脳梗塞と骨折について

2023.11.23

 脳梗塞になると片麻痺の影響で、麻痺側が骨折しやすくなります。転倒は特に気を付けなければいけません。麻痺がリハビリや回復を妨げてしまうので治るのに時間がかかってしまいます。また、健常者とはいえ、加齢とともに骨折の危険性も高まります。介護が必要になる原因の第4位が骨折・転倒です。

この記事は骨折について解説するとともに、高齢者で多発している脊椎圧迫骨折についても説明していきます。

骨折とは

 骨折とは、骨に何らかの外力が加わる、一定の負荷が加わり続ける事によって発生します。骨が折れたり、ひびが入ったりすることをいいます。若年層であれば大きな外力が外から加わることで骨折するイメージが付きます。しかし、基礎疾患を持つ方や骨が弱い方、高齢の方などはちょっとしたことで骨の損傷が起きます。

骨折には完全骨折と不全骨折があります。

完全骨折と不全骨折                                                      

完全骨折は、骨の連続性が絶たれ、折れてしまっている状態です。

不全骨折は、いわゆる「ひびが入った」状態です。部分的なつながりがあります。

骨折の折れ方の分類

完全骨折において、骨がどのような形に折れたのかで、5つに分けられることができます。※オムロンヘルスケアHP参照

① 横骨折骨…の状軸に対して垂直に折れた状態

② らせん骨折…骨の長軸に対してらせん状に折れた状態

③ 斜骨折…骨の長軸に対して斜めに折れた状態

④ 粉砕骨折…1つの骨が2つ以上の骨片に割れてしまった状態

⑤ 分節骨折…骨片が3つ以上にある状態。粉砕骨折の1つ。

折れ方の分類                                              

骨折の原因による分類

どのような原因で骨折してしまったかを4つに分ける事ができます。

① 外傷性骨折

 転倒や衝突によって骨に外力が加わることで起きる骨折です。一般的に一番多い骨折の仕方です。

② 疲労骨折

 同じ部位に繰り返し弱い力が加わり続ける事で生じる骨折です。負担が加わり続ける事で耐えられなくなり、骨にひびが入ったり、折れたりします。スポーツ選手によく見られます。第二中足骨、脛骨、腓骨などが好発部位です。

③ 病的骨折

 腫瘍やがん、糖尿病などの疾患がる骨は強度が低下しているため、通常では折れないような外力や力によって骨折する場合があります。がんなどは骨に転移すると、がん細胞によって骨が脆弱となり骨折しやすくなります。この場合疾患の治療が最優先となります。

④ 脆弱性骨折

 高齢者や骨粗鬆症の方に多くみられる骨折です。普通ではならないようなちょっとした外力や衝突で骨折してしまいます。手関節周囲の橈骨遠位端骨折、肩関節周囲の上腕骨近位端骨折、大腿骨近位骨折が有名です。また後述する椎体圧迫骨折は骨の脆弱性が大きな原因となっています。高齢での骨折が多く、寝たきりの大きな原因となってしまいます。

骨折の特徴

骨が折れた部位には、特徴的なパターンが出現します。骨折した場合、それを疑う場合などの指標として重要になります。

・ 少し触れただけでも痛みを伴う

・ 皮下出血と腫脹がある

・ 痛くて動かせない

・ 触ると骨が崩れていることがある

・ 変形したり、くぼんだりしている             ※大阪府医師会HP 参照

骨折の治癒期間

 折れた骨が治癒する期間は年齢や体力によって左右されます。一般的な負傷部位の骨と骨が付着する期間は、中手骨2週、肋骨3週、鎖骨4週、上腕骨5週、上腕骨幹部6週、脛骨、7週、上腕骨頸部7週、下腿骨8週、大腿骨頸部12週となります。これは骨が付く期間であり、治癒して以前の状態にもどるまではおよそ3か月~6か月必要と考えられています。

脊椎圧迫骨折

 圧迫骨折という呼び方が広まっていますが、通常は脊椎圧迫骨折の事を言います。尻もちや転倒によって椎骨がつぶれたように骨折してしまいます。高齢化や基礎疾患が増えていることで症例が増加しています。

一番の原因は骨粗鬆症によって骨がもろくなっていることです。その他、高齢、がんや糖尿病の疾患がある、脳梗塞などでも脊椎圧迫骨折をしやすくなっています。また、実際にあった以下のような例において、背中や腰に痛みが生じた場合は脊椎圧迫骨折を疑う必要があります。

・ 急に椅子に座った、尻もちをついた時から痛みがある

・ くしゃみや咳をしてから痛みがある

・ しゃがんでから、または、しゃがんで物を持ってから強い痛みがある

・ 寝返り、起き上がるたびに痛みがある

・ 背中が丸まってきている

・ 脊椎圧迫骨折の治療中で、期間がたっているがまだ痛みが治まらない

 骨折の特徴において、負傷部位の圧痛がありますが、椎骨圧迫骨折の場合、椎体を体表から触ることができないため、圧痛を伴わないことがあります。その場合は上から殴打したりすると、鈍痛が背中に響いてくることがありますのでそれを指標にします。

 椎骨圧迫骨折の治療は、保存療法と手術療法の2つがあります。ほとんどの場合、保存療法を選択します。その際は、大きく胴体を覆うようなコルセットを着用し、骨折の治癒を待ちます。

骨折を予防するために

 骨折の原因の一つは骨が弱くなることです。骨折しにくい丈夫な骨を作るために、体の動く若い段階からバランスの良い食事に気を付けましょう。カルシウムやビタミンDは骨を作るために必要なので積極的に摂取してください。また、日の光をあびること、体に荷重をかける(立つ、歩く)事も必要とされています。骨粗鬆症の治療も積極的に行います。閉経後の女性はだれでも骨が弱くなる可能性がありますので、定期的な診断で自分の体を把握しましょう。

終わりに

今回は骨折について説明しました。当施設でも通院中の方がプライベートで、尻もちや転倒で椎骨圧迫骨折や、手首骨折に陥るケースがあります。脳梗塞の麻痺の影響で、転倒リスク、バランスを崩すことが多くなってしまいます。また、骨折は高齢になればだれでもなる可能性がありますので、それを踏まえて日常生活も気を付ける必要があります。

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この記事を書いた人

矢澤 大輔 鍼灸師

修士号(医科学)取得

業界歴15年。入社以来主に鍼灸接骨院に勤務し、様々な痛みと向き合ってきました。リハビリラボでは開設以来鍼施術を担当しています。痛み、痙縮、痺れ、麻痺などいろいろな悩みに対して、鍼と手技でアプローチしていきます。体だけでなく、心の支えにもなれるよう関わらせていただきます。