病気で麻痺を生じてしまい、腕が動かなくて悩んでいませんか?
本記事では腕が動かなくて悩んでいた実際の利用者様を紹介しつつ、どのようなリハビリや自主トレを行って頂いたかお伝えしていきます。
本記事を読むことで腕が動かない場合にすべき内容を理解でき、自宅で自主トレが行えるようになります。
動かない腕を動かすのに必要なことは?
ズバリ結論からお話しすると以下の4点が重要になってきます。
⒈腕が動かない理由を理解する
⒉動かない関節を理解する
⒊1つ前の関節
⒋日常で視界に入れる
です。
上2つは判別方法なども載せてわかりやすく解説していくとともに、3、4つ目はどのような意味なのかも踏まえてお伝えします。
腕が動かない理由を理解する
脳梗塞、脳出血(以下脳卒中)を発症すると片麻痺になり、多くの方が手足の動かしにくさを実感します。
動かしにくくなる理由も人によって様々あるので、自分がどの理由で腕が動かないのかを理解することが大切です。
動かない理由の分類
脳卒中を発症することでみなさんのお身体に出現する主な症状をまとめてみました。
自分がどの分類に当てはまるのか確認してみてください。
いくつも合わさってしまっても構いません。
運動麻痺 | 脳→腕への神経が届きにくくなっている |
感覚障害 | 腕の位置が分かりにくいので動かせない |
筋肉の緊張が亢進 | 働かなくていい筋肉が過剰に働いてしまう |
可動域の制限 | 発症から年月が経っており動かせる範囲が狭くなってしまう |
痛み | 筋肉のアンバランスや感覚障害、不動など様々な要因で痛みが出てしまう |
失行 | 上記3つの症状はないが、指示された動きが行えない(高次脳機能障害) |
自分の腕が動かない理由は何か?
どんな片麻痺の方でも、ここがとても大切になってきます。
皆様は先ほどの表から当てはまるものはありましたか?
もしわからない方は、通院している病院の先生やリハビリの先生に聞いてみてください。
動かない関節を理解する
腕や手の中でも関節はいくつか存在します。
その中のどの関節が動かないのかも理解することで鍛えなければならない部位や練習を行うことができます。
主な関節
腕(上肢)の関節は大きく分けて3つで、手の関節は更に大きく分けて3つ存在します。
①肩関節
肩と腕の骨が繋がる場所です。細かく分けると鎖骨も繋がる場所になります。
腕を上げたり、肩をすくめる運動が肩関節の動きになります。
②肘関節
腕の骨と前腕の骨が繋がる場所です。前腕には2本の骨があります。
肘を曲げたり、ドアノブを回す際の動きが肘関節の動きになります。
③手関節
前腕の骨と手の骨が繋がる場所です。上肢の中で一番細かい部分であり、手のひらには8個の骨があります。
手を振ったり、握り込んだりする際の動きが手関節の動きになります。
1つ前の関節
1つ前の関節とはどのようなことかを説明していきます。
ズバリ、動かす練習をする前段階として「動かない関節の1つ前の関節を動かす」練習をするのです。
1つ前の関節はどこ?
今回の1つ前の関節とは身体の中心部分を一番先頭として、指先、足先を一番後方と定義をしています。
今回の上肢であれば中心から
身体→肩関節→肘関節→手関節
の順番となります。
※厳密にはもっと多くの関節がありますが、わかりやすく大きな関節で説明しております。
なぜ1つ前の関節なのか
1つ前の関節を動かすことで動かしたい筋肉を動かす準備をするのです。
筋肉はそれぞれ筋膜という膜でつながっており、繋がっている筋肉同士で引っ張りあったりしています。
そのため、動かしたい筋肉と繋がっている筋肉を動かすことで筋膜が引っ張られ、少しずつ動くようになってきます。
日常で視界に入れる
最後にご紹介する利用者様もそうですが、腕が動かない方の多くは日常生活で腕を忘れてしまっています。
脳は使わない部位はどんどん神経も萎縮していってしまうため、積極的に使うことが大切です。
テーブルの上に腕を置く
多くの片麻痺の方は足の上に腕を置いて食事をしていると感じます。
視界に麻痺した腕が無い状態で食事をすることで神経の働きを弱めてしまうため、しっかりと視界に入るようにテーブルの上に腕を置いて食事をとるようにしてみましょう。
腕が動くようになった実例
最後に、利用者様の実例を紹介します。
年齢 | 50代 |
性別 | 女性 |
来院時期 | 発症約1年後に来院 |
目標 | 孫が産まれた際に抱っこや世話をしてあげたい |
来院当初は腕は重たく動かず、持ち上げることもできませんでした。
肩の筋肉は10回に1回程度わずかに働く程度で、腕の筋肉は全く動きません。
自宅でも動かない腕は足の上に乗せたままで、不動による筋肉の弱化と柔軟性の低下が著しくみられました。
鍼治療では神経と筋肉の促通に重きを置き、リハビリでは動かすことのできる体幹の筋肉を動かし、肩の筋肉を動かす準備をしていきました。
準備をすることで肩の動きも徐々に行えるようになり、自宅では肩の運動を中心に行っていただきました。
通院3ヶ月で腕が動くようになりました!
YouTubeでも紹介していますので、ぜひご覧ください。
腕を上げるために必要な筋肉とリハビリを知りたい方はこちらの記事も確認してみてください↓
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この記事を書いた人
松浦 一将 理学療法士
JBITA公認 成人片麻痺基礎講習前講習1、2修了
大学卒業後、回復期リハビリ病院へ入職。主に脳梗塞・脳出血の患者様のリハビリを担当。同病院で訪問リハビリも経験させて頂き、より患者様の「生活」に近い場所でリハビリに携わってきました。2022年ハート脳梗塞リハビリ・ラボへ入職。「麻痺をよくしたい」という方はもちろん、前職の経験も活かし、目標に向けた最適な自主トレや運動方法のご提案、情報提供も行っています。 皆様の何気ない「笑顔」を大切に、目標を達成して共に成長できるよう全力でサポートさせて頂きます。