脳梗塞の方必見!訪問鍼灸について詳しく教えて!

2023.05.01

前々回のブログでは、脳梗塞で鍼灸を受けるためにはどんな施設やサービスがあるのか?という事をお伝えしました。

今回はその中でも、脳梗塞患者さんの利用が比較的多い訪問鍼灸について説明します。

これを読めば、訪問鍼灸がどういったサービスかがわかります。一度受けてみたいと思っている方にとって、有益な情報になっています。

訪問鍼灸とは

訪問鍼灸は、鍼灸師が自宅や施設に直接訪問し、鍼灸を受ける事ができるサービスです。鍼灸は言葉の通り鍼(はり)と灸(きゅう)の施術を統合しての名称です。サービスを受ける際、鍼をするのか、灸をするのか、鍼と灸の両方するのかは、施術所によって異なります。健康保険の適応となりますので、自己負担分を安くすることができます。また、保険の種類では医療保険を使用しますので、介護保険の利用限度に関係なくサービスを利用することが可能です。

訪問鍼灸を受ける事ができる条件

訪問鍼灸を受けるためには医師の同意が必要となります。医師に同意してもらう内容は以下の2点です。

① 保険適応となる疾患を有しているか。

② 外出が困難であることを証明できるか。

鍼灸の保険適応となる対象疾患

保険適応となる疾患は

神経痛、五十肩、リウマチ、頚肩腕症候群、腰痛症、頸椎捻挫後後遺症、その他医師が認める慢性疼痛を有する疾患

の7つになります。どれか一つを有していることが必要です。鍼灸保険が認められている疾患は、的確な治療法がなく、かつ慢性的に痛みを伴っている状態といえます。

外出が困難であるか

1人での外出が困難であることを医師が確認します。

以上に2点に関して、医師の同意をもらうことで「訪問して」「鍼灸を受ける」訪問鍼灸が保険内のサービスとして利用することができます。

訪問鍼灸のサービス内容

訪問鍼灸ではどんなサービスを受ける事ができるのか?

対象疾患患者さんは、慢性的な疼痛や痺れ、それに伴う関節可動域の低下、筋の萎縮等が起きています。鍼灸施術を行うことでこれらの症状の緩和を目指します。

訪問鍼灸施術のサービス内容は、①鍼(刺す鍼)②鍼(刺さない鍼)③灸(温める)④手技療法

の4つがあげられます。それらを組み合わせて施術を行います。それぞれのサービス内容について詳しく説明します。

① 鍼施術(刺す鍼)

身体には361個以上のツボがあります。鍼灸師はその中から、症状に合わせてツボに鍼を打っていきます。痛い筋肉を直接狙うこともありますし、気の流れを重視して打つこともあります。血流改善、筋緊張の低下、免疫力向上等を狙っています。その他、刺した鍼に電気を流す通電療法や、鍼を刺しながら運動をする運動鍼があります。

② 鍼施術(刺さない鍼)

鍼を体に刺されることが苦手な方に対しては、刺激量を抑えた刺さない鍼を使う方法があります。ツボに対して先が尖っていない鍼を当てたり、ツボの流れにそって摩ったりします。

てい鍼…鍼先の直径は2ミリほどで丸くなっており、体に刺さることはありません。子供にも使用することができます。

ローラー鍼…ローラー型になった鍼です。ツボからツボの間を、皮膚に当ててゴロゴロと転がすことで症状緩和を行います。

てい鍼
ローラー鍼

③ 灸施術(温める)

灸施術は、乾燥させたもぐさを適量な形にして皮膚上で燃やしていくのが一般的な方法です。「お灸をすえる」という言葉があるように、昔は家庭一般で民間療法として利用されていました。煙の量が多く、家庭などの環境では適さないため、往診では電気温灸器で代用します。患部を温めると自己免疫が上がるといわれています。

④ 手技療法

体をもんだり、筋肉を伸ばしたりします。前揉法(ぜんじゅうほう)、後揉法(こうじゅうほう)という名前があるように、鍼施術の効果を上げるために手技療法を行います。

脳梗塞、脳出血と訪問鍼灸

訪問鍼灸を実際に受けている人を疾患別に調べると、脳梗塞や脳出血を含む、脳血管障害の方が3割以上を占めていると言われています。

脳梗塞、脳出血になると、後遺症によって痛みや痺れが出現することがあります。損傷による脳からのエラー信号は、一般的な痛みを感じる経路とは異なるため、回復が難しい事があり、慢性化していきます。

また、重度になると寝たきりや車いす生活になってしまう他、歩行ができても一人では難しいなど、外出困難な状況にあります。そういった方々の、疼痛ケア、痺れケアのために、訪問鍼灸は利用されています。

まだまだ知られていない訪問鍼灸

痛みの軽減に有用な訪問鍼灸ですが、まだまだ浸透していないのが現状です。理由としては保険制度の関係と、鍼灸の認知の低さにあります。

脳梗塞、脳出血になった方の多くは介護保険を利用されています。その場合、必ず担当にケアマネージャーさんが付きます。ケアマネさんは、介護保険を使用したサービスのプラン作成を行います。よって、医療保険を使用する訪問鍼灸に関しては業務外の仕事になってしまうため、積極的には提案されません。

また、鍼灸施術の年間受診率は国民の5%というデータがあります。鍼灸を知らない、鍼灸はなんだか怪しいというイメージがまだまだある業界なのです。

訪問鍼灸を利用しましょう

これまで読んでいただいて、該当しそうな人はぜひ訪問鍼灸を受けてみてください。

鍼灸を今まで受けたことがないという人ほど、新しい刺激で良い効果生まれる事があります。

また、リハビリラボのグループ施設でも訪問鍼灸を行っています。興味がある方は一度連絡を入れてみてください。

この記事を書いた人

矢澤 大輔 鍼灸師

修士号(医科学)取得

業界歴15年。入社以来主に鍼灸接骨院に勤務し、様々な痛みと向き合ってきました。リハビリラボでは開設以来鍼施術を担当しています。痛み、痙縮、痺れ、麻痺などいろいろな悩みに対して、鍼と手技でアプローチしていきます。体だけでなく、心の支えにもなれるよう関わらせていただきます。