皆さんこんにちは!理学療法士の杉山です。
さて、早速ですが本日は脳卒中の後遺症の一つについてお話しします。
一般的な脳卒中のイメージ
リハビリラボに来院される多くの方は、脳に障害を負い、運動麻痺など多くのことで悩まれています。
日本中で見てみると、脳血管障害に罹患した方は約112万人と言われ、約100人に1人の割合で脳血管疾患に罹患歴のある方がいらっしゃいます(後遺症の有無は別)。
では、脳卒中、脳梗塞、脳出血と聞くと、どのようにイメージしますか?
手足が動かしにくくなるんだろうな
とイメージする方が多いと思われますが、実際には、様々な症状が現れます。それは目に見えるものもありますし、目に見えないものもあるのです。
脳卒中で現れる症状(運動麻痺など)
では、脳卒中で現れる後遺症をお話ししていきます。
以下に少しまとめてみました。
例えば、
・運動麻痺:手足が思ったように動かない
・痙縮:筋肉に必要以上に力が入ってしまう
・感覚障害:触られている感じや温度、手足の位置などがわかりにくい
・異常感覚(痺れなど):手足がずっと痺れている
・失語:言葉が出にくくなったり、違う言葉を話してしまう
・嚥下障害:食べ物や飲み物などが飲み込みにくくなる
・高次脳機能障害:半側空間無視(麻痺側の空間を認識しにくくなる)や感情失禁(泣きやすくなったり怒りやすくなる)
など様々な後遺症が現れます。
しかし、運動麻痺や痙縮、失語はパートナーの方や第三者から見てもわかるのですが、
感覚障害や異常感覚、高次脳機能障害は側からではわかることが難しい症状です。
これらの症状は当事者の方しかわからないため、本人の気持ちをうまく理解することに時間を要すことがあり、ご家族様も悩まれていることが少なくありません。
今後、それらの症状を少しずつ説明していこうと思います。
今回は、「運動麻痺」について説明していきます。
運動麻痺とは
脳卒中における運動麻痺とは、脳の中の運動神経を障害されることで「随意的に」動かすことを障害されます。
「随意的=思った通り」に動かせないということです。
随意的に動かすための指令を送る部分は、下の図の右側のように部位が分かれています。
右の図を初めて見た時、私が思ったことは、
「顔が怖いな」
でした。それくらい顔にインパクトがある図なのです。
この図が伝えたいことは、顔、手、指、足、体幹などに分かれている絵の中で
大きければ大きく描かれている部分ほど、運動神経を集中的に使っている部位になる
ということです。
運動神経を集中的に使うということは、細かい動き、繊細な動きをすることができる部位ということです。
繊細な動きができる部位とできない部位
そう言われてみると
顔:表情を豊かに変えたり、発音や嚥下をするために舌は様々な方向に動かせます。
手・指:ものを持ったり、字を書いたり、箸を使ったりと繊細さを求められます。
一方で、小さく描かれている足で考えてみると
足の指で文字を書いたり、小さいものを摘んだりすることって、とてつもなく難しいですよね。
これは、脳の中で足の動きを指令する役割の範囲が手に比べて小さいからなのです。
人間にとっては、足に手のような繊細な動きは求められていないということになります。
足に比べ手は麻痺を感じやすい(運動麻痺を生じやすい)
ここで、お伝えしたいことは、脳の中で指令を出す役割の範囲が足に比べて手のほうが大きいので、障害を受ける可能性が出やすいということです。障害を受ける範囲が足より手のほうが大きくなる可能性があるので、麻痺の回復に時間を要すことが多いということです。
ただ、指令を出す範囲が広いということは、障害されていない範囲も残りやすいということであり、つまり残された部分で障害を負った部分を補うことができる可能性が大いにあるということです。
そのためのリハビリとして、リハビリラボでは、「川平法」を積極的に行っていきます。
過去のブログで川平法の研修の感想や
川平法とは?
ということを書いてありますので、読んでいない方はこちらも読んでみてください。
また、youtubeでも川平法の内容がありますので、興味がある方はこちらもご覧くださいね!