姿勢改善と骨盤調整

2022.11.18

こんにちは。鍼灸師の矢澤です。骨盤調整について説明します。

最近、「姿勢」を改善することが流行っています。「骨盤調整」という言葉は聞いたことがあると思います。体の中心に位置する骨盤の状態は姿勢維持に重要な役割を持っています。よって骨盤の位置を正すことで姿勢をよくしていく方法が主流です。その結果、痛みや不調を改善します。そんな骨盤調整の考え方もお伝えしていきます。

姿勢を正すと何が良いのか?

人間は2足歩行を行い、常に重力と戦っています。正しい姿勢で重力に抵抗するならよいのですが、不良姿勢でいると、一部の筋肉に負担がかかってしまい癖がついてしまいます。また、左右どちらかの利き腕利き脚をもっています。どちらか一方を使い続けることで筋肉に左右差が出てしまいます。つまりこの2つがあることで人の体は歪んでいきます。

立った状態で正しい姿勢とは

耳たぶ-肩-股関節(大転子)-膝-外くるぶしが一直線に並んだ状態です。

また、座った状態で正しい姿勢とは

耳-肩-股関節が一直線で膝関節、股関節が90度になっている状態です。

立った正しい姿勢



座った正しい姿勢

姿勢が良いことで得られるメリットは

① 筋緊張、痛みの予防。 一部の場所ばかりに負担がかからない。

② 自律神経の安定。 呼吸が安定して、副交感神経の働きがよくなる。

③ 基礎代謝が上がる。

④ 奇麗に見える。 メリハリのある体。年齢より若く見えます。

逆に言うと姿勢が悪ければ上記と反対のことがおきるといえます。

骨盤とは

骨盤とは体の中心に位置しており、上半身と下半身を繋いでいる土台骨です。※1

骨盤

受け皿のような形をしており、様々な臓器を収めています。また、姿勢の維持にも重要な場所となっています。骨盤は仙骨、尾骨、寛骨の3つの骨で構成されています。実は、骨盤調整に重要なのは、骨盤だけでなく、仙骨につながる背骨と寛骨と大腿骨をつなげる股関節です。

やり方によっては背骨と股関節の位置関係から骨盤の状態を把握して治療を行うこともあります。

※1出典 公益社団法人 日本整形外科学会 HP

骨盤のズレ

骨盤のズレは前傾、後傾、左右のねじれの全部で4パターンです。これを組み合わせて骨盤調整を行うのが一般的で、簡単です。

①骨盤の前傾

骨盤が前に傾いた状態です。この状態になると腰椎が前弯してしまい反り腰になります。また、

でっ尻と言われる、お尻が大きく見えてしまう人は前傾パターンです。太ももの前面が硬くなり、股関節も痛みやすい姿勢です。若い人や体を動かす人、女性に多い傾向です。仰臥位で寝たとき、腰と床の間に手が2本分以上入る人は骨盤前傾タイプです。

②骨盤の後傾

骨盤が後ろに傾いた状態です。この状態ですと腰椎の前弯が無くなるので、受け腰になります。さらに、腰椎は生理的前弯を失った結果、ストレートバックになります。この腰痛タイプは筋筋膜性腰痛や椎間関節炎になりやすいです。腸腰筋が衰え、ハムストリングスが硬くなるので膝痛も起きやすくなります。中年男性から高齢者に多いタイプです。このタイプで年齢を重ねると、体重バランスをとるために、膝が曲がり、O脚ガニ股になります。肩甲骨が内転して肩が後ろに下がります。つまり、よく見かける高齢者の姿勢です。

前傾後傾を判断する際に、上前腸骨棘と上後腸骨棘の位置を指標とします。このそれぞれの位置が大きくなれば前傾。小さくなれば後傾と判断します。

骨盤の前傾と後傾

③左右のねじれ

骨盤大まかな動きは前傾後傾です。更に、左右を比較すると、左は前傾、後ろは後傾というねじれが起きているパターンがあります。足の長さが違う人がこのパターンになります。骨盤は片方がねじれると片方は反対にねじれる性質があります。

具体的に説明します。伏臥位で足の長さを比べた際に、左脚が短く右脚が長かった場合。左脚の骨盤が後傾して右脚の骨盤は前傾しています。左脚が長く右脚が短かった場合はその逆です。特徴としては、短い方の脚は外旋傾向になります。また、休めの姿勢をした際に体重をのせる方も短い脚です。座った際に脚を組む癖がある人は、組む側の脚が短くなっています。

臨床パターンとしては、①、②の単独、①と②に③が組み合わさる4パターンで考え、骨盤調整を行っていきます。

姿勢に重要なのは筋肉

骨盤調整に重要なことは筋肉を正しく使うことです。骨や関節の位置は筋肉の状態によって決まります。(ただし、靭帯の伸び縮みや、物理的に長さが違う場合は除く)

同じような姿勢を続ける。同じ筋肉を使い続けると、特定な筋肉だけに負担がかかり、そちらに引っ張られるのは容易に想像できます。また、使わな過ぎて衰えた筋肉は本来行えるはずの動作を困難にさせます。関節の位置も変わってきます。

骨盤調整に関しては、骨盤周辺の筋肉の衰えや、不良姿勢の維持による筋肉の柔軟性低下の影響が大きく関与します。よって、一時的なアジャストやストレッチだけでは、その時は治りますがすぐ元の悪い状態に戻ってしまいます。

それぞれのタイプに重要な筋肉

簡単にそれぞれのタイプはどの筋肉に注意したらいいのでしょうか?簡単にお伝えします。

① 前傾 腹筋強化、背筋の柔軟性、下半身の柔軟性

② 後傾 腸腰筋強化、腹筋強化、ハムストリングス柔軟性、肩甲骨周りの柔軟性

③ ねじれ方(短い脚の方) 内転筋強化、中殿筋柔軟性、仙腸関節

ほかの考え方もありますが、これら組み合わせ、その人に一番合った方法を探します。

よって筋肉の使い方を教えてくれない姿勢改善施設は、要注意ですね。

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