脳梗塞や脳出血では片方の手足が動きにくくなります。
中でも多くの方を悩ませる握り込んでしまって「手が開かない」原因で多い『同時収縮(どうじしゅうしゅく)』について解説していきたいと思います。
同時収縮とは
主動作筋と拮抗筋が同時に収縮する現象。
簡単にいうと、「曲げる」力と「伸ばす」力が同じタイミングで働くことになります。
この同時収縮が原因で握り込んだ手が開かないこともあるのです。
みなさんは指を開こうとすると更に握り込んでしまって離れない…
という経験はありませんか?
これについても解説していきます。
更に握り込んでしまう原因
離そうとした際に更に握り込んでしまう原因は開くまでの手順でエラーが起きてしまっているからです。
正しい手順で行うことで筋肉の同時収縮を減少させることもできます。
手を開く手順
手を開く手順としては
①物を握る
②握った手を緩める
③緩んだ手を伸ばす
という手順になります。
多くの人は②番がうまく行えずに握る力が入った状態で伸ばしてしまうため、「曲げる」力と「伸ばす」力が同時に働いてしまいます。
伸ばす力の弱体化
脳梗塞・脳出血を発症すると指を伸ばす運動が行いにくくなる方が多く見られます。
「曲げる」力と「伸ばす」力が同時に働いた場合の割合が10対5とした場合には関節は曲がる方向へ動きます。
例として綱引きを10人で引っ張るのと、5人で引っ張るのでは10人で引っ張った方に綱が動いていきますよね。(5人が筋肉ムキムキだといい勝負かもしれませんが…笑)
自宅での自主トレ
自宅での自主トレとしては手を緩める練習をすることで伸ばしやすさにつながってきます。
緩んでくるのを待つ
物を握った後に一息ついて手が緩んでくるのを待ちましょう。
反対側の手で無理やり伸ばそうとすると、更に握り込んでしまうため時間をかけてゆっくりと力を抜きます。
慣れてくると時間をかけずに緩んで来ますので、初めは根気よく待ってみてください。
いろんなものを握ってみる
同じものではなく、さまざまな物を握ってみてください。
ボールとペットボトルでは固さや質感が異なります。物によってに握った際の抵抗感が違い緩みやすい、緩みにくいがあります。
緩みやすい物を見つけて反復することで緩む感覚を練習できます。
最後に
今回は同時収縮について解説しました。
握り込んだ手を開くためには、筋肉の長さや筋緊張などの要素も関わってくるため、何が原因で開きにくいのかをしっかりと評価することが大切になります。
気になる方は作業療法士さんなどに聞いてみてくださいね。
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この記事を書いた人
松浦 一将 理学療法士
JBITA公認 成人片麻痺基礎講習前講習1、2修了
大学卒業後、回復期リハビリ病院へ入職。主に脳梗塞・脳出血の患者様のリハビリを担当。同病院で訪問リハビリも経験させて頂き、より患者様の「生活」に近い場所でリハビリに携わってきました。2022年ハート脳梗塞リハビリ・ラボへ入職。「麻痺をよくしたい」という方はもちろん、前職の経験も活かし、目標に向けた最適な自主トレや運動方法のご提案、情報提供も行っています。 皆様の何気ない「笑顔」を大切に、目標を達成して共に成長できるよう全力でサポートさせて頂きます。