脊髄損傷-最新医療iPS細胞-

2022.11.12

脊髄損傷
-最新医療iPS細胞-

皆様こんにちは。理学療法士の松浦です。
今回は脊髄損傷の新たな治療法である
「iPS細胞を使用した治療」についてお話ししていこうと思います。

目次

  1. 1. 脊髄損傷とは
  2. 2. 損傷を受けると
  3. 3. 合併症
  4. 4. 今までの治療
  5. 5. 神経細胞を再生させる
  6. 6. 今後の治療
  7. 7.リハラボでの治療

脊髄損傷とは

はじめに、脊髄損傷とは脊椎・脊髄の疾患または外傷が原因で脊髄に損傷を受けることが原因で発生するものです。
受傷の原因は交通事故、高所からの転落、転倒、スポーツなどが報告されています。(※1)


日本脊髄障害医学会による
「外傷性脊髄損傷全国疫学調査」では
人口100万人あたり年間49人が受傷され、
受傷年齢の中央値は70歳と高齢者に多い結果となりました。
また、部位別では頚髄損傷が約88%を占め、胸腰部損傷では約10%(※2)
となっています。

(※1)出典:公益社団法人 日本理学療法士協会「脊髄損傷 理学療法ガイドライン」P.466

(※2)出典:日本脊髄障害医学会「全国脊損発生調査について」

損傷を受けると

脊髄が損傷を受け、横断的に離断されると完全麻痺となり、運動障害や感覚障害が起きます。
また、損傷が一部の場合は不完全損傷となりますが、損傷部位と損傷程度により症状は異なります。
頚髄・上位胸髄の損傷では自律神経障害が起こることもあり注意が必要です。

合併症

受傷直後ではベッド上安静の期間が長く、
筋力低下、関節可動域の低下、呼吸器疾患、尿路感染症、起立性低血圧、褥瘡
などの合併症が起きやすいため、注意が必要です。
合併症の予防のためには適切な治療とリハビリを受け、筋力低下と関節可動域の低下、
起立性低血圧の予防をし、ベッドでは定期的に体位変換を行い圧を一定の場所に
かけ続けない様にすることで褥瘡の予防をします。
また、状態に応じて呼吸訓練を行ったり、定期的に尿を管理するバルーン交換をすることで尿路感染症を予防します。

今までの治療

脊髄の神経細胞は一度損傷されると回復することはないと言われています。
今までの治療は残念ながら完璧に元通りになることはできず、
現状の機能を使って今後の生活の自由度を
上げるための身体作りを行っていくことになります。
脳の神経細胞も同様に元通りになることはありませんが、損傷された周りの神経繊維が機能を補うことはあります。

神経細胞を再生させる

先ほど神経細胞は回復することはないとお話ししました。
しかし、最近その神経細胞を再生すると言われているのが「iPS細胞」です。
最近では2021年12月に慶應義塾大学病院で
脊髄損傷患者に対して「ヒトiPS細胞由来神経前駆細胞」を損傷部位の中心部に移植されました。
移植された方の性別や年齢はわかっていませんが、その後の経過は順調でリハビリテーションも行なっていると発表されています。(※3)

(※3)出典:NPO法人 日本せきずい基金「日本せきずい基金ニュース」No.92

今後の治療

今後、iPS細胞の研究が進み神経細胞が再生すれば、現状の機能で生活の自由度を上げることが目標であったリハビリから、更なる改善を目標にしたリハビリに変わるでしょう。
慶應義塾大学病院の研究で、まだ未発表のものの中にはiPS細胞を使用して改善した研究データも出ている(※3)との事なので、数年後には脊髄損傷に対するリハビリテーションも変化していくかもしれませんね。

(※3)出典:NPO法人 日本せきずい基金「日本せきずい基金ニュース」No.92

リハラボでの治療

脊髄損傷のリハビリ内容は、前にも書いた通り現状の機能を使い今後の生活の自由度を高めていくことになります。
損傷部位や程度にもよりますが、生活に役立てられる動作の獲得を目指していきます。
また、鍼で自律神経を整えつつ、固くなった筋肉達をほぐすことも行います。
身体が動きやすくなった中でリハビリを行うことで、新たな動作の獲得を目指していきます。
さらに、歩行補助具をお持ちの方は、歩行訓練も行なったりしておりますので、お気軽にご相談ください。

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