脳卒中は冬に多い?
理由と予防方法を解説
「脳卒中は冬に多い」そんなことを聞いた方も多いかもしれません。
今回は脳卒中が本当に冬に多いのかを研究した結果がいくつかあります。
その内容を皆様に共有するとともに、再発しないためにはどの様なことに注意すれば良いのかをお伝えしていきます。
目次
脳卒中の種類
によって変わる
結論からお話します。
季節によって傾向があるのは脳卒中の種類によって変わります。
ものによっては夏に多いものもありますし、冬に多いものもあるのです。
それぞれ詳細を解説していきます。
脳卒中とは
脳卒中とは主に脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の3種類のことを指します。
脳の血管が詰まり、血流が悪くなることで生じるのが脳梗塞。
逆に、脳の血管が破れて生じるのが脳出血です。
季節との関係
血管が破れて生じる脳出血やくも膜下出血は高血圧と密接に関係しています。
寒い冬場は身体の体温を逃さないように、体内の血管が収縮して血圧が上昇します。
そのため、脳出血やくも膜下出血は冬場に起きやすく、夏場に減少する傾向があります。
脳梗塞
脳梗塞の場合は、主に動脈硬化などで血管が細くなることが原因で発病します。
細くなった血管がなんらかの拍子で血流が悪化し、脳に血が回らなくなることで起きます。
また、多くの方が脳梗塞と聞いて印象があるのは、血栓が血管に詰まることで血流が阻害されて起きるものだと思います。
これは、体内の水分量が不足することで血液がドロドロになり、血栓ができやすくなるのです。
身体のどこかでできた血栓が、血流に流されて脳の血管に詰まると脳梗塞になるのです。
この血栓が心臓で詰まれば、心筋梗塞。肺で詰まれば、肺塞栓症と名前が変わります。
脳梗塞の種類
脳梗塞にも実は種類が3種類あります。
- ⒈ラクナ梗塞
- ⒉アテローム血栓性脳梗塞
- 3.心原性脳梗塞
です。
⒈ラクナ梗塞
脳の細い血管が詰まって起きるもの
⒉アテローム血栓性脳梗塞
心臓から脳に繋がる太い血管の血流障害によって起きるもの
⒊心原性脳梗塞
心臓の中にできた血栓が飛んで脳血管が詰まることで起きるもの
季節との関係
夏は暑さにより大量の汗をかくと、血液がドロドロになり血栓ができやすくなります。
そのため脳梗塞の中でもラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞は夏に起きやすいです。
逆に冬で寒くなると身体の熱を逃さない様に血管が収縮します。
その影響で心房細動や狭心症などのリスクが高まり、実際に起きた際は血液が心臓内で貯まってしまいます。
血液が心臓内で貯まる様になると血栓ができやすくなり、その血栓が脳へ飛ぶことで心原性脳梗塞になります。
そのため、心原性脳梗塞は冬に多いと言われています。
脳卒中の原因
脳卒中発症に大きく関わる危険因子として、日本脳卒中学会では
- ・高血圧
- ・脂質代謝異常(高コレステロール)
- ・糖代謝異常(糖尿病)
- ・非弁膜症性心房細動
- ・遺伝的要因
- ・生活習慣の悪化
があげられています。
中でも高血圧は圧倒的に多い危険因子とされています。
高血圧
高血圧は脳心血管病(脳卒中及び心疾患)の最大の危険因子とされています。
日本高血圧学会によるガイドラインによると、高血圧は140/90mmHg以上が対象になります。(※)
高齢者の場合は年齢とともに血圧は上昇しやすいため年齢ごとに降圧目標値が設定されている様です。
65〜74歳:130/80mmHg未満
75歳以上. :140/90mmHg未満
※出典:特定非営利活動法人 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」
日本人の高血圧の特徴
日本での高血圧の原因で一番多いとされているのは食塩の摂りすぎ(過剰摂取)とされています。
また、食塩の摂取量を減らすことで高血圧が改善されるのはいくつもの研究で明らかにされています。
日本特有の味噌や漬物、焼き魚などには多くの塩分が使われています。
また、近年は食塩を多く取り入れたファストフードが多くみられる日本では多くなってしまうのも頷けます。
予防
では高血圧を予防して脳卒中にならないよう予防するにはどうしたら良いのでしょうか。
①減塩
もちろん「減塩」は大切です。厚生労働省によると日本人の1日の塩分摂取量は6gが目安とされています。(※)
味噌汁1杯には1.0~1.5gの塩分があるとのことで2杯飲むだけで1日の摂取量の約半分となってしまいます。
そのため、日々の食事を塩分控えめにして血圧をコントロールしていくことが第一とされています。
※出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」p.269
②カリウム摂取
カリウムには塩分を体外に排出する役割があるとされています。
野菜や果物にはカリウムが多く含まれていますので、そのまま食べたり野菜はスープにすることで摂取が可能です。
人によってはカリウムの摂取が制限されている方もいらっしゃると思いますので、主治医の先生に聞きながら摂取してみてください。
③運動
運動をすることで汗をかきます。
汗は塩分を体外に排出する役割があります。ウォーキングやジョギング、エルゴメーターなどの有酸素運動などを行うことで効率的に塩分を排出することができます。
もちろん、脱水にはならない様に汗をかいたら水分補給は忘れずに行ってください。
塩分を摂取しすぎてしまった場合は運動を行って調節をしましょう。
④寒暖差を少なくする
脳卒中は種類にもよりますが、夏と冬に大きく増加します。
これは普段の気温より暑くなりすぎたり、寒くなりすぎることで交感神経が優位に働きます。
交感神経が優位に働くことで血管が収縮し血圧が上昇するため、脳卒中のリスクが上がります。
そのため、なるべく自宅では温度を一定に保つように、冷房や暖房を使用しつつ。
お風呂に入る際にはゆっくりと入り、ゆっくりと出るようにしましょう。
急激な温度変化は心臓や血管に大きな負荷をかけてしまうため、注意が必要です。
まとめ
さて、今回は脳卒中が冬に多いのか?の理由と予防について解説しました。
簡単にまとめると
- ・脳卒中は主に
脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の総称 - ・冬に多いのは
脳出血、くも膜下出血、心原性脳梗塞 - ・予防としては食生活を改善し、運動をする。
自宅の寒暖差を少なくする。
もちろん、高コレステロールや糖尿病についても運動をすることで予防できる点は多くあります。
お近くの病院でお医者さんにどのくらい運動しても良いのかを聞いて安全に行いましょう。
運動の仕方がわからない方は、病院や通っているデイサービスの理学療法士さんにどんな運動が良いか聞いてみましょう。
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