脳梗塞のリハビリの大切さと期間について知ろう!

2023.05.21

皆さんこんにちは。

脳梗塞を発症すると手足が動きにくくなり、自宅での生活が困難になります。

発症するまでに約束していた案件や、免許の更新、仕事の復帰などもあり、早期退院を希望する方も多いかと思います。

この記事を読むことで脳梗塞でなぜリハビリが大切なのか。退院後のリハビリ方法と、集中的にリハビリができる期間について知ることができます。

脳卒中回復期リハビリ病院の入院期間は?

脳梗塞を発症されると急性期病院に運ばれ、緊急手術や応急処置が行われます。

その後、回復期リハビリ病院へ転院してリハビリを行いますが、そこでの入院期間の上限が厚生労働省により決められています。

ここでの入院の期間は150日(約5ヶ月)とされており、高次脳機能障害がある重篤な方は180日(6ヶ月)が上限とされています。

参考:厚生労働省,個別事項 (その5:リハビリテーション)p.42

時期によるリハビリの違い

先ほど急性期や回復期といった言葉が出ましたが、それぞれ期間による特徴が異なりますので、表で説明します。

脳梗塞になって初めに入院する病院では生命の維持が最優先事項になります。大きな運動というよりは、体力が著しく落ちてしまわないように軽めの運動や関節が固まらないように動かせる範囲を動かしながら予防をする病院が急性期。

次に身体の状態が安定したら退院後の生活に向けて、歩行や日常生活動作の獲得を目指してリハビリを行う回復期。

最後に自宅での活動や社会参加、生活の維持を目指す維持期・生活期。

に大きく分かれます。

退院後のリハビリ

退院後のリハビリには大きく分けて3パターン存在します。

それは「医療保険を使ったリハビリ」、「介護保険を使ったリハビリ」、「保険外リハビリ」の3つです。

医療保険のリハビリ

主に病院へ通院してのリハビリ(外来リハビリ)になります。介護認定が降りない場合などはこちらの医療保険を使用してリハビリを継続します。医療保険を使用してのリハビリでは、発症後180日を過ぎると1ヶ月に13単位(1単位20分)に制限されてしまいます。多くは週1、2回の利用が多いです。

介護保険のリハビリ

こちらはデイサービスやデイケア、訪問リハビリが当てはまります。介護保険の介護度によって作成するケアプランによって使用する回数が異なります。デイサービスやデイケアでは20〜40分の個別リハビリでリハビリを行うことが多いです。ケアプランにもよりますが、多くは週に2、3回の利用が多いです。

保険外のリハビリ

当施設もこちらに当てはまりますが、完全実費のリハビリになります。介護保険の介護度などにも関係なく60〜90分時間いっぱいリハビリを受けられる施設が多いです。

内容はリハビリのみ、リハビリと鍼灸、リハビリとロボットなど、様々な組み合わせがあります。

脳梗塞の回復の見込み

脳梗塞にかかった方でどのくらい回復するか気になる方は多いかと思います。

回復度合いでよく耳にするのが「6ヶ月の壁」というものです。

脳卒中の発症後、手足の麻痺や言語の障害などが残る場合がある。運動機能等の低下が認められた場合には医療機関等においてリハビリテーションが実施されるが、一般的に運動機能はおよそ発症から 3~6 か月までに顕著に回復し、それ以降はあまり変化が見られなくなる。ただし、言語機能などは 1 年を経過して徐々に改善する傾向がある。結果的に残存した機能低下を「障害」という。

厚生労働省 「脳卒中に関する留意事項」

厚生労働省によるとこのように述べられており、運動機能の回復は6ヶ月以降はあまり変化が見られなくなるというのです。

冒頭でもお伝えしましたが、脳梗塞の入院期間は180日(約6ヶ月)が最大です。

それまでは365日欠かさずリハビリしていた日常が、退院すると運動量も減ることで運動機能の変化が見られにくいのではないでしょうか?

海外の論文では「脳卒中の上肢や手の回復は半年以降が多い」という結果も出ているので、運動機能の回復の変化は6ヶ月以降もあるようです。

詳しくまとめた記事がございますので、「6ヶ月の壁」が気になる方はこちらも読んでみてください。

脳梗塞のリハビリが大切な理由

脳梗塞のリハビリが大切な理由として大きく分けると3つあります。「機能回復の促進」、「日常生活動作の改善」、「再発予防」です。それぞれ簡単に解説していきます。

機能回復の促進

脳梗塞によって損傷された脳の機能を回復させるためには、リハビリテーションが欠かせません。

適切なリハビリを受けることで、神経回路の再学習や脳の可塑性(かそせい)を利用して機能回復を目指します。

可塑性:一般には,ある物質が変形して原型とは異なる形状を保持しうる場合,可塑性があるというが,神経系でこの語を用いる場合は,神経回路またはその機能が外部からの刺激や内部の変化に応じて変化する性質をさす。

広辞苑 より

日常生活動作の改善

リハビリを継続することで、日常生活の動作や機能を改善し、自立した生活が送れるようになります。

歩行や食事、入浴などの日常的な動作を改善していきます。

退院する際に手助けが必要だった場合でも、退院後に適切なリハビリを継続して行うことで自立を目指すことも可能です。

再発予防

リハビリを継続することで、再発を予防することができます。

適切な運動や生活習慣の改善、血圧やコレステロールの管理など、脳梗塞再発のリスクファクターをコントロールすることが重要です。

まとめ

今回の内容をまとめると、

脳梗塞を発症した場合の入院期間は最大150日(高次脳機能障害がある重篤な場合は180日)

脳梗塞の機能回復は6ヶ月以降でも起きている

脳梗塞のリハビリは機能回復、日常生活動作の改善、再発予防にもなる

です。

皆さんも自分に合ったリハビリ方法を探して生活の質(QOL)の向上を目指していきましょう!

※大好評につきご予約がお取りできない日もございます。
ご予約はお早めに!

この記事を書いた人

松浦 一将 理学療法士

JBITA公認 成人片麻痺基礎講習前講習1、2修了

大学卒業後、回復期リハビリ病院へ入職。主に脳梗塞・脳出血の患者様のリハビリを担当。同病院で訪問リハビリも経験させて頂き、より患者様の「生活」に近い場所でリハビリに携わってきました。2022年ハート脳梗塞リハビリ・ラボへ入職。「麻痺をよくしたい」という方はもちろん、前職の経験も活かし、目標に向けた最適な自主トレや運動方法のご提案、情報提供も行っています。 皆様の何気ない「笑顔」を大切に、目標を達成して共に成長できるよう全力でサポートさせて頂きます。