骨頭の陥没変形、成長軟骨板障害に伴う頸部短縮を特徴とする疾患です。3~8歳の男児に好発する病気です。原因不明ですが、解剖学的要素による大腿骨頭への血流不全が関係しています。大腿骨頭の血流改善と将来的に変形が起こらないよう経過観察が必要です。状況応じて求心位保持の装具を使用します。

③リウマチ性股関節症

関節リウマチは股関節でも起こることがあります。男女比は1:3で女性に多い疾患です。自己免疫によって関節内の滑膜が炎症を起こし、軟骨や骨を溶かしていきます。炎症が長期に及ぶため関節を壊してしまい、変形がおきます。最終的には変形性股関節症と同じような治療を行っていきます。

股関節痛:不良姿勢による影響

ここまでは股関節自体の病気による痛みを紹介してきました。実際に最近増えていると感じるのは不良姿勢による筋肉由来の股関節の痛みです。特徴としては鼠径部に痛みと圧痛を伴います。

骨盤傾斜と腰椎の湾曲は表裏一体として機能しています。骨盤の前傾が強くなると腰椎の前弯が強くなります図①。 前湾が強まると、椎間関節や仙腸関節に負担がかかり腰痛の原因となります。この時、股関節は骨頭被覆が増大(大腿骨頭と寛骨臼蓋がしっかりはまっている)しており安定しています。この姿勢は若い人に多い傾向にあります。今度は骨盤の後傾が強くなると腰椎は後湾し、腸腰筋は短縮状態となります図②。この時股関節の骨頭被覆は減少するため不安定となります。脊柱の後湾も進行してくると歩行時のアライメント異常をきたし、股関節痛や膝関節痛が生じます。若い年代でも運動不足、デスクワーク過多で骨盤後傾している人は多くなっています。腸腰筋の不良負荷によって股関節痛をきたしている人が多くなってきています。

グロインペイン

激しいスポーツなどに伴う鼠径部痛は多種にわたっています。それらをひとまとまりとして、グロインペインシンドローム(鼠径部痛症候群)と呼んでいます。ランニングやキックなどの動作時に、鼠径部、下腹部、睾丸後部、内転筋、恥骨部などに痛みを伴います。股関節痛もあります。

スポーツでの使い過ぎや、不良動作、体幹筋の機能低下などで、筋力低下、柔軟性低下、拘縮などを起こし、痛みの原因となります。痛みの特徴としては、中程度以上の動きを行う際は痛みが出現しますが、安静時やストレッチ程度の動きでは痛みを発することがありません。

また、サッカーをやっているジュニア世代に多いですが、マラソン愛好家の方でもグロインペインになることがあります。

治療

治療に関しては、股関節の痛みが何に由来しているのかしっかりと検査することから始めます。我々はレントゲンなどの検査機器が使用できない為、問診徒手検査経験から病因を推測します。状態によっては医療機関への紹介を行うこともあります。不良姿勢、使い過ぎによる筋肉由来の痛みの場合は治療適応となり比較的効果を出すことができます。姿勢分析、歩行分析を行い、末端レベルから介入することで根本改善を行い治療から予防までを提案させて頂きます。

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