
近年、高齢化が進む日本では、脳梗塞の発症率が増加傾向にあります。
厚生労働省のデータによると、日本での年間脳卒中発症者数は約27万人とされており、そのうち脳梗塞は大半を占めます。※
脳梗塞は早期発見・早期治療が極めて重要であり、発症後すぐに適切な対応を行うことで、後遺症のリスクを大幅に軽減できます。
本記事では、脳梗塞の前兆としてどのような症状に注意すべきか、早期発見が後遺症に与える影響について詳しく解説します。
※国立研究開発法人 国立循環器病研究センター「脳卒中の予後(死亡率)と脳卒中専門医師数の関係について -ビックデータを用いて初めて可視化に成功-」

脳梗塞の前兆とは?
1.一過性脳虚血発作(TIA)
脳梗塞の前兆として最も重要なのが、「一過性脳虚血発作(TIA)」です。
これは、脳の血流が一時的に低下することで起こる症状で、数分から数時間以内に消失します。
TIAが起こると、近い将来に本格的な脳梗塞を発症するリスクが高まるため、注意が必要です。
TIAの主な症状
- ・片側の手足の痺れや脱力
- ・呂律が回らない、言葉が出にくい
- ・視界の一部が見えにくくなる(片目の視力低下)
- ・突然のめまいやふらつき
- ・一時的な意識障害
2.脳梗塞の前兆として注意すべき症状
1.片側の麻痺や痺れ
脳梗塞は脳の血流が途絶えることで発症します。
そのため、脳の損傷部位によっては、体の片側に麻痺や痺れが現れることがあります。
特に、腕や脚の動きが鈍くなったり、握力が低下する場合は要注意です。
2.言語障害
脳梗塞が発症すると、言葉がうまく話せなくなったり、相手の話が理解できなくなることがあります。
「呂律が回らない」、「言葉が詰まる」、「文章が作れない」といった症状は、重大な前兆です。

3.視覚障害
片目の視力が突然低下したり、物が二重に見える場合も、脳梗塞の前兆である可能性があります。
特に、片目だけが見えにくくなる場合は、脳の血流が一時的に低下しているサインかもしれません。
4.強いめまいやふらつき
バランスが取りづらくなり、急に立ち上がった際にふらつく場面も、脳梗塞の初期症状の一つです。
特に、小脳が影響を受けるタイプの脳梗塞では、めまいが強く現れることがあります。
5.突然の激しい頭痛
くも膜下出血を伴う脳卒中では、突然の激しい頭痛が起こることがあります。
普段経験しないような強い頭痛がある場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

早期発見が後遺症に与える影響
脳梗塞は、発症直後に適切な治療を受けることで、後遺症の程度を大幅に軽減できます。
1.早期治療の重要性
脳梗塞が起きると血流が遮断され、脳細胞へ十分な栄養が行き届かなくなります。
1時間…2時間…と過ぎるにつれて、脳細胞がダメージを受けていくため、後遺症をなるべく減らすためには早期の治療が必要です。
「4.5時間以内が大切」とよく言われていますが、4.5時間を過ぎてしまっても治療は可能です。
なるべく早く病院へ受診をして、治療を開始することが後遺症を抑えることに最も大切なことになります。

2.早期治療による回復の可能性
治療開始が早ければ早いほど、運動機能や言語能力の回復が見込めます。
また、リハビリを開始するタイミングも早いほど、運動能力や言語能力のみならず、社会復帰の可能性が高まります。
なるべく早期の段階から開始することで全体的な回復が多く見込めるため、少しでも異変を感じた場合は早めに病院受診をするようにしましょう。
リハビリを行い職場復帰した事例
※大好評につきご予約がお取りできない日もございます。
ご予約はお早めに!
この記事を書いた人

松浦 一将 理学療法士
JBITA公認 成人片麻痺基礎講習前講習1、2修了
大学卒業後、回復期リハビリ病院へ入職。主に脳梗塞・脳出血の患者様のリハビリを担当。同病院で訪問リハビリも経験させて頂き、より患者様の「生活」に近い場所でリハビリに携わってきました。2022年ハート脳梗塞リハビリ・ラボへ入職。「麻痺をよくしたい」という方はもちろん、前職の経験も活かし、目標に向けた最適な自主トレや運動方法のご提案、情報提供も行っています。 皆様の何気ない「笑顔」を大切に、目標を達成して共に成長できるよう全力でサポートさせて頂きます。