前回のブログで脳梗塞治療に使用する鍼灸のツボをご紹介しました。
効果があるなら試してみたいという方はたくさんいると思います。でも、どこに行ったら鍼灸を受けられるか分かりませんよね?今回の記事を読めば、脳梗塞のリハビリで鍼灸をしたい時、どこに行ったら良いかがわかります。全てに施設にかかわりを持ったことがある著者が、それぞれの場所のメリット、デメリットもお伝えしていきます。
脳梗塞の鍼灸治療は保険が使用できるのか?
まず、お伝えする前に、とても多いこの質問にお答えします。
A. 使用できます。ただし、条件があります。
鍼灸は、特定の疾患に限り健康保険を使って治療することができます。
具体的には神経痛、五十肩、リウマチ、頚肩腕症候群、腰痛症、頸椎捻挫後遺症、その他慢性痛を伴う疾患が保険適応となります。
これらの疾患に対して、医師の同意があれば保険適応となります。脳梗塞患者さんは、慢性的に痺れや疼痛、肩の痛みなどを伴っている事が多いので、同意を得られることが多いです。
ただ、すべての鍼灸施設が保険を取り扱っているという事ではありません。保険で鍼灸を受けたい場合は、通院する施設への確認が必要です。
脳梗塞のリハビリで鍼灸施術を受けられる施設、サービスは4つ
① 鍼灸院
② 鍼灸接骨院
③ 訪問鍼灸
④ 自費リハビリ施設
※これからは脳梗塞の後遺症に対する鍼灸施術に関して、筆者の意見を述べています。その他疾患や痛みには考慮していませんのでご了承ください。
各施設やサービスのメリット
① 鍼灸院
鍼灸をする場所として一番先に思い出されるのが、〇〇鍼灸院、〇〇鍼灸治療院といった屋号に鍼灸がつく施術所です。ここは鍼灸治療をメインに施術を組み立てます。(マッサージなどを併用している場所もあります。)鍼と灸も両方やっているところが多いです。純粋に鍼灸をやってみたい、効果があるか試してみたいという方にはおススメです。マンツーマン治療で、60分位のところが多いので、しっかりみてもらいたい、話も聞いてもらいたい人も満足できます。
② 鍼灸接骨院
接骨と鍼灸が合わさった院です。保険を使用した接骨治療をメインとして、オプション治療で鍼灸をプラスして行います。脳梗塞患者さんの場合、慢性的な痛みが多いので、接骨の部分で保険適応にならないことがあります。その場合、接骨(自費)+鍼灸または、鍼灸のみという施術内容となります。メリットは徒手療法(手による施術)、電気療法、温熱療法など、鍼灸+ほかの施術も受けられることです。それぞれの施術の相乗効果が望めます。また、院の数も多く、一番身近な存在であるため行きやすいという点も挙げられます。
③ 訪問鍼灸
外出が困難な方に対して、自宅で鍼灸を受けられるサービスです。一人で外に出られない脳梗塞患者さんは多いので、自宅で受けられるのは最大のメリットです。また、保険による施術を基本としていますので、一回の施術料金を抑えることができます。施術期間が長くなると、施術者は患者さんの体をより詳しく把握ができます。少しの異変でも気づくことができ、何かの際にも安心です。こちらを受けたい場合はご自分で探すのもよいですが、ケアマネさんに相談してみてもよいと思います。
④ 自費リハビリ施設
脳梗塞専門自費リハビリの中で、鍼灸を併用している施設は少なくありません。鍼灸と運動療法をセットにしたリハビリを提供しています。鍼灸で体を動きやすい状態にしてから運動療法を行うことで、効率よくリハビリができます。様々な症状の脳梗塞の方を診ているので、脳梗塞の鍼灸に対しての経験値は豊富です。また、私たちのハート脳梗塞リハビリ・ラボも自費リハビリの施設になります。
各施設やサービスのデメリット
各施設のメリットをご紹介しましたが、受診の判断材料としてデメリットもお伝えします。
① 鍼灸院
小さい個人院などバリアフリーの点で不安な事があります。脳梗塞の施術経験に関しては確認が必要です。保険を使用できるところもありますが、自費で行っていることが多いです。
② 鍼灸接骨院
どちらかといえば接骨がメインの施術内容になります。施術者の脳梗塞に対する専門性や経験値は少ない事が多い。また、利用者の出入りが多い事がデメリットとなる場合があります。
③ 訪問鍼灸
基本的に、外出の困難な方が受けるサービスになるので、動ける方は対象外です。平均すると一回の施術が約20分と、時間が短い傾向があります。自宅やベッド上での施術となるため、施術内容に制限がでてしまうことがあります。(やりたいことができない)
④ 自費リハビリ施設
自費リハビリは、鍼灸と運動療法がセットになっているため、一回の支払いが上記3つに比べると高額になります。また、施設の数が少ないため、自宅の近くに無い場合は、交通手段が障害となる事があります。
表にまとめてみました。
脳梗塞の鍼灸施術経験が多い施術者を見抜く方法
ここまでは、鍼灸を受ける事ができる場所4つと、施設によるメリットデメリットを紹介しました。一度試してみたいと思った方は、自分に合った場所、通いやすい場所で鍼灸を経験してみてください。
一方で、初めてなので経験値が多い施術者に診てもらいたい人もいると思います。声や見た目では判断できませんよね。
そういった時はこんな質問をしてみてください。
「私の体は良くなりますか?」
「良くなるとしたらどういった経過をたどりますか?」
この質問に対して、自身が納得する答えを伝えてくれる施術者は、脳梗塞の施術を経験している。脳梗塞の知識があると思ってください。脳梗塞の施術は通常の施術と違う部分が多々あります。一般の方の痛みや痺れとはメカニズムが違います。ただやみくもに良くなるという施術者は、通常施術と同じと考えている人かもしれません。または、とてつもない名医といわれる達人かもしれません。
最後に
今回は鍼灸を受けたいと思っている脳梗塞患者さんに、どこに行ったら鍼灸を受ける事ができるのか、メリットデメリットを含めてご紹介しました。初めて経験してみようと思っている方は不安や緊張もあると思います。そういった事も含めて施術者に相談してもらえれば、また違う視点での意見やアドバイスをもらえることでしょう。
※大好評につきご予約がお取りできない日もございます。
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この記事を書いた人
矢澤 大輔 鍼灸師
修士号(医科学)取得
業界歴15年。入社以来主に鍼灸接骨院に勤務し、様々な痛みと向き合ってきました。リハビリラボでは開設以来鍼施術を担当しています。痛み、痙縮、痺れ、麻痺などいろいろな悩みに対して、鍼と手技でアプローチしていきます。体だけでなく、心の支えにもなれるよう関わらせていただきます。