【脳梗塞】 9割の人が悩む「歩けるようになるのか?」〜歩けるようになるまでの軌跡〜

2023.03.25

脳梗塞・脳出血を発症直後、9割以上の方が自分の手足が思うように動かず不安な日々を過ごします。

私自身、病院で勤務していた時に不安と闘っている患者様にたくさん出会いました。

この記事を読むことで一人で歩けるようになるのか、そして達成するまでの道のりがわかります。

一人でも多くの方の不安が和らぐことを願っています。

このような不安はありませんか?

脳卒中を発症し片麻痺になったほとんどの方々は、「歩く」ということが病気前と比べ不自由になります。特に、発症直後は自分の手足が自分のものではなく感じたり、重く感じたり、不安になってしまうことが多いのではないでしょうか。

そして「歩けなくなる」という人生で初めての体験もします。今まで特に意識せずともできていた動きが突如としてできなくなるのは不安で仕方がないことです。

我々はそのような不安を少しでも減らせるようにサポートしています。

本当に歩けるようになるの?

結論からお話ししていきましょう。

私は「歩けるようになる」と信じています。ただし、そのためには「歩けるようになりたい」という意欲が必須になります。大変なリハビリを頑張り、自宅でも正しい方法の運動を継続することが必要不可欠です。重たい麻痺を発症しても諦めずにリハビリと自宅練習を継続して歩けるようになった方を最後に紹介しています。

「歩く」に関わる後遺症は?

では、「歩けない」につながる後遺症はどのようなものがあるのか説明していきます。

運動麻痺:意志の通りに手足を動かすことができない

感覚障害:触れている感覚、手足の位置の感覚が分かりにくくなる

筋肉の緊張異常:動かなくてもいい筋肉が勝手に動いてしまう

大きく分けるとこの3つでしょうか。

これらが、単独で影響したり、複合的に影響したりすることで「歩く」ということが難しくなります。

歩くために必要な回復の知識

私たち療法士は片麻痺の方々に対する評価の一つとしてBRS-t(ブルンストロームステージテスト)というものを使用します。

(※正確には「運動麻痺」の評価ではなく「分離運動」の評価になります。知っている方は誤解しませんようにお願い致します。)

今回は専門的な言葉を使わず、わかりやすく回復の過程を説明していきます。

ステージ指標(噛み砕いて説明します)
1(Ⅰ)意識的に動かすことが難しい状態。手足が垂れてしまっている状態。
2(Ⅱ)少し筋肉が収縮するが手足を動かすことはできない状態。
3(Ⅲ)手足を動かせるけどスムースには動かせない状態
4(Ⅳ)~スムースに動かせるようになっていく

上記のようにステージがに向かって体は回復していきます。

現在、自分がどの位置の回復過程か知っておくことは大切です。

多くの方はステージが”3”になることで一人で歩くことができるようになっていきます(ステージが1,2で歩ける人もいますので絶対に諦めないでください)

なお、歩行改善のためにどのようなリハビリをするといいのかを以下のブログでまとめていますので、こちらもご覧ください。

片麻痺の方必見!歩行改善に必須〜リハビリで知っておくこと4選〜

歩けるようになるまでの軌跡

では、ここからは実際に歩けるようになるまでどのように進んでいくのかを図で説明します。

長下肢装具:太ももまで囲う装具
短下肢装具:膝下まで囲う装具

多くの方はこのように段階を踏んで歩けるようになっていきます。

⑥で道具を使って一人で歩けるようになってからは、「道具を使わずに歩く」「きれいに歩く」「スタスタ歩く」などさらに応用的な歩き方が目標になっていきます。

「ぶん回し歩行を改善したい」という目標の方は以下のブログで「ぶん回し歩行の原因について」まとめていますので、こちらもぜひご覧ください。

ぶん回し歩行の原因がこれを読めばわかります

歩けるようになるまでどれくらいの期間が必要?

もう一つ気になることは「期間」だと思います。

数ヶ月で達成できる方もいれば、1年,2年で達成できる方もいらっしゃいます。

期間が短い方の特徴は

・「意識障害」がすぐになくなった方、最初から受け答え(頷きでもよい)ができた方

・BRS-tが3以上の方

は割と早く一人で歩けるようになり、「きれいに歩く」ことを目標としていきます。

ただ、それ以外の方でもしっかりとリハビリを継続することで歩けるようになる方を多く見てきました。

時間がかかっても「一人で歩く」という目標はみなさんに達成してもらいたいです。

以下のブログで「6ヶ月の壁の真実」についてまとめています。発症から数年経過していても歩けるようになった人はいます。

脳梗塞の回復の見込み〜6ヶ月後からの未来〜

1年かけて「一人で歩く」を達成できた方の紹介

年齢・性別:70代・男性

病名:脳梗塞(左片麻痺)

BRS-t:開始時1→現在2~3

目標:1人で歩けるようになりたい、スタスタ歩きたい

悩み:誰かいないと歩けない、歩く速さがゆっくり

家族の希望:一人で歩けるようになってほしい

来院当初は、車椅子で生活されており、歩く機会も少なかったです。ご家族様の希望としても「一人で歩いてほしい」ということをお聞きし、本人様、ご家族様、我々がチームとなって目標に向けて取り組んでいきました。当初は麻痺している方に注意を向けることができず足を壁や椅子などにぶつけて歩いていましたが、徐々にぶつけることがなくなりました。さらに麻痺した足の力も強くなり、今では一人で歩けるようになっています。

現在の目標は杖なしで一人で歩くこととしており、1年以上経過した今でも高い意欲を持って取り組んでおられます。「諦めない」という気持ちが少しでもある方は目標にチャレンジしてみましょう。

Youtubeでも紹介していますので、ぜひご覧ください。

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この記事を書いた人

杉山 一輝理学療法士

JBITA公認 成人片麻痺基礎講習会修了/川平法 入門編講習会修了

大学卒業後 リハビリ専門病院に入職。主に脳梗塞・脳出血の患者様のリハビリを担当。経験年数で評価されやすい業種だからこそ、新人時代から技術の質と学ぶ密度にこだわってきました。院内で積極的に勉強会を開き先輩・後輩関係なく、学んだ技術・知識を伝達しました。2021年 ハート脳梗塞リハビリ・ラボに入職。「リハビリ難民」の方々、特に「麻痺を良くしたい」「今のリハビリでは物足りない」と思っている方々に満足いただけるサービスを提供できるように全力を尽くします。